プロローグ②
7/19 投稿。
2011/02/12 修正。
裂け目の中をほんの一歩進んだだけで、異世界に俺と紗耶香はいた。
世界移動の類かと自己分析をした。
「それにしても、嫌な世界だな」
この世界は、邪気,欲が溢れている……それに殺風景だ。
「今はね。前はきれいな世界だったよ」
むっ、大きい気配が1つあるな。
俺は気配のする方を見た。
………
……
…
うん。見なかった事にしよう。
「何をやっているの!刀祢!!」いつの間にか紗耶香は刀を握っていた。
やらないとダメ?だってドラゴンだよ?.....やらないとダメだろうな。
俺はため息をついてから、魔法で愛刀を呼びだしてそれを握った。
「うおおぉぉ!」俺は声を出しながらドラゴンを斬る。
「嘘だろっ!?」俺の愛刀-霧夜-で斬れないなんて。
ドラゴンの頬――在るのかは知らないけど――が膨らんでいた。
ブレスか!?俺はドラゴンから一気に離れ防御態勢を取る。
案の定、ブレスだった。炎は防げたが、暴風は防ぎきれずに後方に飛ばされる。
「ぐあぁつっっ!?」俺は岩にぶつかり、肺から空気を強制的に外に出された。
防御魔法で緩和させたが、しきれずに口から血が一筋流れそして意識を失いそうになるが、根性で堪えた。
「刀祢!?」
「っ!...大丈夫だそれより後ろに下がっていろ」
俺は大丈夫と伝えるために片手をあげる・・・が正直つらい今ので何本か骨折ったかも。
治癒魔法で治療するがそれは応急措置にすぎない。終わったら病院行こう。
俺は痛みが幾分か治まった身体で再度、愛刀の霧夜を持ちドラゴンに近づく。
愛刀のリミッターを解除した。
刀身が輝き、光が粉のように辺りに舞う。
「霧夜。久しぶりだなそれと長い間封印しててごめん」俺は、愛刀-霧夜-に謝る。
「いいんですよ」と優しく主-刀祢を慰めるように言う霧夜。
霧夜の名前の由来は、霧のように闇(夜)を切り裂く事から俺が付けた。
「ドラゴンを倒すぞ」
「分かりました」と愛刀は主に応える。
俺はドラゴンに向かって歩き出した。対してドラゴンは怯え後ずさりをする。
「俺に手を出したからには許さない!」俺はそう宣言するとドラゴンの背後に一瞬で移動する。
「うあおおぁ!!」と叫び声を出しながら霧夜を振るう。
「くぎゃ!?」ドラゴンは驚いているようだ。
攻撃範囲から離れている筈なのに、くらったのだから。
「俺の視界と察知範囲から消えろ」と殺気を込めてドラゴンに行った。
ドラゴンは無言で空を飛び、遠くに逃げて行った。
「ふぅ~」と俺は深呼吸をしてから刀を鞘にしまう。
「暫くの間放っておいて鞘にしまうなんて……」と霧夜が言ってくる。
家に帰るまで待っててよ。
「紗耶香、ここに何かあるのか?」
「今日は、力を見るだけに来たの。明日からは悪魔を倒しね」と言って空間を斬る。
俺たちは元の世界に帰った。
あの力は厄介だな、消さなければ。
俺の欲望のためにな…
異世界から戻ってきて早々に紗耶香が家から出て行った。
紗耶香の気配が完全に消えてから霧夜が光りだす…人間の姿になるのか。
「刀祢ぁ~!」甘い声で言う霧夜そして次の瞬間。
「べしゅ?!」霧夜が俺にもの凄い勢いで抱きついてきたのだ。
霧夜は女性なのだ。初めて霧夜が人間の姿になったのは驚いた。
人間の姿になるにはあまり驚かないけれど、女性だったのだ!(ここ重要!)
「独りで寂しかったんだよ?」涙目で上目遣い...そんな目で俺を見ないで!
