lal(ラル)第9話:リコレクション
『シフトギア』
それは身体の一部を武器や機械に変える事ができる力。
ガトリングやビーム砲、ブレードにキャノン砲などと言ったシンプルな物に収まらず、炎や水を操る力。ましてやワープゲートを生み出す者だって居る。
何故このように多彩な力を持つ者がいるのか説明する為には、シフトギアという力の本質に触れる必要がある。
まずシフトギアを持つ人間には2種類のパターンがある。
先天的か後天的かだ。
そもそもシフトギアと言うのは感情に基づいた精神エネルギーの具現化だ。
つまり心にかなりの恐怖を感じるとシフトギアは使えなくなり、逆にとてつもない感情の昂りをするとシフトギアは強力な力を得る。
そのため、力の無い人間が大切な家族や友人を殺され、怒りに満ちた時、その時身を守る為、敵を倒す為、今自身に必要な『力』すなわちシフトギアが現れる。
例えば第4部隊の隊長、岬は幼い頃、得体の知れないリゲインに襲われた。その為、敵の弱点を探し出す『シンクロアイ』にそれを倒す手段の『ヘビーマシンガン』がシフトギアとして発現した。
これらから察するにシフトギアは後天的の物が大半だと思うがそうではない。
先天的。生まれ持っての才。
先天的のシフトギアの場合、ほとんどが両親の持つシフトギアや感情が融合し子に伝わる。
例としてあげるなら…『採真』。そして今後登場するはずの『イチカ』や『ミク』そして『ナナミ』だ。こいつらは親のシフトギアが合わさった力を持っている。
そしてシフトギアを持つ人間のほとんどがリゲインの襲来からだが、それ以前からシフトギア持ちは存在した。
その頃のシフトギア持ちの人は周りから、常に武器を隠し持っている恐怖や見た目の異形さから忌み嫌われていた。だってなんかシフトギアと肉体部分の接続部が気持ち悪いからと言う理由もある。
だがシフトギアを使い強盗から市民を守ったと言うニュースが報道され多少の称賛の声が上がったが、シフトギアを使った犯罪行為が何故だか多数起き、その声は真逆の非難の声となった。
………
む…話が膨れすぎたね。
…何が言いたいのかと言うと、シフトギアは単なる武装ではなく、
人間の『心』そのものの投影なんだ。
形や機能は違えど全てのシフトギアは持ち主の精神状態や過去、感情の結晶で出来ている。怒りや悲しみ、恐怖や喜び。そういったものが積み重なって最もその人らしい形で現れる。
だからこそ、同じ能力は二つと無い。
誰かと同じような武器を持っていたとしても性能も特性も全くの別物になる。
例えば…
炎を操るという力といっても、
怒りからくる灼熱の炎なのか、誰かを守りたいという想いが燃え上がらせる炎なのかで、全く別のシフトギアになる。
一人ひとりの『物語』が違えば、シフトギアの『在り方』も違う。
そしてそこにはリスクもある。
感情が激しすぎるとシフトギアは制御不能になり、持ち主の体を蝕む。
だがそれでも、戦う理由がある者たちはこの力を使う。リゲインという怪物に立ち向かう為。過去の自分を超える為。あるいはただ、大切な誰かを守る為に。
そう
シフトギアとは『生き様』そのものなんだ。
剥き出しの感情が、鋼となり、銃となり、刃となる。それを振るう覚悟のある者だけが戦場に立つ資格を持つ。
これが、シフトギアの本質ってやつだ。
第9話:リコレクション
ここはラボにあるなんか特殊な実験をする様の大きめな部屋。この部屋でオブリビオンは治療の為日常を過ごしている。
ガチャリ…と扉の開く音がする。
「やぁやぁあ。オブリビオン君。調子はどうだい?」
陽気な挨拶でこの部屋に入って来たのはラルの技術班、天城 赫一だ。彼は何個かの本を抱えており種類も様々。漫画に小説。そんで図鑑など。
そして大量の本を入口付近にある、机にドサッと置いた。
「調子は…いい感じだと思います……」
「ただ…身体が……」
「あー…それはすまないね。君の体はとても頑丈に作られているが、治癒能力自体まっったくと言っていいほど無いんだ。」
「だからこうするしか無かったんだよ。ホント、申し訳ないよ。」
