溢れる愛
えーっと、今回は広人目線のほうが多いかな。
時間もあまり取れなくて、一話が短くなってしまいました。申し訳ありません。ある人は、これが愛、愛、愛・・・(タイトルにもあります)。
バカップル(ちょっと大人しめだったりする?)と思う方(作者含め)お詫び申し上げます。
「ん・・・」
眩しい朝日に顔を照らされて、千夏は目を開けた。
横には、いたずらっぽい目をしながら千夏を見つめている広人がいる。
「おはよう」
広人の声に、千夏もおはようと答え、それが昨日の出来事を思い出させる原因となった。
「・・・・、う、わぁぁぁぁ!!!」
クラウチングスタートを切る陸上選手のような速さで、千夏はベッドから離れた。
そうだ。昨日は広人に謝りに行って、なんとか和解したんだっけ。でも、その後。
問題はその後なんだってば。
「千夏。体、見えてるぞ?」
広人が抑揚のない声で言う。
「おわっっ!!」
自分が素っ裸な事に気づき、あわててベッドへ戻る。
「昨日、ごちそうさま。すごく美味しかった」
そう笑いながら彼は言い、千夏の頭を一撫でしたあと、ベッドを抜けて、颯爽と部屋を出て行った。
「くっそう・・・」
やってしまった。そう、本当に「やってしまった」のだ。
口にも、首筋にも、体中に広人がつけた痕が残っているような気がする。
気にすると恥ずかしいような気もするが、これで一段階超えた気もする。
もう私は戻れないところまで踏み込んだんだなという実感が湧いた。
それでも、広人を愛しているから、そんな実感は何とでもないと思った。
☆―☆―☆
「は~・・・」
自分の部屋を後にした広人は少し歩いたところで壁に凭れかかってしまった。
まさか千夏があんなに女らしい雰囲気を出すとは思ってもみなかったのである。
普段にはしないキスをするだけで、千夏は聞いた事もないような声で喘ぎ、濡れた目で広人のことを見る。
そんな彼女が愛しくて、さらに激しくしてしまったが。
らしくない。広人は口の中で呟いた。
今まで不満ながらも警察に追われてきた身だが、最近の彼は、何が起ころうともそう動揺することはないと思っていた。余裕さえあった。
しかし彼女を攫ってしまった後はこの様だ。
そんな大人の女でもないのだから、攫うのにもそれから軟禁(当時はそうだと考えていた)するのにも骨が折れる。なんて思っていたが、案外彼女は素直についてきた。妹バカだったらしい。
今では姉と妹を引き離して申し訳ないという気持ちもあったりするが、それから千夏が見せる様々な一面に広人は惹かれてゆき、今ではこんなに考える事もままならない。
そんなにも自分は深く愛してしまったのだと自嘲しながら思う。
今なら、彼女に全てをあげられる。あげられると言えるほどのものは持っていないけれど。
それでも、愛している。この想いに限界は無いのであろうと思うくらいに、積もってゆく。
たとえ、自分に何があろうと。命を脅かす何者が来ようと。
絶対に千夏のことだけは守ってみせる。
やっぱりバカップルに見えませんか・・・?(汗)