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「意味が分かると怖い話」集

禁断症状

作者: osanpoe
掲載日:2026/03/29



 地震のせいでエレベーター内に閉じ込められた。

 向かい側には若い女がうずくまるように座り込んでいる。

 俺はヘビースモーカーなので、一本だけ吸ってもいいか? と声をかけたら、

 私はあの煙と臭いが大嫌いです、と拒否された。ちくしょう。



 ああ、どうにも吸いたくてたまらない。

 だが相手はこちらの方を、血走ったかのような鋭い目つきでずっと睨み続けている。

 一体いつまで我慢すればいいのか。



 駄目だもう我慢の限界だ! 相手の女が何を言おうと知ったことか。

 俺はライターに火をつけ、むさぼるようにタバコの煙を吸い込んだ。ああ美味い。

 天にも昇る心地とはまさにこのことだと実感した。



 ……たちまち全部吸いつくしてしまった。もう残っていない。

 次に吸えるのは一体いつになるのか。

 早く救助隊員が来てほしい。





 (本文終わり。解説は下↓)
















 ※解説




 一番目と三番目は「俺」の、二番目と四番目は若い女の言葉。

 「俺」が吸いたかったのはタバコ、女が吸いたかったのは「俺」(と救助隊員)の血。


 つまり、女は吸血鬼。


 そして「俺」の最後の台詞「天にも昇る心地――」とは、正にその言葉通りの意味。

 自分の体内の血液を「全部吸いつくして(吸いつくされて)」「もう(一滴も)残っていない」状態にされたら、そりゃあそうなるわなー、というお話。




                           〈END〉

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