どーゆー事かと言うと、
オブリビオンの身体は縮んでいたのだ。
今までは3m越えと、大きな身長をしていたのだが、今となっては250cm程と少し大きい程度になっている。
「いえ…そこまでお気になさらず…最初こそは上手く動けませんでしたが…今となっては…自在に動かせるまでに慣れました…」
「ならよかったよ。………そうだ!忘れてたわすれてた。君が頼んでた本。持ってきたよ!」
何個か本を置いた机から1冊の本を手に取りオブリビオンに渡す。
「ありがとうございます………見てみたかったんですよ…ネコさんの写真集…!」
オブリビオンは貰って直ぐに写真集の1ページ目を開く。
「はぁぁ…ネコさんは可愛いですねぇぇ…(*ΦωΦ*)」
「この気持ちは…恋と言うものでしょうか…?」
「うーむ…まぁ…間違っては無いと思うよ…」
「(*ΦωΦ*)」
「さて、僕はそろそろ仕事に戻るよ。」
と。口にし軽く手を振った。それにオブリビオンはコクっと頷いてから手を小さく振る。
天城が扉から出ていった時、入れ違う様にスーツをビシッと決めた神埼が入って来た。
「んぅ…?……あっ…神埼さん…」
「久しぶりだな。オブリビオン。調子はどうだ?」
「いい感じなんだと思います…」
「そうか………ならさっそく本題に入ろう。」
スーツをビシッと決めた神埼は近くにある椅子を引き、腰を下ろす。足を組みオブリビオンの顔を見つめ、口を開いた。
「さて…まず1番最初に言うことは、オブリビオン。お前はラルの隊員として戦える事となった。」
その言葉にオブリビオンは頭部の触手をうねらせて喜びを表現する。
「それはつまり岬さん達と一緒に戦えると言う事ですか…?」
若干声のトーンを上げ神埼に聞く。
「いや、それは出来ない。」
荒ぶっていた触手がしゅんと収まる。
「えーっとぉ……俺はお前の事を疑ってる訳じゃあ無いんだ。ただな…他の隊員らがお前の存在をあまり良い風に捉えてない。」
「仮にもお前はリゲイン。人類の敵…リゲインだ。だからお前に人助けをしたいという意思があっても、周りはそれを信じきれない。」
「とは言え…お前をこのまま放置する訳にもいかない。そこでだお前には防衛戦に協力してもらいたい。」
「防衛戦?」
首をかしげた。
「あぁ。理由は未だわかっていないんだが、定期的にここ。ラルの本部にかなりの数、リゲインが攻めてくるんだ。だからそいつらからこの場所を守る為、お前には戦って欲しい。」
「なるほどです…」
オブリビオンはゆっくりと頷く。
「そうだ…これらに関してお前に聞きたいことがあるんだが良いか?」
「はい…なんでしょう?」
「このラル本部を攻める事に何か意味はあるのか?」
それにオブリビオンは少し考えた後口を開く
「……アトラスから詳しく説明されて無くて分からない……と…言いたいところですが…クレセント達の会話をこっそり盗み聞きしたところ…」
「どうやらこの本部の地下10階に超最強秘密兵器が隠されている様です…それを入手する為定期的にここ本部を攻めてるんだと思います…」
「地下10階に超最強秘密兵器だと!?」
神埼は目を丸くし驚く。
「バカな!?ここは地下7階までしか無いんだぞ!設計図にもそう書いてあるし、以前調査した時に何も無かった!超最強秘密兵器なんてあるはずないだろ!」
「いえ…地下10階には超最強秘密兵器が隠されています…」
オブリビオンは頑なに譲らない。
「そうか……超最強秘密兵器…後でもう一度調べておこう。それともうひとつの質問だが………」
「お前は同族であるリゲインを殺しても構わないのか?」
オブリビオンは一旦口を閉じた。そこから数秒再び口を開き語り始める。
「構いません…私の目的は感情を知る事…そして…蓮さんの意思を引き継ぐ事ですから…」
「………。わかった…」
すると突然、コンコンコンとノックをする音が聞こえる。その音を聴いた神埼は立ち上がり扉の方へと向かった。
「ちょうど来たか…オブリビオン。君と一緒に戦ってくれる人達を紹介しよう。」
