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歯車の狂い。

間が空いてしまってすいません。

リアルの方が少し忙しくて…


遅れてしまいましたが、少し増量してありますので、最後まで読んでいただけると幸いです。

とある遺跡の地下…人が住み着かない魔物の蔓延(はびこ)る魔の巣窟から、人の声が聞こえていた。


「・・・やはり…あの魔女の……必要だ…。」


「しかし周りの…が邪魔だ。」


「なら魔女以外の2人は……殺す…。」


黒のローブを纏う者たちが、円卓に腰掛けて話をしている。

この組織、エレフセリアは人族解放を掲げ、人族以外の種族を根絶やしにしようと企んでいる。

「それなら私のこれ。使うといい。」

「完成してたのか、ヴァニティ。」

ヴァニティと呼ばれた小柄の黒ローブが軽く頷き、円卓のあった部屋から出て行く。

「なら今回はヴァニティに任せよう。」

そう言うと、残りの黒ローブ達は闇の中に姿を消した…。


___________________



「ふぁあ〜…。」

静寂と安らぎが混ざり合う中窓から差し込む木漏れ日が俺を襲い、俺の意識が覚醒する。

するとドアの外から声が聞こえてくる。

「おい、ユウキ〜?早く起きろー!置いてくぞ??」

ハッとした俺は急いで支度を始める。

「やばっ、寝過ごした!!フィラ、ルシネ連れて先に馬車乗ってていいよー!」

「そうか?じゃあ支度したらすぐ来いよ?」

「りょうかい!!」


今日は、王都に行くことになっている。

フィラは有名な魔女で、時々王様から直々に呼び出され、国の魔法学校や研究機関で、臨時講師やメンテナンス、研究の手伝いをしているらしい。

それの付き添いで俺とルシネも一緒に王都に向かう。

「やっと来たか…。遅いわ、ばか。」

「本当ですよ!どんだけ待ったと思ってるんですか。女性を待たせるのは男としてどうなんですか?ユウキくん?」

「すまん、昨日は夜遅くまで起きててな。」

「まぁいい。それじゃ、出発するぞ〜。」


馬車が走り始める。

馬車の揺れがまた眠気を誘う。

そして王都に着く頃には、俺たち3人の意識は深い闇の底に落ちていた。


「ふぁあ〜…。また寝ちゃったか…。おい、フィラ、ルシネ、起きろ着いたぞ。」

「んん…あ、ユウキおはよー…。」

「おはよーじゃないよ…ルシネ…よだれ出てるよ。」

「はわわ…。」

「あれ、フィラは??」

「そういえば、いませんね?」

「外にいるかもしれないな…。とりあえず、馬車から出よう。」

俺とルシネは馬車から降りる。

「お?起きたかお二人さん。魔女のネーちゃんなら、王城に向かったから、2人が起きたら伝えてくれって言って、ここに着いてすぐに行っちまったぞ?」

馬車の運転手が馬車から降りた俺たちに、フィラの伝言を伝える。

「おいてったのか!?あの魔女は……。はぁ…行こうか、ルシネ。」

「はい!早く追いかけましょう!」

俺たちは王城に向かい歩き始める。

昼下がりの蒸し暑い陽射しが、俺の肌に突き刺さる。

街の中は嫌になるような喧騒(けんそう)の中、俺たちは王城に辿(たど)り着く。

「やっと着いた…。はぁ…はぁ…。早くフィラに合流しよう。」

「そうですね。もう…暑くて倒れそうですよ…。」

俺たちは王城に入ろうと門をくぐろうとして、寸前で門番に止められる。

「ここから先は、王族か一部の招待状を持つ者以外の通行は認められない。お引き取り願おう。」

「いや、俺たちはフィラって魔女の付き添いで来たんだよ。」

「それを証明できるのか?できないなら、通すことはできない。」

「お願いします!ここを通しもらえませんか?」

「何度も言うが、ここから先は…」

門番がそう言いかけたところで背後から声がかかる。

「まぁ、ちょっと待て。条件はあるが、ここを通してやってもいいぞ?」

そこには長い金髪を後ろで縛り、いかにも好青年のような、しかしその中にもしっかりと気品のある雰囲気が漂う男が立っていた。

「なっ!?レオン様!なぜこのようなところに。」

門番が慌てて(ひざまず)く。

状況が飲み込めず思わず声が漏れる。

「どういうことだ??」

「この方は、ディランド王国第一王子、レオン=バレスディナ様になられます。」

なんでそんな奴がここに…。

そう言いかけて、ギリギリのところでその言葉を吞み込む。

俺は無礼のないよう、気をつけながら聞く。

「何か用でしょうか?」

そんなにぎこちなかったのか、レオンは少し苦笑いしながら俺に言った。

「ははは、別に敬語じゃなくていいよ。見たところあんまり年齢は変わらなそうだしね。んで、用っていうのは他でもない。ここを通りたいんだろ?退屈してるから、俺と模擬戦して勝ったら入れてやる。あの魔女の付き添いなんだから、そこそこの実力はあるよな?」

