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こル・ココる  作者:
第八章 『忘』
61/65

連れ帰った、そして温まった。

 



 ◆




 あのあと。

 医月はひとしきり泣き続けた。

 それが落ち着くのを僕はただただ待っていた。


 しかし、落ち着いてみると、これからどうしようかと考える。

 今は雨が止んでいるが、またいつ降り出すか分からない。

 じっとりと濡れた制服で寒空の中、医月を帰らせることなんてできるはずもないため、ひとまず公園から近い僕の家に二人で向かうことにした。

 道中、うわ言のように「すみません」と呟く彼女を心配したものだが、家で温まれば少しは良くなるだろうと思い、僕は黙って手を引いて歩を進める。


 そういえば家には誰かいるだろうか。

 この時間に僕の両親が仕事から帰っていることはほぼない。

 テスト終了と大雨警報ということもあって僕らが通う露草高校は部活が休みになっていたが、ハルの学校ではどうだろう。

 もし、ハルが家にいる場合、何も知らせずこの状態のまま帰るとなると、さすがに驚かせるだろう。


 そう思い至って、携帯電話でハルに連絡をとると、ハルも部活が休みになったようで、すでに家にいた。

 これ幸いと、ハルに僕と僕の後輩が雨に打たれてしまった旨を伝え、タオルとお風呂の準備をお願いした。

 よし、これで万全だ。

 僕は体の芯までさらに冷えていくのを感じながらも、少しの満足感に浸って、なお家に向かう。

 自分の見積もりが甘いことにも気づかないまま。



 ◇



 家に着いた。

 途中から声も聞こえず、黙ってついてくるだけになった医月を家の中に入れる。

 家に入った途端、また雨が激しく降り出したのでギリギリだった。


「ハルー?」

 ぽたぽたと服から水滴が落ちる。

 早く対処しないと玄関が水浸しになってしまいそうだ。

 少し焦っていると、奥から「はいはーい」と僕の呼びかけに答えるハルの声がした。

 事前に伝えていた通りタオルを持って、風呂場の方からやってきた。


「もぉー! コウってば、傘持っていってなかったの――――って!? 後輩って女の子!?」

 と、身振り大きく驚くハル。

 そういえばハルには後輩としか教えてなかった。


「コウが女の子を家に連れ込んでくるなんて……!」


「イヤらしい言い方しないでよ。こっちは必死な思いで帰ってるんだから」

 それよりもタオルを頂戴、と言うと素直に渡してくれた。


「あーあ。もしかしてあたしの気持ちに応えくれないのも、クリスマスの誘いをはぐらかすのも、そーいーことなのかな?」

 あらぬ誤解だ。

 確かにクリスマスの返事をまだしていない僕に非があることは、祈梨ちゃんのおかげで理解しているけれども。

 まさか、医月を連れてきただけでこんなことを言われるとは。

 これも僕の思慮の浅さが招いたことなのだろうか。


「……ほら、医月、タオル」

 ハルにどう弁明しようかと考えるが、まずは濡れた体をどうにかするほうのが先だ。

 そう思いタオルを医月に渡すと、急にハルが素っ頓狂な声を上げる。


「え? えっ!? えーーーーっ!!!?」


「いきなり叫んでどうしたんだよ」


「いづきって、沙織ちゃん!?」

 ハルは僕を押しのけて、医月に詰め寄った。

 医月は顔を伏せていたので、ハルは両手で彼女のほっぺたを挟み、持ち上げるようにして確認する。

 そんな突然の身内の行動に僕は面食らってしまう。


 ハルが医月の下の名前を知っているってことは、二人はまさか知り合いなのか?

