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lal(ラル)  作者: シーマ
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lal(ラル)第6話:独りぼっちとバグ

第6話:独りぼっちとバグ


オブリビオンとの戦闘から数日岬は神崎に頼まれこのラボに来ていた。


ガチャリ


「む…君はぁ…岬君だね?」


そう声をかけたのは長身でハイカラなメガネをかけた男性だった。


「そういう貴方は天城さん。」


「ああ。そうさ。凄腕メカニックマンは僕の事さ!」


ナルシスト気味の彼の名は天城(あまぎ) 赫一(かくいち)ラルの技術班でSGシリーズの第一人者。


「それじゃあ早速…シフトギアを見せてくれるかなっ!」


天城は興奮気味で岬にシフトギアの発動を促す。


「はい。」


若干引きながらもこのあいだ発現した新たなシフトギア『マイ・レン ド・レールガン』(そーゆー名前を付けた)を見せる。


「ほぉぉぉ!かっぴょいいねぇ!ちと触ってもいいかい?」


「え…えぇ。どうぞ。」


「むぅ...見た感じは普通のレールガンだが、腕に付くタイプにしちゃあ少し大きい気がするな...む!ここはなんだ………」


「んっ」


岬はくすがったのか痛かったのか少し声を漏らしてしまう。


「むっと!痛かったかい?すまないね。」


「シフトギアは機械の見た目をしてるが身体の一部。だから触られた時の感触はあるし叩かれたら痛い…不思議な物だねぇ…」


「いえ…少し驚いただけです。」


「それなら良かった...それじゃあ今度はサイズを測らせてもらうよ。」


天城はポケットからメジャーを取り出し縦幅や横幅、奥行きを測ったのち用紙に記録をしだした。


「次は模写するから動かないでね…」


カキカキ...カキカキ、


「凄い上手ですね。」


岬は天城のササッと描く割にやたら上手い絵を褒めた。


「アイアムジーニアス!」


「...良し!こんなもんか!岬君!ちとこっち来てくれるかい?」


言われるがまま奥の部屋へとついて行くと、天城は何かに覆い被さっている布をめくりだした。


「これは…蓮君が手伝ってくれた新型SGシリーズの物だ。この新型を参考にし新たに…君向けの兵器を作ってあげるから期待しててくれよ!」


「この兵器は完成していないのですか?」


「ああ。設計に携わっている蓮君が居ないからねぇ…どうしようもないよ…」


「そうですか…」


岬の返答はどこか悲しげてあった。


”ピー!ピー!ピー!ピー!”


”リゲイン出現!”

”リゲイン出現!”

”南西方向にリゲイン確認!”

”かなりの数が見込まれます!”

”複数の部隊で出動し、近くの隊員と合流を行ってください!”


「おっと!もうちっと手伝って欲しかったがこれは仕方ないね…行っておいで!」


「失礼します!」


岬は軽くお辞儀をし走ってラボを出る。


トッ…トッ…トッ…トッ…


靴の軽快な音を出しながら岬は無線を使い管制官と連絡を取る。


「えー…管制官。こちら04C(第4部隊隊長)。部隊で出動する。どうぞ。」


”04C。こちら管制官。FTD(Full Team Department)了解。02が出動した。現着次第合流し目標撃破せよ。以上。”


「第2部隊か。確か…千弦君と蘇芳さんだったな……」











「むぅっ……数が多い!応援はまだか!」


現地で戦っていたのはレイナだった。


レイナは遠くから射撃して来る敵には左腕の「エナジーディスク」を使い防ぎつつ肩の「ブレークキャノン」で反撃を行う。


ザシュッ!


