第六話 彼女が大家である理由
あれから少しして。
イスに座りなおした部長さんは、室内によく通る声で宣言した。
「さて! じゃあ無事にあすかたちが釣れたところで、今日の活動を開始するとしますか!」
「部長、本人たちを目の前にして『釣れた』とか言うのは、さすがにやめましょう」
僕よりも先に突っ込んだのは部員の西川さん。
気づけば、その姿を力也が心なしか怪訝そうに見ていた。……はて? いまのやりとりに訝しげなところなんてあっただろうか?
ともあれ、西川さんに苦笑を向けてから、部長さんは続ける。
「まずは演るものの説明からしたほうがいいかな? 幸い、今日は男子も二人ほど来てくれたからね。幅が広がって助かるわ」
ものすごく活き活きとした表情を浮かべる彼女に、ちょっと思うところがあって僕は手をあげた。
「はい、なにかな? 立川くん」
「実際に役を演じられる人は、全部で何人いるんでしょうか? 見たところ、第一演劇部は部員数が少ないようですけど」
「うっ、痛いところを突いてくるわね……。まあ、事実なんだけどさ。――そうね、メインを張れる人間は何人かって問われれば……ゼロね!」
「ゼロなんですか!?」
「もちろん、モブをやれるのは何人かいるわよ? でもメインを任せられる子はいなくって……。ぶっちゃけ、受験勉強があるからってんで、アタシ以外の三年生が全員、部活やめちゃったからね。……まったく! 受験と部活、どっちが大事だと思ってるんだか!」
「そりゃ、受験のほうが大事ですよ!」
むしろ、どうしてこの人はいまだに部活動なんかやっているのだろうか。……いや、それは僕と力也にも当てはまるのでは?
「こうしちゃいられない。力也、僕たちは受験勉強に専念すべきだよ。美花ちゃんみたいに、ちょっと手伝うだけならまだしも、主演とかやらされることになろうものなら――」
「ちょっとちょっと、なに言ってるのよ。やってもらうに決まってるじゃない、主演」
「決まってるんだ……」
それが世間一般の常識、みたいな顔で言われたからだろうか、僕の中に生まれた感情は反発ではなく諦めに近いものだった。
「ちなみに、幅が広がるとか言ってたからには、脚本と台本は何種類か用意してあるんですよね?」
「おりょ? もしかして立川くん、演劇に詳しかったりする?」
「別にそういうわけじゃないですよ。単に尊敬してる脚本家がいるってだけで」
そういえば、その人がメインで脚本をやるドラマ、今日スタートだったなあ。
……まあ、それはとりあえず脇に置いといて、と。
「それで、なにをやるのかは、これから多数決で決めるんですか?」
僕たちのことだから票が割れまくるだろうなあ、なんて思いながら問いかける。
時間はかかりそうだけど、多数決が一番妥当で、一般的な決め方だろうから。
しかし、部長さんは首を横に振り、
「ううん、アタシが独断で決める。というか、さっきアタシの中で決めちゃった。……ぶっちゃけさ、どんな劇をやることになっても、苦手なシーンって出てくるものでしょ? みんなの意見に耳を傾けるのも大事だとは思うけど、今回ばかりはそれやると、無駄に時間ばかりがかかっちゃうって。練習できる時間も限られてるわけだし」
自分勝手な発言と取れなくもないけど、一方でなかなかに説得力のある意見だった。
そして『練習できる時間』の言葉を聞いて、思い当たったことがひとつ。
それは梢ちゃんも同じだったのだろう、「あの」と控えめに口を開く。
「劇をやる日って、いつなんでしょうか?」
「ああ、そういや言ってなかったわね。……えっとね、十一月の四日。『彩桜祭』の二日目になるわ」
彩桜祭というのは、彩桜学園で行われる文化祭のことだ。
そして今日は十月五日の金曜日。
「もう一ヶ月切ってるの!?」
「なによ、立川くん。いきなり大声だして」
そりゃ、大声もだしてしまうというものだ!