扉を開け、ゾロゾロと入ってくるヤツらは第9部隊だ。人数は4人で皆、防衛戦に特化したシフトギアを持っている。
「初めまして、私はクロトです。これからよろしくお願いします。」
学生の頃教室の隅で読書をしていそうな彼はクロト。34歳。見た目は普通。喋り方も普通。そんな彼は両踵をくっ付け両手を後ろで組み背筋を伸ばしていた。
「俺は…トウマだ。よろしく頼む!」
学生の頃、主張無き者を虐めてそうな彼はクロトとは違い、両腕を胸の前で組み佇んでいた。少しおちゃらけてそうな見た目でクロトとは中学からの幼なじみ。
「ウチはタマにゃん!よろしくにゃん!」
学校で女子から嫌われてそうな彼女は16歳の高校生だ。彼女は見た目こそ可愛らしい女の子だが、語尾にニャンをつけて喋る痛い子だ。そしてタマと言う名は本名なのかは不明。
「私はシオンよ。よろしく。」
学生の頃生徒会長を務めてそうな彼女の年齢は34歳。彼女もまたトウマとクロトの幼なじみだ。
四人の話を聞いたオブリビオンは手を軽く胸に当て名前を告げる。
「私は…オブリビオンです…リゲインではありますが…貴方たちの味方です………」
軽い自己紹介を終えたオブリビオンは手を下ろし口を閉じるが何かを思いついたのか再びを声をあげる。
「あっ…あと…ネコさんが好きです…」
その言葉にタマはピクっと反応する。
「それは、ホントニャン?」
「ホントです……………ニャンデス…」
「ニャニャッ!気が合いそうニャン!」
次にトウマが口を開く。
「なぁオブリビオン。あんたら、アークリゲイン?って奴らは当たり前の様に日本語を話してるが、どうしたんだ?」
「頑張って勉強しました…しかしグラヴィエルは途中で投げ出してしまいましたね…」
「どうやら…『押すなよ。押すなよ。絶対に押すなよ』が…押せと言う意味な事に理解できないようでした…」
「これに関しては私も分からないですし…アクラネもクレセントもアトラスも…理解できなかったのですが…どう言った意味でしょうか?」
トウマはその言葉を聞いて一瞬固まり…次の瞬間、腹を抱えて笑いだした。
「ハッハッハッ…!そりゃそうだろ!あれは日本人特有のお約束ってやつだ。言葉通りに受け取るもんじゃあない!」
タマもニャニャッと笑う。
「そうニャン!むしろ押して欲しい時に言う言葉ニャン!」
「えぇえ…?……では…本当に押して欲しくない時はどうしたらぁ…?」
オブリビオンの触手が困惑するように揺れる。シオンが額を押さえ呆れた声で割って入った。
「くだらない話をしている場合じゃあないわよ。」
クロトが静かに言葉を添える。
「まぁ、良いじゃないですか。これから仲間となるんですから。」
「とは言ってもねぇ……」
そのやり取りを見届けていた神埼が、組んでいた腕を解いて立ち上がる。
「よし、顔合わせは済んだな。第9部隊は次なる防衛戦に備えてオブリビオンを含めたシミュレーション訓練を行え。実戦の前に互いの力を把握しておく必要がある。」
「了解!」とシオンが即座に答え、他の3人もそれに続く。オブリビオンは胸に手を当て、しっかりと返事をする。
「はい…!頑張らせていただきます!」
「よし…訓練は今からぁ…1時間後にだ。それまでは好きにしてて構わない。」
神埼が去り場が静まった時、クロトがオブリビオンに質問をした。
「そうだ、オブリビオンさん。実は私、あなた方、リゲインの生い立ちに興味があるんです。」
「ですので、良かったらどんな風に過ごしてきたのか教えてくれませんか?」
丁寧かつ物腰柔らかに提案する。
「はい…構いません…その代わりに皆さんの生活も聞かせてください…」
「えぇ…良いわよ。」
オブリビオンの返しにシオンが返答する。
「そうですね…生い立ちの前にリゲインの階級について教えます…」
「我々リゲインは全部で5つの階級があります…階級と言っても種類の様なものです…まず1番下で1番数が多いのが『ローリゲイン』です…」
「この子らは150cmと小柄で知性はありません…ただ…本能のまま自分ら以外の生物を攻撃します…」