近くの敵には右腕の「ビームナイフ」で切りつける。


「くそっ一人は嫌なんだよ…!」


リゲイン共を何とか倒してるレイナだが…

圧倒的数には勝てず苦戦していた。まだ雑魚リゲインをまとめているリーダーリゲインが残っているというのに。


ドカァァン


猪突猛進にリゲインが押し寄せてきている所突如見た事のある爆発が起きた。


「この攻撃は!?」


驚き振り返るとそこには第2部隊と第4部隊の面々がいた。


「千弦達登場です!」


「すみません…レイナさん。遅れました。」


岬は謝りつつシフトギア「シンクロアイ」を発動させ周囲を見渡す。


「皆!あのビルの奥の方からリーダーリゲインらしき反応あり!あいつが来る前にさっさと雑魚共を蹴散らして!」


「了解!」皆はそう返事をし各々シフトギアを発動させる。


勇雅は豪快にブレードを振り回しリゲインを斬り倒す。


リナは前回の反省点を踏まえて前線から少し離れたところからライフルで狙撃する。


「…ッ!?リナ!後ろ!」


後ろに回り込んだ重装備のリゲインに斬られそうになったその瞬間。リナは天城からコッソリもらっていたSGシリーズの靴「転換式装備品・頂跳(ちょうちょう)」を起動させ空高く跳び上がった。


「くらえ!」


腰からSGシリーズのグレネードを取り出しリゲイン向かって投げつける。


そしてそのグレネードをライフルで撃ち爆発させた。


「私も成長したんだ!」


各々がリゲインと戦闘している時謎の音が聞こえてきた


ヒュュューーー


その音は段々と近くなりが雅達目掛け飛んできた。


「あれは……まずい!皆!離れてッ…」


岬が警告したその刹那


ドゴォォォォンッ!!!


勇雅とリゲインを巻き込み大きな爆発がおきた。


「勇雅!?」


砂煙が舞い視界が奪われ何も見えないが岬は「シンクロアイ」を使い勇雅を探し出すすると勇雅にしてはデカイ影が現れた。


「…!?なにか…!来る…!」


その時煙の中から...


「うぐぁっっ!!」


勇雅が飛ばされてきた。


そして刹那は再び起きる。


ビュゥンッッ!


煙の中から素早い音を立てて一直線にビームが飛んできた。


そのビームは岬のすぐ横を通ったが、もし当たったのなら。顔に当たりでもしたら。


シフトギアを持つ者は基本身体は頑丈ではあるが…重症は免れないだろう。


そして煙が晴れ中から出てきた者はリゲインだが。普通のリーダーリゲインにしゃあ重装備でゴツイ。


コイツは全長3メートル程で体全身をメタリックな物で纏っておりどこかグラヴィエルを彷彿とさせる。左腕は恐らくさっき撃ったビーム砲だ。右腕には武器はないが特殊な力でも使えそうな機械を装着している。


他にも沢山付いているが今はいい。


それよりも吹っ飛ばされた勇雅を治療する為リナは残った雑魚リゲインを撃ち抜きながら走り出す。


「勇雅!動ける?」


手を差し伸べられた勇雅は掴み、よろけながらも何とか立ち上がり口を開く。


「あいつ...多分...グラヴィエルと似た力を持ってる...」


「グラヴィエルの力…?それって確か重力を操るのよね…」


岬は勇雅に聞き返す。


「ああ…自身を中心に重力をッ_」


すると突然


”ピーンポーン!せいかーい”


そこらじゅうにある防災スピーカーから謎の声が聴こえだした。


「管制官...じゃあない!誰だ!」


”あっ!ごめーん名乗るの忘れてたね…”


”ウチの名前は『アクラネ』...そんでぇこっちが『クレセント』。”


”おい。姿は見えてないんだから、コッチでは伝わらんぞ。”


”え………あっ!そっかぁ!見えてないんだぁ!まぁ良いや!それじゃあ話を戻すとして!”


”キミ達の目の前にいるリゲインわぁグラヴィエルを改良した新たなグラヴィエル!”


”そうだねぇ…名付けるならばぁ…『グラヴィエル・カウァード』かな?前のアイツはメチャ短気でバカでマヌケで視野が狭いバカだったからぁコイツは試しに『慎重』なヤツにしてみたよ!”