「僕たちは素人なんですよ!? なのに、一ヶ月弱の練習だけで主演をやれと!?」
「大丈夫、最初は誰だって素人だから」
「それ言えば、誰もが安心すると思ったら大間違いですからね!?」
下手したら、素人な演技のままで舞台に立つことになりかねない。いや、下手をせずとも……。
「まあまあ、落ちつきなさいな、立川くん。大丈夫、素人なまま舞台に放り出したりはしないから」
「……本当に?」
「当然! 練習に練習を重ねて、これなら大丈夫ってならない限り、舞台には立たせないわよ! あ、もちろんそれくらいになるまで、みっちりと稽古つけさせてもらうんで、そのつもりでいてね?」
「そ、それはそれで嫌だなあ……」
「とりあえず、明日は学園に来るようにね。いつも登校してるのと同じ時間に。もちろん、強制はできないけど」
うわあ、休日返上でやるのか……。
まあ、一度引き受けたからには全力でやるけどさ。
と、そこで再び梢ちゃんが控えめに、
「あの、わたしはアパートの掃除とかがあるんですけど……」
「うん。だから強制はしない。本当に自由意思でいいんだって。まあ、責任感が強いのはいいことだけどね」
あくまでも、そういう姿勢でいてくれるのはありがたい。
一方で、美花ちゃんが梢ちゃんにひとつ提案。
「思ったんだけどさ、掃除とかは黒江さんやフィアリスに任せればいいんじゃない? 喜んで、とまではいかなくても、きっと引き受けてくれるよ」
「そう、でしょうか? 正直、悪い気がするんですけど……」
「問題ないって! 大体、梢ちゃんは普段から頑張りすぎなんだって! もっと学園生活を謳歌しなきゃ!」
「……そうかもしれませんね。じゃあ、帰ったら頼んでみます」
「うん、梢ちゃんは人徳あるから大丈夫! ――あ、それはそれとして施羽さん、私は明日、バイトあるので来れません!」
美花ちゃん? 梢ちゃんが部活に顔だすよう仕向けたのって、実はきみが逃げられるようにするためだったりしないだろうね?
……ありうる。
だって彼女は『主演はお断り』って、はっきりと言ってたし。
部長さんはちょっと呆れた顔になったものの、強制はしないとの言葉どおり、あっさりと美花ちゃんにうなずいてみせてから、
「じゃあ今日のところは、これで解散かな? 台本とかは、アタシのほうで月曜日までに用意しておくから。……あ、なにか他に訊きたいことある人はいる?」
その言葉に、僕は再び挙手。
「部長さんはさっき、メインを張れる人間はゼロって言ってましたよね? どうして部長さんや副部長さん、西川さんは頭数に入ってないんですか? 部長さんたちも舞台には立ちたくない、とか?」
それに答えてくれたのは、ここまでしばらく黙ったままでいた西川さんだった。
「すみません。部長は台本と全体的な調整、副部長はナレーター、私自身は衣装作りや大道具、小道具製作の陣頭指揮と、いっぱいいっぱいでして……」
「そ、それは大変そうだね……」
特に、西川さんが。
一年生なのに陣頭指揮って、どれだけ優秀なんだろう、彼女……。
そして副部長さんはナレーターをやるのか。
ナレーターって、あれだよね。場面が切り替わるときとかに、状況を説明する役。……天の声、とかいったりもするのかな?
