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こル・ココる  作者:
第二章 『志』
13/62

談後ふたつめ たまには昔話でも。

 



 ◆




 閑谷会長と決着をつけ、殺されかけたりもした激動の月曜日はまだ終わらない。

 傷を抑えながら自転車で家に帰り、ハルに色々世話かけながら一息ついたリビングでのこと。


「まったく~どうすればこんなケガして帰ってくるのかな~?」


「仕方ないじゃんか。まさか僕もこの歳にもなって本気で階段から転げ落ちるなんて思わなかったんだからさ」


「なんでそんなに落ち着いているのかってあたしは強くつよ~く取っちめたいんだけど?」


「なんだよ。さっきまであんなに心配してくれたじゃないか」


「ウソつく人を心配するほどあたしはお人好しじゃないもん」


「ナンノコトカナー」


「うん?」


「………ごめんなさい。でも、言えません」


「……ふーん。わかった」


「ありがとう」


「ダイちゃんに訊こうっと」


「ちょっと!?」


「………それにしても、さ。前にもこんなことあったよね」


「前にも?」


「ほら、覚えてない?小学校の頃にあたしがコウを連れて学校近くにあった山に遊びに行ったときのこと」


「ああ、あの頃のハルって今とは違ってとてもやんちゃでよく振り回されたなぁ」


「ふふふ。だってコウと遊ぶのに夢中でさ、一緒にかくれんぼしたりするの楽しかったんだもん」


「いつも『冒険だぁー』とか言いながら突っ走ってたよね」


「あー懐かしいなぁ。今でも残っているかなー秘密基地」


「さぁね。中学に上がってからハルも遊びに来なくなって自然と行かなくなったから」


「そのうち一緒に行こうよ!あの時撮った写真がまだ残っているかも」


「インスタントカメラ持って撮りまくったもんな……って、そこに置いてきてたの!?」


「うん、タイムカプセルとして埋めてきた」


「僕知らないよ?」


「教えてないし」


「勝手だ………」


「あたしより先に開けないでねそのタイムカプセル。絶対にだよ」


「教えられてないんだから、どこに埋められてるか分からないよ」


「それもそっか」


「……話を戻そうか。なにが『前にもこんなことあったよね』なの?」


「地味にモノマネしないでよ……。うーん、あのね。あの日はいつもみたいにコウと山でかくれんぼしててさ、あたしって負けず嫌いだから木に登って枝に隠れてたの」


「随分アクティブだな……」


「これで絶対に見つかんないぞーとか思ってたのに、コウってばすぐに見つけちゃうんだもん」


「そりゃあ僕が『もういいかーい』って言ったら『もういいよー』って空から聞こえてきたんだから見つけるさ」


「そうだったの!?なーんだ、あはは。バカだったなぁあたしも」


「それで確か意外にも早く見つかったもんだから驚いて木から落ちたんだったっけ?」


「そうそう。あの時はコウが受け止めてくれたから助かったけど、もしコウが居なかったら死んでたかも」


「僕が居なかったらそもそも木に登ってないでしょ」


「あの時のあたしは気付かなかったけど、コウはその時もケガしたんだよね………」


「確か右肩と左肘の脱臼だったような」


「そんな大ケガしたことがなんで朧気なんだか……」


「僕も最初はハルと同じで気付かなかったけど」


「鈍すぎるでしょ!!」


「この家に帰ってきて安心したハルが抱きついてきたおかげで怪我に気づいたってわけだ」


「あの時のコウって珍しく泣き叫んだよね。隣の家まで聞こえるんじゃないかってくらいに」


「そりゃあ骨が外れているところに人一人分の衝撃が加われば泣き叫びもするさ」


「その節はホントにごめんなさい」


「別にいいよ……。僕もこの通り忘れているくらいだし」


「それでも謝ることくらいさせてよ。それくらいしかあたしにはできないんだから………」


「そんなことない」


「えっ?」


「ハルが笑ってくれるだけで僕は元気になれるんだよ。……知らないだろうけど」


「………………」


「『晴夏』。名前の通り、ハルは僕を明るく照らしてくれている」


「コウ………」


「だから今回怪我したことは許して」


「それとこれとは話はべつ」


「クッ!」




 ◆




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