”だからぁ頑張ってねぇ〜”


「人語を話すリゲインはどいつもこいつもムカつく喋り方するなぁ!」


勇雅は怒りを顕にしながらも肩を回し再び戦闘体制を取りつつ目の前のカウァードに意識を集中させる。


「慎重な性格…か。つまり、前みたいな無鉄砲な突撃はしてこないっつうことか。」


「でも逆に厄介だよ。」


後方にいる千弦が冷静に状況を分析する。


「考えてみて、グラヴィエルと同じ重力操作ができて、なおかつ冷静な判断力を持つってことは…」


「作戦的な動きが可能ってことか…!」


勇雅が歯噛みしながら答える。


カウァードは静かにこちらを見据え、右腕の機械を展開させた。ジリジリ…と機械音が鳴り次の瞬間、空間が揺れ始めた。


「むっ…!皆!気をつけろ!!」


振動は強まり周りにいる皆は徐々引き寄せられていく。


リナがライフルを構え、右腕を撃ち抜こうとする。しかし、カウァードは重力を変動させ弾道を歪ませて回避。


「重力で弾道まで歪ませたの!?」


「厄介だぞ!こいつは!」


カイも舌打ちしながら目の前の敵を睨みつける。


”ハッハッハー!”


再び防災スピーカーからアクラネの愉快で不快な笑い声が響く。


岬が歯を食いしばりながら前進する。


「岬ちゃん…どうするの?」


蘇芳が質問する。


「あいつは特殊な力を持っているだろうけど1人。こっちには7人もいます。つまり…」


「ゴリ押すのね………」


「ええ。蓮もきっとそうします。彼はあぁ見えて脳筋なんです。それにあなたや勇雅は既にグラヴィエルを倒してる…!」


険しい顔をしていた蘇芳は微笑み返事をする。


「そうね…わかった。それじゃあまずは、あのゴツイ装甲を剥がすよ!」


「了解!………皆!あいつは強いかもしれないけれどこっちには仲間がいる!押されるんじゃあないよ!」


岬が気合いをかけ、勇雅とレイナは重力に抗いながら突撃。リナの狙撃、カイの炎弾、なぎさの水圧カッター、千弦のランチャー、蘇芳の電斬撃、そして岬のマシンガンが一斉に襲いかかる。


その時カウァードは左腕を真っ直ぐ掲げ上げ砲口が光を放った次の瞬間、高音と共に数多のビームが雨の様に降り注ぐ。


「避けろッ!」


必死に避けようとするがいつもとは違う重力により皆は上手く体を動かすことが出来ない。


「俺が何とかする!それまで持ちこたえてくれ!」


そうカイが叫ぶと2つの手のひらを空に向けた。


すると小さな炎が現れ段々と大きくなりやがて巨大な炎の塊となった。


「燃え挙がれ!逆火天翔(ぎゃっかてんしょう)!!!」


空高く飛んだ炎の塊はビームを吸い込み…


ズゥドォォンッッ!


と、爆発した。


「はぁ…はぁ…ちと力を使いすぎてしまった……足でまといにならんようにしばらくは下がっている。あとは任せた…!」


「任せられた!」


ビームを打ち終わったカウァードは次に迫ってくる勇雅に視線を向ける。


勇雅は走りながら隙を見てブレードのエネルギーを溜めた斬撃を放った。


ズザンッッ!