「それに関してはすまないと思っている」
「ふうん。じゃ、あの女は何?」と霧夜は冷やかな目で俺を見てくる。
「任務の仲間。それ以上でもそれ以下でもないから」
「刀祢は私のものなんだから!」
「いや、どちらかと言うと俺の物では?」と言った俺だが、何を勘違いしたのか霧夜は顔を赤くさせくねくねしている。
「霧夜。今日は疲れたからシャワー浴びて寝るわ」
「なんで、此処にいるの?」俺は、秘所を隠し目線をずらして言った。
そう、浴室に行ったら裸の霧夜が居たのだ。
「一緒に入りたいから!!」と言って霧夜は俺に裸で抱きつく。もう一度言おう、裸で!!
俺はまわれ右をして出ようとするが、霧夜に阻まれる。
「だめなの?」と霧夜は涙目+上目遣いで俺を見つめてくる。
くっ、こうなったら俺は...男は腹を括るしかない!!
「だめじゃないです!!」
その後の記憶は残っていない。
気づくと俺はベッドに寝ていた。
俺は右を見ると、幸せそうな表情をしながら霧夜が裸で眠っていた。
一体なにをしたんだよっ、俺!
「ふみゅ~」霧夜は寝惚けているのか俺に抱きつく。
む、胸が当たっているのですが!?
「霧夜?」俺は刀に強制的に戻すために霧夜の左腕を触る。
「ん、刀祢?」起こしてしまった。
「朝食作って、食べて、学校行ってくる」と俺は霧夜に言う。
「私も連れてって!!」それは、刀として?それとも・・・
「いいぜ」と一応言っておこう。
あれから数分後にやっと霧夜が解放してくれたので、台所に行った。
今日は時間が無いのでごはんとみそ汁だけ作って食べた。勿論、霧夜の分も作った。
「学校行くから。元の姿に戻って」
「なんで?」
「ほら、入学してないのがうろついてたらあれだろ?」
「そっか・・・。なら仕方がないね」と悲しそうな顔をしながら言った。
俺は霧夜の右手を握った。
霧夜は顔を赤らめた。
「人前で喋るのはダメだからな」と釘を打ち、元の姿に戻した。
俺は霧夜をおさめ、腰につけた。
俺はワープで学校に行った。
「彩、昨日はえらい事をしてくれたな。おかげで大変だったんだからな」
「いいじゃん」と彩は笑顔で言った。
俺はため息をついてから、自分の席に着いた。
昨日、遠藤捕まえたから替わりに誰が来るのだろう?
いや、懐かしい気配を感じるのは気のせいか?
ガララと扉が開く音がして女性が入ってきた。
「母さん!?」俺は人前を気にせずに大声で言ってしまった。
「刀祢。久しぶりね」と笑顔で言う母さん。
「なんで此処にいるの?」
「会社のコネかしら?」
そうですか。会社の力を使ったのですか。ご立派でなによりです。
「霧夜は?」俺は刀の状態の霧夜を見せた。
「人間にしてあげたら?」母さんは知っているのだ。
「いや、今日は・・・」
「そう、わかったわ。...皆さん席について!!刀祢も座りなさい」
「分かった」と言い俺は自分の席に座った。
授業の内容だが、特Aクラスに必要な授業だったと言っておこう。
「刀祢ついてきなさい」俺は母さんに呼ばれた。
屋上に行くらしい。
屋上に出ると、俺と母さんは誰も居ないかを確認するために気配と目視で探る。
誰もいない。
「何?母さん。重要機密?」
「ええ。一斉にマフィアを狩るために招集されるわ」それはまた偉い事で。
「でも、そんなにランク高くないけど?」
「あなた、断ってるでしょ」
「はい」母さんに隠し事をしても無駄なので正直に白状する。
「あなたも来るのよ」
はぁ。やるしかないのか。
「・・母さん。何処でやるんですか?」
「アメリカだったかしら」
「全員ですね。それでどのくらいまで許されてるんですか?」
「詳しくは聞いてちょうだい」と母さんは言い帰っていった。
「霧夜」
「何?」霧夜は刀のまま言った。
「アメリカに行くぞ。二人でな」
こうして、俺はアメリカに旅行――といっても仕事なのだが――に行く事になった。
やっとプロローグが終わりました。
次回からはマフィア狩り編です。・・・多分。
では、