7話
ふにゅ、といった男の子なら嬉しい柔らかい感触が俺の右腕に感じる。
見てみると、いつ裸になったか分からない霧夜が抱きついていた。
「気持ちいい?」
「霧夜。頼むから服を着てきてやってくれ……」
「仕方がないな」と残念そうな表情をしながら服を着る。――といっても下着だが。
これでいいか、と霧夜が聞いてきた。
「ああ。どうせダメって言ったら脱ぐんだろう?」
「私の事をよく知ってるわね。ご褒美をあげちゃうぞっ!」と言って俺にキスをしてきた。
慣れているつもりなんだが、なぜか恥ずかしいんだよな。
「刀弥。今日は安静にしてなきゃだめだからね」
不安そうに瞳を揺らして俺を見つめていた。そんな顔をしていると断れないだろう……。
「霧夜も休んでくれよ。俺はお前が居ないと何もできないに等しいからな」
実際、霧夜には六割ぐらいは頼っている。――今、俺なんて言った?
傍から見れば愛の告白と勘違いされそうな言葉を言ったような。
「――ううん。私は何もしてないよ。全部、刀祢の力だよ」
霧夜は突然、俺を抱いた。――前だから胸が当たってる。
柔らかくて、甘い匂いがする。
「ちょっと、霧夜っ?」
「あんっ。……刀祢の息が当たってる」と言って霧夜がもぞもぞ動く。
やばい、頭が真っ白になってきた。
霧夜に謝って俺は刀に戻した。しばらくの間、霧夜は自力で人間の姿にはなれないだろう。それにしても、
「やばかった」
「刀弥、ひどいよ」と霧夜が悲しそうな声で何か言っているが、俺には何も聞こえない。
俺は霧夜を持って刀身の部分を指でなぞる。金属特有の冷たさを指に感じる。
霧夜はああ言っていたが、いくら仕事だからって学校行かないとかまずいだろう。
しばらく着ていなくて埃をこぶった制服をそよ風程度の弱さに抑えた魔法を放って埃をほろう。
よし、行きますか。
4か月も更新せずにすみません。。