 鳴芽と医月が旧知の仲であることだけでもこっちとしては信じられない偶然だったのに、ハルともなんて、どんな運命の悪戯だ。


「…………!」

 ハルにされるがままになっている医月も、ハルとの邂逅に幾分驚いている様子だが、声を上げることはなかった。

 というかその余裕がないのだろう。

 先ほど、あれだけ感情を吐きだせば衰弱していてもおかしくない。

 事情を知らずとも医月のそんな状態にハルも気づいたのか、そこからの行動は早かった。


「コウ」


「なに?」


「今すぐ沙織ちゃんとお風呂入ってくるから」


「うん」


「コウは自分でなんとかして」


「わかった」

 ハルは、そういえば学校から履いたままの医月の上履きを脱がせて、医月の手を引っ張りながら、もと来た風呂場の方へと二人で戻っていった。


「………………」

 とりあえず、医月のことはハルに任せよう。

 事情は何一つ話せなかったので、ハルにとって何がなんなのか分からないと思うが、あいつならきっと、あの状態の医月を救ってくれると、確信に近いものを僕は感じていた。


 小、中学生のとき、ハルと僕は今とは違って同じ学校に通っていた。

 その頃から、ハルはいつも悩みを抱え込んでいる人を見つけては、手を差し伸べて、そんなハルの姿を僕は見てきた。

 ハルの人助けに僕も協力するっていうのが一つのお決まりみたいなものだったのだ。


 僕一人だけだと、神代美嬉のようにうまくいかない結果になるのが、もしそこにハルがいたなら違う。

 ハルがいろいろと気がついて、僕のフォローをしてくれるから、相手をちゃんと助けられるのだ。


 今回もあの頃と似ている。


 きっと憔悴しきった医月を元気づけてお風呂から出てくるだろう。

 そう思い、玄関に取り残された僕は、医月によって濡れた廊下と自分の濡れた体を処理しておくことにしよう。



 ◇



 どうしよう、どうしよう。

 と、あたしは考える。


 お風呂場で沙織ちゃんの体に張りついた制服を一生懸命脱がせて、ついでに自分も脱いだ。

 彼女の体を温めるのが優先だったから、髪やら体やら洗わず、かけ湯だけして、一緒に湯舟に入った。

 なぜ、あたしも入った?

 と、沙織ちゃんと向い合わせになってお湯に浸かってから気づいた。

 それから、沙織ちゃんにどんな言葉をかけてあげたらいいんだろうと悩むことになるのだった。


「………………」

 沙織ちゃんは、あたしにいろいろされていたにも関わらず、ずっと黙ったままだった。


 やり取りは携帯電話でよくしているけど、そういえば、この子と直に会うのは夏以来だ。

 夏休みのとき、コウが通っている露草高校にあたしがバスケの練習試合に行ったときに沙織ちゃんと出会った。

 なんというか、情けないもので、この子には悩み相談ばかりしてきた。


 一つは、その夏休みのとき。

 コウが命に関わるような入院をしてしまった影響で、部活に打ち込めずチームに迷惑をかけた負い目について相談した。


 もう一つは、11月のとき。

 コウとケンカをして、仲直りするにはどうすればいいのか相談した。


 初対面のときに自分の不甲斐ない姿を見せてしまったこともあって、この子にはあまり自分を飾らないで接することができた。

 そして、頼りっぱなしだったから、この子に何かあったときには全身全霊で力になってあげよう。

 そう思っていたのに、今まさにそういう状況なのにかけてあげるべき言葉が浮かんでこない。

 まずは、何があったのか聞くしかないと思った。


「……沙織ちゃん」

 浴室にあたしの頼りなさげな声がよく響いた。

 こんなことじゃ、だめだな。

 あたしは気合いを入れなおした。



 ◇



「沙織ちゃん」

 そうハルさんが私を呼んだ。

 一度目よりも強く。


 私は今、頭が呆けているのか何も考えられない状態だった。

 再び突きつけられた鳴芽のこと。

 先輩との公園での出来事。

 そして、思わぬハルさんとの再会。

 短い時間でいろんなことが起き過ぎていた。


「コウとあたしは従姉弟同士なの」

 そうハルさんは切り出した。

 せっかく会えたにも関わらずあまり反応を返さない私にどう接していいか分からないだろうに、彼女は話してくれた。


「前に相談したときに話したよね。そのとき出てきた従弟っていうのが、あなたの先輩なの。すごい偶然だよね! まさか沙織ちゃんがコウと知り合いで、そのことを知らずにコウのことをあたしは相談してたんだから」