彼女は確かに美声の持ち主だから、役どころとしてはピッタリだろう。
部長さんの仕事は……もう、どのくらい困難なのか想像がつかない。
台本はすでにできあがってるようだから、メインとなるのは全体的な調整なのだろうけど、それがどれだけの範囲にわたるものなのか。
簡単そうにも思えるし、すごく難しそうにも感じられる。
だって、まずは力也とあすかの手綱を握る必要があるわけで。
しかもそれだけじゃなく、人数が少ないとはいっても部員全員の動向に目を光らせなきゃいけないわけだし、場合によっては外部の人間との交渉さえ……。
うん、やっぱりすごく大変そうだ。
と、僕が納得したところで力也が「ところでよ」と西川さんに目を向けた。
「さっきから不思議に思ってたんだが、お前、なんで今日はセーラー服着てんだ?」
その言葉に、彼女だけでなく、その場にいた全員が「今日は?」と一斉に首を傾げる。
「いや、ちょっとだけだけどよ、話したことあるだろ? オレたち。あのときはブレザーを着てたじゃんか」
入学、あるいは進学時に選んだ制服や体操着の種類は、あとから変更できない。
それは、この学園の生徒なら誰だって知ってることだ。だからあすかもブルマを履いてるのだろうし。
「あの、佐野先輩。それって誰かと勘違いしていらっしゃるのでは? 私はそもそも、ブレザーの制服なんて持ってませんよ?」
「……あれ? いやいや、勘違いってことはねえと思うんだが。だって、ブレザー着てるのを見たのって、ほんの半月くらい前のことだし」
揃って怪訝そうな表情を浮かべる力也と西川さんの間に、部長さんが割って入る。
「友達に頼んで、ちょっとブレザーを借りたとかってこともないの? 詩織」
「ありませんよ。というか、佐野先輩と会ったことさえ、私にはありませんし」
「待て、それはねえ。あのとき、確かにオレはこう訊かれたぞ。『山本先輩を見ませんでしたか?』って」
その苗字には聞き覚えがあったのだろう。西川さんは人差し指を口許にやって、視線を宙にさ迷わせた。
「山本先輩とは、確かに中等部の頃からの知り合いですけど……」
「ちなみに、山本ってのはアタシと同じクラスの男子ね。明日から助っ人として来てくれることになってる」
すかさず入る、部長さんからの補足説明。
なるほど、その山本って人とも、明日には会えるわけか。
でもそんな情報は、なんの役にも立ちそうになかった。
しばし流れる、沈黙の時間。
それを破ったのは、原因を作った力也自身だった。
彼は髪をわしゃわしゃとやって、
「……釈然とはしねえが、まあいい。オレの記憶違いってことにしとくか」
口にしたとおり、釈然としないものがあるのだろう。彼にしては珍しく「あのとき、理緒も一緒にいてくれりゃあな」と割り切れずにいるようだった。
自分で自分のことをバカだという力也だけど、僕は知ってる。
なんだかんだいって、彼は自分で思っているほどバカじゃない。記憶力も理解力も、平均以上にはあるのだ。
だから、その力也がここまで食い下がるのなら、記憶違いではないと思うのだけれど……。
でも、僕がそれを言ったところで話は平行線のままだろう。
それがわかったからこそ、力也だってしぶしぶながら折れたのだろうし。
見れば、西川さんも納得がいってなさそうな表情をしていた。
これは、本当にどちらかが勘違いしているだけ、なのだろうか……?
と、すっかり重くなってしまった空気を、パンと両手を打ち鳴らすことで部長さんが吹き飛ばした。
「ま、どっちの記憶違いであっても、別に大したことじゃないでしょ。ともあれ、今日はこれにて解散。みんな、明日からよろしくね!」
一斉にうなずき、僕たちは誰からともなく笑顔を浮かべる。
僕にだって引っかかるものはあったけど、彼女の言うとおり、確かに大したことではないだろう。
それよりも、明日からのことに集中しないと。
「あ、そうそう。明日は体操着も持ってきてね。それじゃ!」
これといった片づけなんて必要ないのか、言うと同時に部長さんは部室から出ていってしまった。
でも、なんで体操着が必要なんだろう。
なんか、すごく嫌な予感がしてきたぞ……?
