4日目 逆さ大瀑布 オマケ
今回はいつもに比べて大分短めです。
激闘を終えた勇者様が、簡単に汗を流した後で言いました。
「そう言えば、副団長殿はどこに行ったんだ?」
「あ、俺も知らね。リアンカちゃんがなんか頼んでたけど?」
2人の男が、くりっと振り返って私を見る。
「……………」
笑顔のまま、無言を貫く私。
まさか、言えません。
「勇者様が負けた時のことを見越して、保険の為にお遣いを頼んだなんて…--!」
「言ってる言ってる」
「リアンカちゃん、考えてることだだ漏れー」
2人から、呆れた目で見られました。
結局その日は勇者様の消耗もあり、逆さ大瀑布で一夜を明かすことになりました。
副団長さんとも合流しないとですしね。
まあ、その気になればこの人数ならマリエッタちゃんで運べないこともありません。
副団長さんが明日の朝までに戻らなければ、マリエッタちゃんで先に進むとして。
八割方私のせいなのですが。
ただの足止めだったのに、上役の命を忠実に実行し、ボロボロになった虹龍。
せめてもの罪滅ぼしに、その治療をかって出ることにしました。
そうしたら恩に着て、何か見返り無いかな、と下心付で。
ちなみにまぁちゃんは依然眠りっぱです。
まぁちゃんに使った眠り薬は、魔王といえども連続投薬が危ぶまれる代物で。
変な副作用がでるかもしれないので、多用はできません。
…魔王に副作用を及ぼす様な薬って。
自分で作り、自分で使ったわけですが。
ちょっと自分で言ってて、ぞっとしました。
この薬、本当に危険すぎる代物だなー…。
さて、今夜の寝床はテント1つ。
だけどそれを使うのは私1人のみ。
勇者様とサルファ、まぁちゃんはテントの外です。
まぁちゃんの忠告に従うって訳じゃないですけど、流石にこの面子じゃ、なんとなく。
なんとなく、一緒のテントで眠るのはどうかと思ってしまったんです。
それにサルファのことも、そこまで信用して気を許せないと思ったので。
今夜は1人、テントは広々。
テントから出れば勇者様やまぁちゃんがいるって、ちゃんと分かっています。
だけど1人きりのテントの中が、何故だか広くて寂しくて。
昨夜までは眠るとなったら大騒ぎのどんちゃん大乱闘で、楽しかったのに。
昨日までの騒ぎっぷりとの落差が大きくて、余計に寂しくて。
私は憂鬱な気分で、毛布を頭の上まで引き上げました。