 親しい人と喧嘩をしてしまった。仲直りがしたい。

 それがこの前のハルさんからの相談だった。

 名前は伏せていたが、その相談事をさらに先輩に相談したような気がする。

 先輩は、自分に関係する相談を知らず知らずのうちに自分で答えていたことになる。

 ハルさんの言う通り、すごい偶然だ。

 先輩が鳴芽と友達だったこともそうだが、よく聞くように世間は案外狭いものなのかもしれない。


「沙織ちゃんにはコウのことを相談してるから、ちゃんと言っとこうかなって思うんだけど……」

 そこで彼女は少し迷いを見せる。

 気持ちの揺らぎがお風呂の波紋になって伝わってくるようだった。


「………あたしってね、コウのことが好きなの」


「え…………」

 あまりにも予想外過ぎて、思わず声が出てしまった。


「この好きっていうのがね、恋人になりたいっていう好きなんだ」


「え、……で、でも、従姉弟同士なのに―――――」

 そこで私は言葉をひっこめる。

 ハルさんの表情に一瞬、ほんの一瞬だけ影が差したからだ。


「あっははは、そうだよね。ふつうはそんな反応になるよね」


「ち、ちがっ、ご、ごめんなさい!」


「ううん。いいんだよ。あたしだって、そう思うもん。いとこ同士の結婚は法律では許されてるって言っても、まぁ、あんまり”ない”かもね」

 ハルさんは両手でお湯を掬っては落とす。

 私はそれを無神経なことを言ってしまった申し訳ない気持ちでただ見ていた。


「だから、あたしは隠してた。自分の気持ちを。押し殺して、押し殺して。自分を、多分殺してた。………いつしかそれが当たり前になって平気なふりをしてたけど、やっぱりどこか心が歪になってしまうんだろうね。ちょっとしたきっかけでそれが爆発しちゃった」

 これまでを振り返るように天井を見上げて言った。


 私は今、ハルさんの心を覗いているような気がした。

 ハルさんが自分から自分の心の動きを、見せてくれている。

 それは生半可な気持ちでできるようなことではない。


 私も心の内を先輩についさっきぶつけたが、したいと思ってしたわけではなく、完全に自棄になっていたからしてしまった。

 でも、ハルさんは当然そうではない。

 これはおそらく、私のためなのだろう。

 悩んで挫けている私の。


「あたし、自分の気持ちを『受け入れた』よ。過去の自分との約束を破ることになったけど、あたしはそれで良かったって思ってる。コウにちゃんと自分の気持ち伝えられたことが幸せだった。えっへへ、恋人にはまだなれてないんだけどね」

 困ったような笑顔ではにかむハルさんを見て、私は羨ましいと思った。


 羨ましい?