「次に『ハイリゲイン』この子らはローよりも20~30cm程でかく武器を扱える程の知能はありますが…行っても地球に住まう猿程度です…」
「次いで『リーダーリゲイン』…ここら一気に大きくなります…最低でも200cmあり…私が知ってる限りでは420cmもの巨大個体も存在します…彼らはローとハイをまとめる指揮官です…とはいえ知能は頭の良いチンパンジーぐらいです…」
「次は『グリーフリゲイン』一見するとリーダーと似てますが…彼らは改造を施されたリゲインです…違いとして体のどこかにコアがあり、それを破壊しない限り死なない特殊なタイプです…それ以外としはこのタイプには何らかしらの特徴があります変形したり…特殊能力を使ったりと様々です………あっ…知能に関しては頭の良いチンパンジー×2ぐらいです…」
「最後は『アークリゲイン』今のところアークリゲインは私とアクラネ…クレセント…そしてアトラスだけです…」
「アークリゲインは全てにおいて特殊でまず…意思疎通の仕方ですがグリーフ以下は皆…鳴き声のパターンや動きで疎通を行いますがアークは言葉で会話します…」
ここでクロトが質問をする。
「つまり、リゲイン語?的な物があると?」
「はい…例えば……スークルトン…ヌ…シーズ……これは…援護を頼む…と言う意味です…」
「スクールトンが『援護』…でヌが『を』…シーズが『頼む』…と言う訳です」
「んニャら、援護をする!って意味はどうなるニャン?」
「それなら…スクールトン ヌ リウ です…」
「なるほど…なら…疲れた、だから寝た。これはどうなるの?」
シオンが聞く。
「それは…リートァ ヴァラナ ヒウ…ですリートァが『疲れた』…ヴァラナが『だから』…寝たが『ヒウ』です」
「………。なんだか日本語に文法が似てるわね。」
「そうなんですよ…!ですので勉強の際…だいたいが単語を覚える程度ですんだのです…」
「はえ〜そんな偶然があるんだなぁ。」
トウマが腕を組みながら感心する。
「あ…話がそれでしまいましたね…確かアークについての説明でしたね…」
「先程アークは4人しかいないと言いましたが大昔には沢山いたんです…数はざっと1億程…」
「1億ニャ!?」
「はい…感情は薄いですが、知能と好奇心が高く早いスピードで繁栄していきましたが同種族同士での争いの結果が今となります…」
「そうだ…アトラスに教えてもらった昔話をしましょう…」
「むかしむかしある惑星にリゲインと言う種族が住んでいました…沢山いるローにハイ…そして頭の良いリーダー…この種族は好戦的なものの仲間を大切にする種族です…」
「そんなある日突然変異のリゲインが産まれました、彼は階級リーダーとされましたが他のリゲインとは違い大人しく厭戦的な性格でした…」
「しかし彼の知能は凄まじく他のリゲインには出来ない事を平然とやってのけ…そこにシビれあこがれるリゲインがいくつも現れ彼はあっという間に王に近しい立場になっていきました…」
「そして彼は効率的かつ円滑的に繁栄を行う為言葉を作りました…しかし他のリゲインはそれを理解できずにいましたが…何体かがその言葉を覚え理解し話せる様になると…」
「彼は言葉を理解出来る程の知能以上があるリゲインの事を…階級アークと名付けました…」
「そして彼は少数であるリゲインのメスと交配を交わし…数多のアークリゲインを生み出し繁栄を成し遂げました…文明は高度に発達し他の惑星へと資源調達を行える程に成長しました…」
「しかし…仲間思いのはずのリゲインがアークを中心に争いを始めました…それに王は圧倒的知能を持ちながらも何故争いが起きたのか理解出来ずにいました…そのまま時は過ぎ争いが収まった頃にはアークの数は数百までに減り惑星はメチャクチャに…さらには争いが終わっても尚同種族を攻撃する凶暴なリゲインもいました…」
「そこで王はとある決断を下します…イカれたリゲインたちはこの惑星に置いて…生き残った普遍的リゲインを連れて別の惑星に移住しようと…」
「こうして…我々リゲインは様々な惑星を転々としつつ、王も世代交代し今に至ると言う訳です…ちゃんちゃん…」
