表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ORIGINAL

作者: タケル

僕は本当の自分が分からない。今までの人生、窮屈なばかりで、そのくせ何も得ることはなくて何もない・・。 僕は目を閉じる。

「本当にそうか?」

声が聞こえる。低くくて、高圧的で、でもどこか聞き覚えがある。

「君は誰?」僕は尋ねる。

「俺が誰か?そんなことはどうでもいい。今はお前の話をしている。」声の主は即座に、やや僕を嘲る調子で答えた。

声の主は続けた。

「お前は自分が分からないとほざいたが、本当にそうなのか?自分を知るという作業に何年も費やしてきたのか?」

こいつは何を言っているんだ?僕は今までそのために、幸せになるために努力してきた。自分が生まれてきた意味を、使命を見つけるために・・。

「お前は自分が分からないんじゃない・・。」

ジブンヲシルノガコワインダ・・。

「何を言ってるんだ、僕はこれまで空っぽだった人生を少しでも埋めるために色々な場所へ行ったり、色々な人と出会ったり、色々なことを学んできた!」

「だが、何も生まなかっただろう?」

「違う!まだ努力が足りなかっただけだ!いつか僕が理想へ辿り着くその日まで。」

声の主はより低い、冷たい声で続ける。

「ありもしない現実、未来。遠く、かなわない桃源郷を目指す。かなわなければ、遠い場所から美化した過去を懐かしむ・・。お前はそれを永久に続ける気か?」

「・・・・・。」

「図星のようだな。お前のような人間にはガラス越しにみる宝石を羨ましく見ているような人生が似つかわしい・・。」

僕の心は張り裂けそうだ。何も分からない、考えられない。 今の僕にはこうするより他はない。

「君は、君は誰なんだい?」

「分かっているはずだ。」

声の主は無機質な声で答えた。

「お前は幸せな人生、使命を見いだすため外に目を向け、無意識に外部の人間の影響を受け、コピーをしてきた。外に目を向ける前にすることがあったはずだ。」

「僕には、もう分からない・・。」

「人は生まれながらの役割がある。その役割から上を行くことも、下を行くこともない。」

「お前はそれが怖いのだ。人生という、運命という大きな流れにいくつく先が。自分の限界が。」

「もうお前を外に出しておくのも潮時のようだな・・。いささか疲れてきた。」

「僕はどうしたらいい?」

「分かっているはずだ。コピーは人生にいらない。必要なのは個人が持つオリジナルだ。」

「僕は君を外に出していいだろうか?」

「お前が出て満足できる人生を送れたか? 」

「それもそうだね。どうか、どうか僕をよろしく。」

僕は目を開ける。

僕は自分が分からなかった。

だが、今は違う俺は外部のコピーではない。 世界でただ一つの固有のオリジナルだ。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