 羨むということは、私はなりたいのだろうか。

 ハルさんのように、自分に正直に生きることが。


「これが……あたしとコウのこと。あたしがした悩み相談の結末だよ。あらためて相談にのってくれてありがとね、沙織ちゃん」


「…………いえ」


「どうしたの?」


「なんでも……ありません」

 私は、目をそらす。

 真っすぐに見つめてくるハルさんの澄んだ瞳から。


 また逃げてしまった。

 そう自覚すると、なんとも言えない気持ちが心に滲んでいく。


「あたしじゃダメかな?」


 少し体を寄せてくるハルさん。

 一般的な家庭の浴槽だ、二人も入れば当然狭い。

 私は後ろに下がりたかったが当然叶わなかった。


「今の沙織ちゃん見てると、ちょっと前の自分と同じだなって思う」


「私とハルさんが、同じ………?」


「うん。コウを何度も拒絶したときのあたしにさ、そっくりだよ」

 言いながら、ハルさんは立ち上がり湯舟から上がる。

 スポーツマンらしく私とは違って鍛えられて引き締まった体につい目が奪われてしまった。

 出ていくのかと思いきや洗面台に座って目の前の鏡に手を伸ばす。


「自分のこと嫌ってる顔だよ、それは。沙織ちゃんっていっつもそんな顔してる気がする。そんなに自分のこときらい?」


「…………きらい、です。好きになんかなれそうもないです」


「それはなんで?」


「とてつもなく臆病だからですよ。今だって………」


「それの何がダメなの?」


「……すぐに逃げてしまう自分が嫌なんです。傷つきたくないから友だちから逃げて………、先輩はそんな私を『受け入れて』くれました。あんなに気持ちを吐き出したのは初めてだと思います。でも、それでも私は前に進めないでいる。前に進むのが怖いんです」

 幻滅させただろうか。

 ハルさんが自分の心を詳らかに教えてくれたから、私もそれに応えたつもりだ。

 こんなにもみっともなく、情けないほど矮小な自分を晒した。

 どう思うだろうか。

 会った回数や言葉を交わした数も少ない、ちょっと相談を聞いてもらっただけの間柄だ、私たちは。

 さすがのハルさんでも愛想を尽かしてしまったのかもしれない。


 悪い方にばかり考えていた私を余所に、ハルさんはシャワーを手に取り温度調節のレバーを回す。

 カチカチカチと音が鳴り響いたかと思えば、シャワーヘッドを私に向けてきた。


「3、2、1、……はっしゃ!」

 急にカウントダウンを始めたかと思いきや、今度は水量調整のレバーを一気に全開になるように回した。

 当然、勢いよくシャワーヘッドから水が飛び出した。

 もう一度言う。お湯ではなく、水だ。


 ()()()水だった。


「きゃああああああああああああああ」

「ほれほれほれほれほれええええええ」


 何を考えているんだ!

 せっかく雨で冷え切った体が温まったところだったのに!


「ちょ、やめ、やめて! ハル、さん! おぶっ、うう、は、ハルさん!」

「あははははははは、まだまだまだぁ!!」


 必死に抵抗しているにも関わらず湯舟に入っているせいでハルさんの猛攻を避けきれずに、氷のように冷たい水を浴びてしまう。

 反射的に悲鳴を上げるが、そんな様子を見てハルさんは楽しんでいるようだった。

 止める気配が全然なかったので、人様のお家なのに非常に申し訳ないけれど、私はお風呂のお湯の中へ潜り込む。

 幼い子ども頃にやって、母親に叱られて以来、久しぶりにお風呂に潜った。

 冷水に晒された体が再び温かくなっていくのを感じる。

 しかし、それも束の間。

 息が続かない。


 またあの極寒に耐えなければならないのか。

 私はお湯から浮かび上がったら、力づくになってもハルさんを止めようと決心した。


 ざばぁ、と浴槽で一気に立ち上がり、すぐさまシャワーヘッドを目でとらえようと、両手で濡れた顔の水を払う。

 さらなる水攻めを覚悟していたが拍子抜けだった。

 すでにハルさんは水を止めていて、私を苦しめたシャワーはすでに元の場所に戻されていた。


「なんでこんなことしたんですか!」


「いやぁ、元気づけようと思って」

 絶対にうそだ。

 確かに声を張りあげてしまっているから、さっきよりは元気かもしれない。

 でも、時間が長かった。

 途中で思った以上に楽しくなってしまったに違いない。

 その証拠に、この人途轍もなく顔がニコニコだ。


「ごめんごめん。少しは気持ちは晴れた?」


「…………非常に癪ですが」


「えっへへへ、なら良かったよ」

 この人は、本当にずるいと思う。

 そんな無邪気でかわいい笑顔になられたら、ついつい許してしまい()()()()()