「にゃー…壮大な話ニャンね…」
「ふむふむ…何個か質問したいのですが、よろしいでしょうか?」
クロトが尋ねる。
「はい…私が知っている事ならなんでも答えます…」
「まずリゲインの平均年齢を教えて頂きたいです。」
「はい…ローとハイは60~70年程…リーダーは110~130年程…そしてアークもとい初代王の血が入った者は190~210年程です…」
「アークは随分と長寿なんですね。次の質問なんですけど、初代王の名前を教えていただきたいのと、移住を決意した王と初代王は同一人物なのかを教えてほしいです。」
「はい…………」
オブリビオンは返事をするが、口を開けっぱにして動きがとまる。
「……んむ?………そういえばアトラスに聞かされた時…初代王の名前を言っていませんでした…それに移住を決意した王は初代王かも知りません…」
「………。なにか…引っかかりますね…自分らの祖先である王の名前を明かさないとは…それに初代王が言葉を作り出した時の文明は人間で言うところのメソポタミア文明辺りだと推測します…」
「そこから他惑星に資源調達しに行くなんて……いくら知能と好奇心が高いと言っても5000年近くはかかるのでは無いでしょうか?」
「………。怪しいわね……アトラスは人間のシフトギアの力を進化させ、自身と統合…そして神格化。これがヤツの目的…だけど神になってどうしたいのかしら?」
「たしかぁ…完全なる意志を持つ存在になるって言ってたよなぁ…これが結局なんなのかは、わからないけどよ。」
「………実は数日前…神崎さんにリゲインについての情報をあらかた話したんです…その時にも今と同じような状況になりました…結局の所分からずじまいだったんですが…」
「んにゃぁ……色々考えてたらこんがらがってきたにゃ………」
「そうニャ!!」
「オブリビオン、オブリビオンって毎回呼んでるとニャガい(長い)から、あだニャ(あだ名)的なの付けようニャ!」
「あだ名ですか……良いですね…!密かに憧れてたんですよ…」
オブリビオンは嬉々としてるがシオンは違った。
「話ぶった切ってやること!?」
クロトがなだめる。
「もう仲間ですし親しみやすい呼び方の方がいいじゃないですか…」
これにトウマがヤジを飛ばす
「そーだ!そーだ!」
「……えぇ……分かったわよ…」
「そうにゃんねぇ………」
「オブリビオンだから…オリオン……リビオン……んー……」
「なら…オリンなんでどうしょう?」
オブリビオンの提案に皆は頷く。
「いいにゃんね〜。可愛いニャマエ(名前)にゃん。」
「んにゃ!これからはオリンにゃん!」
「はい…!」
「今度は、オリン達のオハニャシ(お話)してニャ」
「んー………そうだ…アクラネたちについてはどうです?」
タマは背筋をピンと伸ばし聞き耳を立てる。
「アクラネとクレセント…実はこの2人…毎日こう_」
そこから数日間オブリビオンは色んな人達と友情を育んでいた。
ある日は第4部隊の人達と。
「よぉ、オブリビオン…じゃなかった。オリンだったな…。……?なんか縮んだか?」
カイが問いかける。
「はい…かくかくしかじか…の事情で…」
その言葉にリナはキョトンとする。
「オブリビオン………もしかして………」
「『かくかくしかじか』って言えば伝わると思ってる?」
「ぅん…?」
口をポカンとあけ首を傾げる。それに対し勇雅は笑い飛ばす。
「ハハハッ…オリンお前、妙に抜けてる所あるよな。」
岬も静かに言葉を挟む。
「えぇ…少し蓮に似てる…」
別に日には第1部隊の人達とトレーニングを。
「………ふむ。俺たち3人でオリンにかかればいいんだな?」
「はい…私は頑丈ですので手加減は無しでお願いします…」
「ん…。」
「了解!」
「よっしゃ!いくぞ!」
採真の掛け声と共に3人は攻撃を仕掛ける。
採真はシフトギア、『アムールウェポン』で空を舞い、所々でビームを撃ち気を散らせる。
その隙に子静は3箇所に『サイレンスゲート』と設置を行う。
