表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

クイズです

作者: でんでろ3

 小学生の息子が、明日はバス遠足だというのに、浮かない顔をしている。

「どうしたい。アルミホイルについた飯粒食おうと思って、飯粒じゃなくてアルミホイルの方を、思い切り噛み締めちまったような顔をして……」

「……そんな顔してるかい? 明日のお弁当のおにぎりは、ラップに包んでもらおうっと」

「さては、明日のバス遠足、隣に座ってくれる人がいなくて、運転席に座ることになったな……」

「そんなわけないだろっ。いや、実は、明日、バスの中で、出しっこするクイズが思い付かなくて困ってるんだ」

「なんだ、そんなことか、じゃあ、一緒に考えてやろう」

「ありがとう」

「じゃあ、こういうのは、どうだ。とてもありえない怪物を言って、『この動物なーんだ?』って言うんだ」

「えーっ? 何それ? 答えは?」

「『そんな動物、イルカっ?!』ってな」

「なるほど、じゃあ、いくよ。『目が4つあって、牙が6本あって、翼があって、水かきがあって、【名残り雪】を大ヒットさせた動物はなーんだ?』」

「……これやめようか。お前、本当に小学生かい?」

「そう?」

「じゃあ、スリー・ヒント・クイズってどうだ?」

「スリー・ヒント・クイズ?」

「そう」

「例えば、ヒント1、それには、スピーカーがあります」

「そんなもの、たくさんあるよ」

「慌てなさんな。ヒント2、それには、マイクがあります」

「んん?」

「ヒント3、それには、タッチパネルがあります」

「スマートフォンだ!」

「まぁ、今のは、簡単な奴だがな」

「……よし、できたよ」

「お、もうできたのか」

「ヒント1、それには、ダイヤルがあります」

「なかなか良い切り込みだな」

「ヒント2、ラケットも使います」

「えっ? ぉぃ、大丈夫か?」

「ヒント3、漫才師です」

「はぁ?!」

「答え、中田ダイヤルラケット」

「そら、中田ダイマルラケットやーっ! って、古すぎじゃ、お前本当に小学生か?!」

「だめ?」

「小首を傾げて誤魔化せる範囲を超えてます」

私は眉根を揉んだ。

「普通のなぞなぞで良いんじゃないか?」

「普通のなぞなぞ、って?」

「うーん、『パンはパンでも食べられないパンは?』」

「ショパン」

「いや」

「あ、生物である以上、その気になれば食べられるか」

「いや、その気になるな、正気を保て……。じゃあ、『寺は寺でも食べられる寺は?』」

「バッテラ」

「上は大水、下は大火事」

「コンロのヤカン」

「そうだよなー、今、風呂釜って、大抵、横にあるよなー」

私はガックリと膝をついた。

「お父さん、どうしたの?」

「いや、もう、お父さんには、お前に教えることは何もないようだ」

「えっ、待ってよ、お父さん、一緒にクイズ考えてよ」

「答えはお前の中にある。さらばだ。はーっ、はっはっはっ」

今は去ろう。残された息子の成長を信じて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] >「あ、生物である以上、その気になれば食べられるか」 ここウケました。
2014/10/11 07:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