6話
気が付けば俺は、草の上で寝ていた。空は雲一つなく青く澄んでいた。
ゆっくりと起きあがる。俺の寝ていたところは草原で間違いないようだ。
でも、どうして俺はこんなところに居るのだろうか?
「お兄ちゃん、起きたんだ?」声が聞こえた。
その方向を見ると、あの時の少女が居た。だとしたら此処は俺の夢の中なのか?
「違うよ。――でも、それに近いかな?」
この少女には隠し事は出来ないようだ。
「君は誰なんだ?」
「私? まだ秘密よ。お兄ちゃん」
空間がぼやけ、ズレてきている。
「……夢の終わりか」
「またね。お兄ちゃん」と少女は笑って手を振っていた。
夢から覚めた俺は、辺りを調べる――なんてことはしないで自分のベッドで寝ていた。
「おはよう。刀祢」霧夜が微笑みながら俺を見つめていた。
「ああ、おはよう。ところで今、何時なんだ?」
「7時よ。学校には、休むって伝えておいたからゆっくり休んでね」
ありがとう、霧夜。でもな休むわけにはいかないんだよ。
俺はベッドから降りて着替えを始める。霧夜が俺を抑えようとしていたので名前を呼んで制した。
「霧夜、刀に戻ってくれ」霧夜は一瞬、悲しい表情を浮かべてから刀に戻った。
霧夜を異空間にしまって俺は意識を切り替えた。
最近、紗耶香の任務しかやっていなかったから他の任務がたまっていたので任務を消化するべく組織に顔をだした。
任務が多すぎたので他の狩り人に回した。ちなみに俺が引き受けた任務はS級犯罪者の確保だ。
「お前が国家の狗か」そう、この人こそがS級犯罪者だ。
「そうだが?」と言って霧夜を出す。
「刀祢は無茶しすぎっ、分かってるの!?」案の定、霧夜に怒られるがそれは後だ。
「喋る刀か。――それは俺が貰ってあげようじゃないか!」
「だれがやるか。霧夜は俺のモノだよ」
「そうですっ! 私に触れていいのは刀祢だけです」
「なら力づくでやるしかないなっ!」そう言うと、右手を俺の方に向けて光の矢を放った。
俺は霧夜で斬って矢を霧散させる。
霧夜を人間に変化させて、俺は武器を魔法に絞った。
「その刀は人間にもなれるのかっ!」
「霧夜は誰にも渡さない」その言葉と共に、氷結魔法を使って足元を凍らせて動けなくして背後から手刀を放って気絶させる。
ポケットから能力妨害機能の付いた手錠を出してはめさせて、携帯を取り出して本部に連絡をする。
「犯罪者を確保した。回収頼む」砂埃が舞って視界が隠される。
視界が回復した頃には刀祢の姿が無かった。