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心の中に  作者: ROLL
11/16

第11話:前兆

双葉とのピクニックの次の日。

双葉は疲れが溜まって、熱を出した。

俺は心配になって会社を休み看病する事にした。

たかが熱ぐらいでと思う人もいるだろう。

でも、俺には恐かった。

また大切な人を失うかもしれない・・・

そんな事を考えたら働いてなんていられない。


ピクニックの次の日から双葉は体調を崩した。

俺は学校へ行き、昼休みの時間などに電話した。

「ありがとう、心配してくれて」

「だいぶ楽になったから、大丈夫だよ」

双葉はそんな返事ばっかしかしなかった。

それが俺の不安をさらに募らせた。

双葉が学校を休み始めて3日になった時だった。

俺は柳双葉に声をかけられた。

学校で声をかけられるのはそれが初めてだった。

「優斗君、神山さん大丈夫なの?」

「多分、大丈夫だと思うけど。一応今日お見舞い行くつもり」

「そう、お大事にと伝えといてね」

「あぁ。心配してくれてサンキューな」

「じゃあね」

放課後になると俺はすぐに双葉の家へ向かった。

家のインターホンを鳴らすと双葉のお母さんが出てきた。

「あら、優ちゃん。久しぶりね」

「久しぶり、おばさん。双葉はどうしてる?」

「まだ熱が下がらないの。部屋で寝てるわ」

「そう・・・」

「優ちゃん上がって。双葉も喜ぶから」

「じゃあ、おじゃまします」

そう言って俺は神山家に上がる。

「双葉は自分の部屋にいるから」

「ありがとう、おばさん」

二階に上がって双葉の部屋のドアを叩く。

「入ってもいいよ」

双葉の声が聞こえる。

「よぉ。元気か」

「あれ、優斗。来てくれたんだ」

双葉はおばさんが来たと思っていたらしい。

「あぁ。さすがに心配でな」

「わざわざ、ありがとう。でも本当にもう平気」

「そうか?」

「優斗もきてくれたしね」

そんな事をストレートに言われると顔が赤くなる。

「皆、心配してるから早く元気になれよ」

「うん」

俺達はその後、1時間ほど話をした。

「じゃあ、俺行くな」

「うん。今日は本当にありがとう」

俺は手を振りながら部屋の外に出て一階へ行った。

料理の準備をしているおばさんに挨拶をして家を出た。

そして、この3日後に・・・


「優斗、仕事大丈夫なの?」

双葉がそんな事を聞いてきた。

「あぁ。今日は休みをとってある」

「ごめんね。私のために」

「気にしないで休め。おかゆ作ってやるから」

「うん。ありがとう」

同じ思いなんてもうしたくない。

俺は涙が出そうになった。

あの日を思い出した。

辛い辛い過去の扉が開いてしまいそうだ。



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