◆ ◆ ◆
その日の夜。
片山荘の炊事場。
「――と、いうわけなんです。黒江さん」
梢ちゃんが学園でのことを黒江さんに話したのは、みんなで夕食をとっているときのことだった。
「普段から税金関連のことはやっていただいているのに、そのうえ、こんなことまで頼むのは正直、気が引けるのですが……。お願い、できるでしょうか?」
心底、申し訳なさそうな梢ちゃんの口調。
黒江さんはいつもの微笑を浮かべたそのままで、
「もちろん、引き受けさせてもらうとも。なに、この程度の敷地を掃除するなど、私にかかれば朝飯前というものさ」
「あ、ありがとうございます、黒江さん!」
梢ちゃんはガバッと頭を下げる。
それに、いまは紫を基調としたワンピースを着ているフィアリスが、笑みを浮かべて席を立った。
「相も変わらず大げさじゃな、梢は。それに、もし仮に黒江が断っていたとしても、じゃ。そのときはわしのほうから承諾させておったよ」
いや、そこは『わしが申し出ていた』って言うところじゃないのかな……。
同じことを思ったのだろう、黒江さんも顔を苦笑の形に歪めていた。
「まあ、そう言うだろうと予想できていたから、二つ返事で引き受けたというのもあるのだけどね」
梢ちゃんも梢ちゃんで、
「無理強いはいけませんよ……」
と、少しだけ弱々しい声で抗議する。その目尻には、わずかに光るものが。
フィアリスはかまわずに彼女の頭に手を置いて、
「梢はもう少し肩の力を抜くべきじゃ。大家というても、実際はまだ十六の小娘なんじゃから」
自分よりも年下の娘が優しく紡いだその言葉に、梢ちゃんの瞳からぽろぽろと涙の粒がこぼれた。
「……とても、久しぶりのことなんです。部活動に入って、同年代の人たちと同じ時間を共有するのって。……だから、とっても楽しみで、嬉しくって……」
ガタッと音を立てて、あすかが立ちあがる。
「どうした!? 梢、なんで泣いてるんだ!? 誰が泣かしたんだ!」
しかも、なんか怒ってるよ……。
彼女を諭すように口を開いたのは、誰よりも早く食事を終えていた力也だ。
「ばーか。別に誰が泣かしたってわけじゃねえよ。嬉し涙ってやつだろ、それくらい察しろ。それにな、泣きたいときには泣かせてやるもんだ。それが優しさってもんだろうがよ」
「そ、そうなのか……」
納得して座りなおしたあすかと入れ替わるように立ちあがって、彼はフィアリスがしたのと同じように梢ちゃんの頭をそっと撫でる。
「実際、掃除やらなんやらに追われて、部活やる時間なんてなかったもんな、梢っちは。そんなんが……ええと、何年くらい続いたっけか? おっさん」
「ふむ。先代の大家夫婦――功一くんと恵理くんが交通事故で揃って他界したのが、梢くんが中等部に上がる直前だったから……そうだな、かれこれ四年近くは大家の仕事に忙殺されていたことになるか」
「そんなに、か。本当、月日が経つのは早いもんだな。四年前なんて、オレがまだ荒れてた頃じゃねえか」
よしよし、と頭を撫で続ける力也をよそに、僕は疑問を口にする。
「でも、なんで梢ちゃんが大家に? 他にも親戚はいるのに……」
それに答えてくれたのはフィアリスだった。
「それはの、いまとなっては梢が唯一の『純血』じゃから、じゃ。わかりにくいようなら本家の人間じゃから、と言い換えてもよいぞ? この片山荘は……片山荘の性質は、その『血』によってのみ受け継がれる。……いや、これは違うの。ここを継いだ『純血』の大家の『血』と『名』が片山荘の性質を決める、というべきか」
「あの、意味がよくわからないんだけど……」
「まあ、お主は分家の人間じゃからの。知らぬのも無理はないし、知る必要とてない。――あすかには昔に説いたじゃろう? ここはもう、ただの『候補地』。『止まり木』でしかないのじゃ、と。お主が連れてこられたときにあった『恵み』と『成功』の性質はもう失われたのじゃ、と」