「沙織ちゃん、友だちと仲直りしなよ」


「え………?」


「怖くて前に進めなくなってるんでしょ? だったら背中押してあげる」

 そう言ってハルさんも立ち上がり、私のほうに近づく。

 そして、両手をこちらに伸ばして背中に触れ、優しく抱き寄せてきた。

 お互い生まれたままの状態なので、恥ずかしかったが、私は抗えなかった。


「今度は沙織ちゃんが人を頼る番だよ」

 私の番。

 これは私がハルさんの相談に対してした助言のことを言っているのだろう。


「怖くて動けないなら人を頼って前に進んだらいいんだよ」


「でも……そうしてもだめだったら?」


「また傷つくだろうね」


「そんな無責任な……」


「ま、 そのときは、またこうやってお風呂入ったり、遊んだり、買い物行ったり、甘いもの食べたり、しよ? あたしがいつでも支えてあげる。だから、沙織ちゃんは心配せず、安心して進んだらいいんだよ」


 ああ。

 この人はずるいだけじゃなく、容赦のない人だ。

 私に止まることを許してくれない。


 でも。

 ハルさんは、経験があるからこう言ってくれるんだろう。

 先輩とのことで、悩んで、行動して、そうすることで前に進めたこの人だから。

 だから私にも、そうしなさい、と。


「………………」


 私は子どもの頃から、あまり人付き合いをする人間ではなかった。

 一緒になって遊んだり、過ごしたりするような同級生なんていなかった。

 両親とだって仕事のせいで、あんまり一緒にいなかった。

 だから、ほとんど一人で過ごして、それでも平気なのだと自分に言い聞かせた幼少期だった。

 本当に平気になってきた中学生の頃に鳴芽と出会った。

 友だちになったきっかけは本当に些細なものだったけれど。

 初めてのちゃんとした友だちだった。


 そんな大事な友だちを失ったままでいてもいいのか?

 そんな人間がこれから誰かと繋がることができるのか?


「………………」


 できるわけがない。

 できるわけが、ないのだ。


「ハルさん」


「ん? なぁに?」


「私には大事な友だちがいたんです」


「うん」


「その友だちは記憶喪失で私のことを忘れているんです」


「……うん」


「私は忘れられたことが悲しくてその友だちから逃げました」


「…………そっか」


「でもまた、あのときみたいにあの子と一緒に遊びたいんです」


「そうだよね」


「だから……私―――――!!」


 一人で平気だった。

 でも、二人で過ごす心地良さを知ってしまった。

 だから、あの子から逃げても、私はどこか寂しかった。


 逃げるために進学先を地元から離れた場所にして。

 あの子から逃げた私が、また誰かと親しくするなどそんな資格がないと思っていたのに。

 先輩と繋がりをつくってしまった。

 罪滅ぼしのために『ココロ相談室』に入ってしまった。

 あかりとハルさんと友だちになってしまった。


 自分で決めたことも守れない私は、半端者だ。

 どうしようもない寂しがり屋だ。

 だから。

 叶うなら。

 あの子ともう一度楽しい日々を過ごしたい。


「―――――うん。わかった。それが沙織ちゃんの気持ちだね」


 抱き合ったまま、しっかりと私の言葉を受け止めてくれたハルさん。

 見た目や雰囲気はもちろん違うけれど、やはりどこか先輩と似ていると思った。


「よぉし! それじゃあ頭も濡らしちゃったことだし洗ってあげるね!」


「濡らした当の本人が言わないでください」

 言いながら、自然と笑いがこみ上げる。

 久しぶりだ。こんなふうに笑うの。

 まだ鳴芽のことは何も解決していないけれど、だけどもう大丈夫なような気がしてきた。



 なにせ、私には心強い味方がいるのだから―――――二人も。





 ◆




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