家族。
どうも!小兎姫です!
今回も来ました。
異端職人の鍛治日記、第7話!
今回も最後までお付き合いくださると幸いです。
「も、もう無理だー!」
俺。沖田優希は今、死にかけています。
「こら〜!逃げてるだけじゃ、私には勝てないぞ!?」
無理だ無理だ。絶対に死ぬ。
「はぁはぁ…なんなんだ、あの鬼畜な魔女は…。」
地面のひんやりとした感覚が俺の体を癒す。
不意にフィラの方に目を向ける。俺はその異様な光景に目を疑った。
俺は今、大量の汗が終始流れっぱなしだ。
しかし、あの女、フィラは汗1つかいていない。
というより、全く息が乱れていない。
化け物。その言葉が俺の脳裏に浮かぶ。
涼しい顔をしながらフィラが言う。
「そろそろ休憩は終了だ、魔闘技には慣れてきたか?」
その言葉に反射的に返してしまう。
「無理だろ!そんなの意識する暇なんてないよ!途中から魔闘技も切れるし…」
「まぁ、最初はそーだろうな。でもそのうち無意識で使えるようになる。それまではひたすら今と同じことを繰り返す。」
血の気が引く。
「悪魔…」
「ん?なにか言ったか?」
「……なんでもないです。」
それからは地獄だった、ひたすら追いかけまわされて、心身ともにボロボロになるまでひたすらしごかれた。
そのあとに鍛治の練習だ。
強い武器を作るためには魔闘技の応用で、体の魔力をコントロールして肉体を強化するのと同じように、ハンマーを自分の腕の延長だと考えて、自分の腕からハンマーにかけて魔力を循環させながら、金属に魔力を注いで打ち込んでいく。
フィラは本当になんでもできる人だ。
鍛治もできるのだ…しかもそれは……
魔剣と呼ばれる剣を何本も創り出している、天才鍛冶師だ。
フィラと同じぐらいの魔剣を打てるようになるまで素人では何十年もかかる。
が、俺にはそんなもの関係ない。
なぜなら、もともと鍛冶は経験がある上に、自称神からもらったプレゼントのもう1つがある。
スキル経験値3倍。
これが俺がもらったプレゼントだ。
スキル経験値3倍は、文字通りスキルの熟練度が通常の3倍の速度で上がるというシンプルなものだ。
しかし、これのおかげで、俺はもうすでに魔闘技をあまり意識せずに使えるぐらいまでは上達している。
これなら、極めるのも時間の問題だろう。
「んで?なんで、こうなったんだよ?」
俺はルシネを正座させて、説教中だ。
「最近、あまり姿を見ないと思ったら…まさか…ルシネまでフィラに稽古をつけてもらってるとは……。」
俺のあとをつけていたらしい。そして、フィラに俺には内緒で!と稽古をつけてもらっていたという。
俺がフィラの弟子になってから数ヶ月、やっと、最近になってフィラと組手できるレベルまで魔闘技は上達した、鍛治に関してはフィラよりもいい剣を打てるようになった。
そして、ここ最近になって、俺らの集落を襲った奴らの動きが活発になっていた。
飛龍を操る人間たち。
そいつらの組織は、人間以外の4種族を滅ぼし、人だけの世界を作ろうとしてるらしい。
つまり…ルシネとフィラにも手を出すわけだ…。
フィラはそれぐらい簡単に追い払えるだろうが、もし手を出すようなら…
容赦なく潰さなきゃいけない。
もう少し、もう少しだけ力をつけてからだ。
「よし!ルシネ、ユウキ!お前たちに教えるのも今日で最後だ!最後は本気の一本試合だ。組手じゃない。2人の本気を私にぶつけてこい!!」
そうして俺とルシネは、フィラと対戦した。
結果は、俺とルシネの負けだ。
最後の最後までフィラに勝つことはできなかった。
「ふう…2人とも成長したな。まさか私が苦戦するとはな。楽しかったよ。」
「ほんとに今日で終わりなんだな。」
「私…寂しいです。フィラさんと稽古できなくなるのは…。」
俺とルシネは泣きそうになる。
それを見たフィラが呆れ顔でこちらに向かってきた。
「提案があるんだが?なぁ…ユウキ?ルシネ?もし、2人が許してくれるなら、私の家に一緒に住まないか?家族の代わり………なんで無責任なことは言えないけど、2人の師匠として、一緒にいたいと思う。……どうだろう?」
俺とルシネは素っ頓狂な顔になる…そしてすぐに笑顔になった。
「ははっ、いいに決まってるだろ?」
「はい!ずっと一緒にいましょう!」
『これからよろしく!!』
全員の声が綺麗に揃う。
3人はお互いに顔を見合わせ、そして暖かい笑顔に包まれた。
みなさんどうでしたでしょうか。
異端職人の鍛治日記に最後までお読みいただきありがとうございます!
しっかり書けていたでしょうか?
次回も、楽しんでいただけるよう頑張ります!