意地悪い笑みを浮かべながら、レオンは俺とルシネにそう告げる。

その笑みにはフィラの威圧に似た寒気を感じ、少し怖気付くも、俺とルシネは了承し、訓練場へと移動する。



「それじゃ、ルールを決めようか。武器は刃の付いていないものならなんでも有り、そこの倉庫に刃引きした武器はあるから好きなのを選んでくれ、それで時間制限は無し、勝敗は相手が降参するか、気絶等で相手を戦闘不能状態にしたら勝ちってことで。ただし言わずもがな、相手を殺したり、気絶してるのに追撃したりは無し。これでどうかな?」

淡々と告げるレオンに圧倒されながらも、俺は言われた通り敬語を使わずに答える。

「ああ、俺はそれで構わない。でも、俺はレオンと戦うとして、ルシネはどうするんだ?」

俺は少し戸惑いながらもレオンに問う。

それを聞いたレオンはニコッとの笑みを見せ、話し始める。

「それはね、そこの入り口からこっちを覗いてる僕の妹に相手をしてもらおうかと思ってね。」

その言葉を聞き、入り口の方に目を向ける。

そこにはレオンによく似た、金髪の小柄な少女がこちらを覗いていた。

「え!?…え!?えっと…兄様、いつから気づいて…?」

少女は恐る恐る、レオンに歩み寄り(たず)ねる。

「ん?最初からだよレミィ?気配を消すのが甘すぎてバレバレだった。まだまだ訓練が足りないね。」


レオンにレミィと呼ばれた少女は、ディランド王国第二王女、レミリア=バレスディナ。兄を慕う心優しい妹だ。

「レミィ、もちろんやってくれるよな?」

レオンの頼みを断れず、しぶしぶ了承したレミィを横目にそれじゃあ始めようかと、声をかけたレオンにルシネが抗議する。

「ちょっと待ってください!まだこんな小さな女の子なんですよ?そんな子と戦うなんてできません!」

俺はこの兄は鬼畜か!?と思わず浮かんできた思いに、呆れの表情を隠しきれなかった。

「確かにレミィはまだ小さいけど、それでもしっかりとした訓練は受けてるよ。そんな簡単に負けることはないと思うけど?」

当たり前でしょ?と言わんばかりに話すレオンに、ルシネの顔が諦めの色に染まる。

「わかりました。でもレミィちゃんが危なくなったら、すぐにでも模擬戦は中断しますからね?」

ルシネの言葉にレミリアがムッとした顔になる。

「私…あなたなんかに絶対負けませんから。」

レミリアの口から漏れたその言葉は、ルシネにも火をつける。

その光景を見ていた俺とレオンはあはは…と渇いた笑みを零しながら、少し離れたところでお互いがそれぞれ選んだ得物を構える。

「いくよ!」

「望むところだ!」

その声を合図に2人の距離が一気に縮まり、レオンの片手剣と俺の片手剣がぶつかり合い火花を散らす。

激しい刃と刃の競り合いに、いつの間にか模擬戦のことを聞きつけ集まってきた野次から歓声が上がる。


ちっ…なかなかやるな、口先だけじゃなかったってことか。

そんなことを考えたが、すぐに俺はレオンの太刀筋に神経を研ぎ澄まし直す。


「集中できてないんじゃないか?最初から飛ばしていくぞ!玲瓏黒雨(れいろうこくう)!」


掛け声と共に放たれたこの技は、降りつける雨の如く速さを極めた連続突きで、相手から出る鮮血と黒光りした刀身がとても美しく、見る者の心を掴み、戦いのことなど忘れ、ついつい魅入ってしまいそうになるほど、無駄のない精錬された技である。そのスピードと威力からは、素人でもわかるほどに鍛錬の成果が詰まっていた。


「んな!?くそっ…捌ききれない。」

もろに技を受け、ユウキは訓練場の壁に叩きつけられる。

最後まで読んでいただきありがとうございます。


これからも不定期にはなってしまいますが、しっかりと投稿していきますので宜しくお願い致します。

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