そして阿諭は『アルバトロ・ス・レッド』の糸を使い、周りの物を自在に動かしオリンにぶつける。
ここでオリンの反撃。頭の触手を伸ばしビームを放つ。しかし3人とも華麗に避ける。
採真は目を凝らしビームの弾道を予測し事前に避ける。子静はただゲートに入って避けるのではなく、1つ目のゲートの中にビームを入れ、オリンの方向を向いてる2つ目のゲートから射出する事により擬似的なカウンターを成功させた。
そして阿諭は糸を電柱や建物のでっぱり等に括り付け、赤い蜘蛛男の用に空を舞う。
第1部隊が最強と言われる所以はここにある。皆が皆、攻撃力だけでは無く、回避能力もとい機動力に優れている。当たらなければどうということはない。そーゆー精神で戦っている。
これは敵からしたらとても厄介な事だ。攻撃しようとも全然当たらない、なんなら跳ね返されたりもする。相手のペースに飲み込まれてしまう。そういった理由がある。
だがこのオリンは違った。確実なベースがある。オリンはそのベースを元に攻撃、防御を行う。そのためそのベースが崩れなければ相手のペースに飲み込まれてしまうなんて事はない。それゆえ3人の攻撃を防ぐことが可能だ。
とはいえ…最強の部隊と言う称号は伊達じゃない。オリンは3人の猛攻に少し圧されている。
このまま拮抗した状況が続くかと思われていたその時、お昼のチャイムが鳴り出した。
「んぁ?……もうお昼ッ_ウワッ!」
チャイムに気を取られた採真が触手に叩かれ、姿勢を崩し地面に落っこちた。
「あぁー……採真ぁ…本気の戦闘じゃあ無いとはいえ、気を抜いてたなぁ?」
阿諭がぶら下がったままそう言った。子静は呆れて見ているだけ。
オリンは触手を採真に差し伸べる。
「悪いな…オリン。」
触手を掴み起き上がる。
「いやぁぁ……ちょうど腹が減ってたもんでよぉ……完全に気が散ってたよ。」
「では…お昼ご飯にしましょうか…?」
「そうだな!」
三人はシフトギアを解除し身なりを整える。
そこから色々ありオリンは沢山の人たちと触れ合ってきた。そんなある日。
オリンは第9部隊の人達と軽いトークをしていた。
「そういえば…最近許可が降りてネコさんと暮らせるようになったんです…」
「ニャニャ!どんにゃ子ニャン?」
「今連れてきますね…」
オリンは別の部屋に行き、1匹の子猫を抱いて戻ってくる。
「名前はモリーさんです…」
「お!可愛い猫ちゃんだなぁ」
トウマが猫を撫でながらそう呟く。
「はい…とてもとても可愛くて……」
その時
”ピー!ピー!ピー!ピー!”
”リゲイン出現!”
”リゲイン出現!”
”北A地区。西A地区。西B地区。東B地区。C地区。東C地区。ラル本部付近にリゲインの集団確認!”
複数の部隊で出動し、近くの隊員と合流を行ってください!”
この警報を聞いたオリンは直ぐさま猫を元の部屋に戻す。
そしてトウマは軽くストレッチを始める。
「本部正面…防衛戦か…なら俺たちの出番だな!」
タマも背中をグイッと伸ばす
「んニャ。気張っていくニャンよー」
シオンは服装を整える。
「いつも通りにやるだけよ。」
クロトは袖をまくり腕時計で時間を確認する。
「では、行きましょうか。」
オリンはただ静かに頷く。
警報がなってから数分後。13時41分。オリン含めた第9部隊は本部の建物の正面に待ち構えていた。
本部の敷地には中央の建物を囲うように城壁があり、所々に一般市民が入れるように小さい出入口がある。
その周辺は近くの隊員、そして警備兵に任せることになっており、リゲインの集団が攻め込みやすいようにわざと正面入口を広くしてある。そうする事によりリゲインを1箇所に纏める事が可能。
「良し…では皆さん。防衛戦を始めますよ。」
続く――
すみません。完全に書く気がなくなってました。あと覚えてない人もいると思いますが『リイビ循環』これを忘れてください。身の危険が迫る可能性もある事も有ります。本来この段階の世界では知ってはならないと言うか、知るとヤバいと言うか…まぁいずれこの物語の終盤で触れますが、ひとまずは忘れてください




