腕の見せ所。その1
少し間があいてしまいました。
すみません。
頑張りましたので、最後まで読んでいただけると幸いです。
「ユウキ〜、お腹すいたー!朝ごはんまだ〜?」
「私もお腹すきましたよ〜」
「わかったから、もうちょっと待ってて」
朝から騒がしくも、楽しそうな会話が聞こえてくる。
2人のエルフの女性が机に突っ伏しながら駄々をこねる。
紫髪のエルフは魔女フィラ、金髪のハーフエルフは俺と同い年でフィラの弟子のルシネだ。
「はやくー」「まだですか〜?」
急かす声が聞こえる。
「わかったって…はぁ……。」
そして俺、ハーフドワーフのユウキ。
俺たち3人はつい数ヶ月前から一緒に暮らしている。
もとは俺とルシネがフィラの弟子として修行してもらっていて、そこからなんだかんだあって一緒に住んでいる。
そして、なぜ俺が朝食を作っているのかは…察してやってくれ。
「ぷはぁー、やっぱりユウキの飯は美味いな!」
「ですね!こんな美味しい料理を作れるなんて、ユウキは天才ですね!」
どんな状況であろうと、自分の料理が褒められるのは悪い気分じゃない。
でも、もう1人だけでも料理できる奴が欲しい…。
次の日、俺たちは3人でAランククエストに挑むこととなった。
今回受けたのは、ベルファングの討伐とリフレインの花の採取だ。
ベルファングは体長2m前後のクマのような体格で、顔はオオカミのような牙が付いている。その動きは俊敏で見た目からは想像もつかない速さで移動する。そして強靭な手足から繰り出される攻撃は速度、威力ともにAランクモンスターの中では最強クラスだ。
群れを作り、1つの場所に長い間とどまるため、ベルファングを1匹見つけたら、10匹はいると思っていいと言われるほどだ。
リフレインの花はベルファングのナワバリに咲く花で、ベルファング達の体の中に種の状態で入り、フンと一緒に排出され、そこから発芽する。リフレインの花には体力と魔力の回復と、一時的な攻撃アップの効果があるため、とても需要があり、高く売れる。
しかし、どちらも簡単ではない。
このクエストはベルファングが仲間を呼ぶ前に倒さなければ、次々に周りからベルファングが集まってくるため、素早い討伐が必要になる。
しかし、固く厚い皮膚で覆われていて、物理攻撃と魔法攻撃を半減してしまうため、かなりの実力がないとクリアは難しい。
「ん〜、なぁフィラ〜?あとどれくらいで着くんだー?」
気だるそうに質問するユウキに、フィラは淡々と答える。
「もう着く。…そのやる気の無さはどうにかならんのか?」
ルシネがそれに便乗してユウキに言った。
「そうですよ!フィラの言うとおりです。ユウキはもう少しやる気を出してください!」
・・・俺がなぜこんなにもやる気がないのか…それはさかのぼること数時間前。
「ユウキ!今からお前には自分用の片手剣とルシネ用のレイピア、私のメイスを作ってもらう!場所と道具は貸す。材料は自分で集めろ。作り終わり次第クエストを受けにギルドへ行くから急げよ?」
唐突にそう告げたフィラはルシネとどこかへ行ってしまった。
残されたユウキはいまだ放心状態だ。
「……はぁ!?今から、いきなり3人分の武器を作れとか…無茶振りもいいところだろ。・・・魔女というより鬼だろ……。」
しかし、それに応えないと…ユウキはそれ以上考えるのはやめ、街へ材料を探しに行くのだった。
「ふぅ…なんとか作り終わった。けど…もう魔力も体力もスッカラカンだ。」
休憩しているとちょうどフィラとルシネが帰ってきた。
「お?どうやら終わったようだな。」
「ユウキ、お疲れ様です。」
ルシネがお気の毒にという視線でこちらを見つめてくる。
「よし、それじゃあ準備しろ!クエストは受注してある。今すぐ行くぞ?モタモタしてると日が暮れる、早くしろ。」
相変わらずの鬼畜ぶりだ。
俺じゃなきゃ死んでいる。……いや、俺でも死ぬかもしれない…。
ということがあった。
こんなことがあれば誰でもやる気をなくすだろう。
「早く帰りたい。」
「なら、早く倒して採取することだ。見えてきたぞ?あの川を越えた先が奴らのナワバリだ。」
すでに2匹のベルファングが川沿いを歩いていた。
そして、俺たちの狩りが始まった。
どうだったでしょうか。
みなさんに楽しんでいただけるように精一杯頑張りますので宜しくお願いします。