10話
自宅に帰った俺は朱梨先輩の意図を考えていた。――なぜ俺をまた誘ったのか?
「分からないな……」そう、分からない。
「刀祢どうかしたの?」
「ああ、ちょっとな」
「ふーん。私を置いて他の女と会ってたんだ?」
霧夜が目を細めながら俺に殺気を放つ。
「良く分かったな? って殺気を放たないでくれ」
霧夜は俺が家に帰ってきた時には空気中の魔力を吸収したのか人間の姿になっていた。
「刀祢は私のなんだからっ」
「うお!? 分かったから、抱きつくのはやめてくれ!」
「だーめ」小悪魔的な笑みを浮かべて、そして俺の頬にキスをした。
霧夜にキスをされた?
「へー、あんたたちそういう関係だったんだ」
突然聞こえる第三者の声に俺は身構えるが、聞き覚えのある声だったので解いた。
「なんで紗耶香がここにいるんだよ……」
「あら、いけなかったかしら?」
「悪くはないが。いや俺が言いたいのはこの事じゃ、ないんだ」
「じゃあ、何?」
「どうして人の家に勝手に上がっているかってことだ」
紗耶香は言葉の意味が分からないのか長い時間首を傾げていたが、
「ダメなの?」
「いや、なんでもないんだ。気にするな」
「そう。本題に入るけど依頼の続きするわよ」
どうやら俺には休みというものがないようです。