第一話 笑えない
第一話です!呼んでくれる皆さん本当にありがとうございます!1つ言っておきます。御影は高飛車な女ではないです。とてもいい子です。イラッと来ても、ぜひ最後まで見て行ってください。
✕ ✕ ✕
「………すっ、好きです!!」
「…あ、ごめん無理です、すいません」
「え………」
そう、即答。悪気はない。もちろん嫌いでもない。
でも、私はその点に関しては即答なんだ。
なぜか。
それは――――――――――――。
―――それは、好きなんて気持ち、一生分からないから。だから、恋愛なんてしない。
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「…………ただいま。」
「…………お、かえり……」
帰ってくるなり、この反応。
このアホみたいな反応するアホは、私の隣のうちに住んでいる千晴虹汰。隣にいるのは虹汰の双子の弟の陽弥。で、私は月宵御影。
軽く説明しておくと、私たち3人は同じ病院で生まれて(だから誕生日が一緒)、14年間一緒に遊んできた仲だから、よっぽどの事がなければケンカもしない。要するにもう三つ子と言っても過言ではないような仲なのだ。
しかし、私と虹汰には他の人とは違う事が一つだけある。
それは、私たちが当主だという事。
しかし、当主と一言言ってもピンと来ないかもしれないが、月宵家と千晴家はここら辺ではかなり有名な超金持ち家で、私たちはその跡取りなのである。当主は千晴は男、月宵は女と決まっている。
しかし、私には今は亡き姉がいる。普通、当主は長女長男がするものなのだが、
―――――――――――――私の姉に無く、私にあったものがある。それを私は少し不満に思う。
私の姉は「笑う」事が出来て、私は「笑う」事が出来ないのだ。
なぜ笑えないかと言うと、月宵の当主の“呪い”のようなものがあるらしい。その呪いと言うのが、「笑う事が出来ない」という事らしい。
しかも、先代の当主あたりからそもそもの感情を忘れかけてきているという事なので、私もあまり感情の表現は得意ではない。
別に私は生まれた時から人は笑わないようなものだと思っていたので、笑えない事に対してさほど嫌な思いはしていないが、姉が泣いていた時、とても「怒り」のようなものが呪いに対して込み上げてきたのを覚えている。
まぁ別にこの2人や他の兄弟の対応が変わるという事も特にないので、あまり気にしていない。
気にしていないと言えば、嘘になるかもしれないが、とにかく私には気を遣ってくれているみたいだ。
「………てゆぅか、御影。俺らと一緒に帰れなかった理由。」
そうこうしているうちに、陽弥に話しかけられた。
「なんか、告られた、らしいね」
「何それ、やっぱいつも曖昧すぎ。あーあ、虹汰、言われちゃった」
「いや、ちょっとはオブラートに包もう?いくら感情分かんないからって、人間だよ?」
…………別に、気は遣ってなかったみたいだ。
「……で?どう、だったの?」
「…どうだったのって、別に、いつもとおんなじ」
「…………はぁ」
何故かこの話になるといつも虹汰が安堵のようなため息をつく。
なぜなら虹太は私の事が好きらしいからなのだ。
なぜこんな私のような、笑わない人形のような私を好きになるんだろうと思っているのだが、それはとても私が嬉しい事だと思う。
今は分からないが、いつかきっと、虹汰の気持ちを理解してみたいと私は思うし、その気持ちに応えてみたいとも、思う。
こんなアホだけど、笑う事だけは、尊敬できる気がする。