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告白

「これからどうすんの?私のこと死なせたら承知しないし!!」

「はは、死なせねーよ。何のための人質なんだ。」


広人に攫われてから一週間以上経った。


毎日広人と他愛のない話をしまくった。

学校がどうだの、好きな人ができないの、好きなTVテレビのこと、あの時どーしたのこーしたの、

喋りまくって時間を楽しんだ。


あははと笑いながら私は言った。

「こーして話をしてると容疑者と人質じゃないみたいだよね!」

「そうだなー。でも一応千夏を殺せる準備はしてるけどな!!」


その言葉にヒクッ、と体がとまった。


「ま・・・まじで?」

「ん、本当。」


そう言うと広人は車を止め、棚から何かを出してきた。

手には銃、出刃包丁、ナイフ、などなど。

「まあ、こんなもん?」

「こんなもん、じゃないっ!」


でも分かっている。広人は私を殺すことなどないのだと。

話しているうちに自然と広人の事情が分かってきた。


広人の家は4人家族で、兄がいるらしい。


そして―――――――――。


「俺は、両親を殺したんだ。」


その言葉には悲しさも悔やむ気持ちも怒りも何も、感じ取れなかった。


「え・・・・・・?」


「俺は家族を殺した。」


「家族ってお兄ちゃんも?」


「いや、お兄ちゃんは惜しくも取り逃がした。」


さらに広人は続けた。


「家に火を付けた。お兄ちゃんは命からがら犯人を俺だとも知らずに俺の手を引っ張って燃える家から

逃げ出した。・・・馬鹿だよな。」


「なんで殺したの?!」


「別に・・・。ウザかったから。」


「そんな理由で殺したの?!」


「お前の知ったこっちゃねーよ!!俺の両親はな、いつもいつも兄だけを可愛がり、評価した。

俺と比べた。兄に向けては、『良くできたな。』とか『我が家の誇りだ。』と褒めて可愛がった。

たくさんの物も買ってきていた。おもちゃも兄のほうが遥かに多かった。

でも俺に向けては、『なんでお前は兄ちゃんみたいにできないんだ?』とか、暴力を振るわれた。

母さんにはしまいに『あんたなんか産まなきゃ良かった!!お兄ちゃん一人で十分だったわ!!』

って言われた。俺はそれがずっとウザかった。だから殺した。なんか依存あるかよ?」



「はあ?!そんなこと他の家だってよくある事じゃない!それだけで殺すって・・・。

広人あんたそんな人だった?!最悪!!私はお姉ちゃんだけ・・」


私が言い終わるうちに広人が言い返した。


「上のお前に何が分かるんだよ!!お前の妹だってきっと俺と同じ思いをしていたはずだ!!」


「そんなことない!!私は加奈に勉強も教えてあげたし、お母さんもお父さんも私たち二人に

平等だった!悪いのは・・・・広人の両親だよ・・・・・・・・。」


広人がその言葉に驚いたようだ。


「・・・・・・・・・・。」


「でも、両親を殺すことはいけないことだわ。私の友達にもそんな人がいた。でもその人は殺してない。

我慢して私にずっと愚痴をこぼして、言い終わると、『スッキリしたわ。ありがとう。また聞いて頂戴』

って言うの。あんたもそうすればよかったのに。」


「・・・・悪かったな、怒って。」


そう言って広人は私のことを抱きしめた。


「・・・私もごめんね、何も知らないのに酷いこと言って・・・・・。」


「いいよ、別に。」



「・・・なあ、俺千夏のことが好きなんだけど。」


その言葉に驚いた。それでも嬉しかった。だって広人が好きなんだもん。

どうしようもなく。


「いきなり言うんだね・・・・・。」


「どうなんだよ?」


これはもう応えるしかないよね。


「私も好きよ・・・。」


精一杯気持ちをこめて言ってみた。


「本当に?」


広人が驚いたようにして言った。


もう、伝わってないの?だから・・・・、


「好き、大好き。もう、ずっと。」


すると広人が妖しい笑いで、


「俺さ、本気で好きって決めた女は捕まえたら離さない性質タチなんだけど、それでもいいの?」


と言った。


「うん、いいよ。離さなくて。というか、離さないで・・・・・。」


「じゃあ、離さない。」



しばらくの間があった。

正直私の心の中には焦りがあった。

広人はどう思ってるのか。


「・・・なあ、俺お前にキスしたい。」


突然のことだったので驚いてしまった。


「え・・・・・・?」


「だからキスしたい、って言ったのー。」


子供みたいに膨れて広人が言った。


ちょっとだけ面白くなって言い返してやった。


「ふーん、でもこの車の中では嫌。もっと安全なところでキスしたいなー。」


甘い声でねだってみる。

                

「もう安全な場所は確保してある。この俺が、全国指名手配犯の俺がそのような場所を確保していない

とでも思ったのか?」


「え、もう?!」


私が予想していたのはそれとは反対の答えだったのに、見事に出し抜かれた。


「もちろんだ。そこに行ったら、キスしてくれるんだな?」


「・・・いいわよ。」


「じゃあ、早速行こうか!」


そう言って車を走らせた。


広人が運転しているときに私はこんなことを思った。


私は今かなり危ない恋をしているのではないか。

容疑者と人質なんて・・・・。周りのひとが知ったらどう思うんだろう。

私の神経狂ってるとか思う?周りに責められる?

それに広人が捕まってしまったら・・・・・・。

TVで死刑だと聞いた。そうなったらもう私と広人は永遠に会えない。

その時自分はどうすればいいか。


「検討付かないよ・・・・・・・。」


小さくつぶやいた。


「なんか言ったか?」


「・・・これからどうなるのかなぁ、って思って。」


「怒ってる?」


「ううん、怒ってない。」


「そっか・・・。もうそろそろ着くから、支度しておけよ。」


「うん、分かった・・・・・・。」

っていうか、「離さないで」「じゃあ離さない」って、バカップルかー!!!

って話を書いてる自分でも思いました。

でも早くこの二人をくっつけてあげたいなー。と思っていたので、両思いに

できてよかった!(というか両思いにするタイミング早くない?という意見は

ナシで(汗)

それではなにとぞ二人をよろしくお願い致します。


                              by姫ちゃん

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