「なんとなく憶えてる。ここは、止まり木。いつか、ひとりで生きていけるようになるための、止まり木なんだって。それでも、あたしはここに残ることができた。ここで梢と暮らしていたいってワガママを、許された……」
「うむ、お主の父――あの会長は、まだここに『大いなる善』が……その残滓があるのでは、と思っておるようじゃからな。じゃから、お主をここに残したのじゃろう。ほんのわずかな希望を託すかのように」
「そんなの、あたしの知ったことじゃない。あたしはあたし、天王寺グループは天王寺グループだ。……それと力也、お前はいつまでそうしてるんだっ!」
唐突に、力也に向けて蹴りを放つあすか。
別に、腹を立てるような光景ではなかったと思うのだけれど……。
彼もそう感じたのだろう、今回ばかりは文句を口にした。
「おい待て、あすか! オレ、別になんもしてねえだろ!?」
「うっさい! いつまで梢の頭撫でとんじゃっ! それはあたしがやる! お前はいい加減に梢から離れろっ!!」
……ああ、なるほどね。
察すると同時、いつの間に隣にやってきていたのか、美花ちゃんに肩をつつかれた。
「あれは嫉妬だね、間違いなく」
「だろうね」
あすかは、力也が梢ちゃんの隣に座ったりすると『梢の隣にはあたしが座るんだ!』なんて怒ったりすることがある。
最初の頃は、僕だって素直に見たままの光景を信じてた。……ああ、あすかは本当に梢ちゃんが好きなんだなって。
でも、いつからだっただろうか、あすかは力也が美花ちゃんと話してるときにも頬を膨らませたりするようになった。
梢ちゃんが相手じゃないから蹴りこそ飛ばないものの、彼女はポーカーフェイスとか絶対にできないタイプだから、わかりやすいにも程があって。
でもきっと、真正面から指摘しても真っ赤になって否定するんだろうな、あすかは。
いや、もしかしたら、きょとんとした表情で首を傾げるだけなのかもしれない。まだ自分でも自覚できてない節があるから。
そんなことを考えてるうちに、気づけば梢ちゃんの涙は止まっていた。
「すみません、泣いてしまって。……じゃあ、黒江さん。片山荘のこと、しばらくお願いしますね」
「任されよう。梢くんは大船に乗った気でいるといい」
胸をトンと叩いて、黒江さんは軽く請け負う。
でも、実際にはとても大変なことなんだろうな。
敷地内の掃き掃除をしたり、廊下を水拭きしたり空拭きしたりと、僕に思いつくだけのことでも、けっこうな作業量なのだから。……それを、梢ちゃんは四年以上こなしてきたのか。
『純血』がどうこうって話はさっぱりわからなかったけど、彼女のやってきたことのすごさと、大変さは理解できた気がした。
「じゃあ、今日はいつもより早めに寝ないとね。みっちり稽古つけるって言ってたから、きっと明日はハードだと思うし」
そう言って、僕は茶碗をまとめて持って立ちあがる。すると隣にいた美花ちゃんが、
「ああ、お皿はそのままにしておいていいよ。私が洗っておくから」
そういえば彼女は、バイトがあるから明日の活動は休むんだったっけ。
お言葉に甘えて「じゃあ、お願い」と返し、僕は力也と一緒に炊事場を出た。
明日から始まる演劇の練習が、僕の想像以上にハードなものになるのだとは知らない、そのままで――。
ついに演劇部での活動がスタートしました!
一方、西川詩織関連で不穏(?)なことが少々。
女子高生である梢が『片山荘』の大家をやっている理由――正確には、梢以外の人間が大家にはなれなかった理由も、少しばかり不明瞭なところがあるものの明かされました。
力也と詩織の発言の食い違いは、一体なにが原因で起こったのか。
『大いなる善』とはなんなのか。
『候補地』だという『片山荘の性質』とはなんなのか。
そもそも、『片山荘』はなんの『候補』地だというのか。
そして、あすかの家の事情も見え隠れしていたり……。
なんか、謎ばかり増えていますね(笑)。
そうそう、『候補地』という単語自体は、実は『そんな二人の恋愛事情』のほうでも出てきていたり。
いまだ不透明なところが多いですが、楽しめていただけていれば幸いです。