と、音はするがあまり効いてる様子では無い。そう悟ったレイナは勇雅の元へ向かった。


「勇雅!お前がヤツの注意を引く事はできるか?まずは重力を操ってる機械を潰したい。」


「いや...機械を潰すのは辞めてください。作戦があるんですよ…」


レイナに敬語を使い返事をする。


「作戦…?」


勇雅は頷き一通り作戦を伝え行動に移る。


まず勇雅はリナの元へと走り出した。その間勇雅が狙われないよう残った何人かは攻撃の行き良いを増す。


なぎさはアクアヴェイルの出力を上げ津波のような巨大水壁を作りだしカウァードの脚目掛け押し出す。


「次はあたしの番だ!」


そう言葉にした蘇芳は力んでエレクトクレストの電撃を濡れている脚から全身へと流す。


カウァードは苦しみながらも腰に付いてるグレネードのようなものを4個取り出し地面へと投げた。


「離れろ!蘇芳!」


レイナが警告するが時すでに遅し。


しかしカウァードが投げた物はただのグレネードではなかった。


「スモークグレネードか!?」


その時グレネードから煙がモクモクと上がり辺りの視界が悪くなってくる。


「ヤツは図体がデカイ!そう機敏に動けはしなッ_」


「ゔわ゛ぁッッ!」


レイナが再び警告するがまたもや時すでに遅し。煙の中から蘇芳の叫び声が聞こえたのだ。


歯を食いしばりながらレイナは拳を握り走り出す。


すると最奥から何か光が見えたと思った次の瞬間、体が光の方向へと引き寄せられ始めた。


「まっまずいっ!これは…なにか…まずいっっっ!」


レイナの体が浮き始め段々と光へと近づいていく。


ガシッと近くの手すりを掴み重力に耐える。そのまま数秒後突如光が爆発した。


「あのまま光へと落ちてったら死んでいたな...」


ひとまず難を逃れたが煙は消えるどころか先の爆発で増してしまった。辺りを見回すがやはり何も見えない。


戦闘中にしては静かなこの状況をどう突破するかと考え歩いてる所足元になにか冷たいとものを感じた。


ふと下を見るとそれは水だった。


「この水…なぎさか!」


これを辿れば会えるかもしれたいと感じたレイナは水を頼りに進み出す。


コツ…コツ…コツ…コツ…


「………」


お互い何も見えない状況だとしても静かすぎるこの状況に疑問を持ちつつ先へと進む。


コツ…コツ…コツ…コツ…


水線が段々と太くなるにつれ近づいていることが分かる。


コツ…コツ…コツ…コツ…


「………?」


コツ…コツ…コツ…コツ…


「……?」


コツ…コツ…コツ…コツ…


「…?」


コツ…コツ…コツ…コツ…


「?」


コツ。


「!」


さっきまで水線は透き通る綺麗な色だったのが今では汚く地面の汚れが混じった赤黒い色をしている。


これは…


「血だっ…!」


なにかを悟ったレイナは走り出す。


煙が段々と薄くなり視界が開けてくる。呼吸を整えながら見た先の光景は悲惨だった。


そこには血溜まりの中心で寝転がるなぎさの姿があった。彼女の腹からは新鮮で真っ赤な血がポツポツと垂れている


「なぎさ!」


近づこうとするレイナを止めるようにカウァードが煙の中から現れた。体を揺らし、ギロリと目ん玉をこちらに向ける。ゆっくり左腕を上げビーム砲をレイナに向ける。


その姿はまるで”次はお前だ”…と睨んでるように見えた。


レイナは構える。


カイは力を使い果たし、蘇芳は恐らくやられている。それになぎさは今にでも死にそうだ。あと残っているのはレイナ、勇雅、岬、千弦、リナの五人。しかしこの場に居るのはレイナのみ。残りの四人はなぜか来ない。いや。来れないのかもしれない。


レイナと…カウァード…


カウァードがビーム砲を放った時一対一の勝負開始ッ!


レイナは反射的に横へ飛ぶが重力はカウァード中心に働いている為動きが鈍い。


ビーム砲はすぐさまレイナに向けられもう1発が放たれる。


再び横へと飛びビームを避けた。この距離では当たらないと考えたカウァードは背中からガトリングらしき物を取り出しかまえた。


その動きに反応しレイナは懐へ入ろうと走り出す。


その瞬間ガトリングが変形を始める…


6本の砲身がソードの様に伸びだし、熱を帯びる。これは…ガトリングに見せかけたヒートソード…!


レイナが驚くのも束の間ヒートソードが横殴りに向かってきた。


間一髪で屈み避けるがカウァードはそのまま振り上げ砲丸でも投げるかのように腕を回し下ろしてきた。レイナが避ける為横へ飛んだ時重力を操る機械が光り出す。


「体がっ…引っ張られるぅっっ…!」


このままではヒートソードに激突し体が焼け落ちてしまう。


「う゛おおお!!! 」


歯を食いしばり、目を見開く。必死の形相で肩のキャノンを掴みカウァードの手に狙いを定めた。


「間に合えッ…」


ッスドォンッ!


砲撃の轟音が響く。


至近距離からのキャノン砲がカウァードの手を直撃。爆発の衝撃でヒートソードが軌道を逸れ、レイナの体をかすめながら地面を焼き焦がす。


カウァードは腕を引き、体のバランスを立て直そうとするが、その瞬間レイナはすでに動いていた。


「今だ…!」


強引に重力を振り切り、ビームナイフでカウァードの損傷している左腕を切りつける。


攻撃が効いたのかカウァードは後ろに下がり右手の拳を強く握る。その動きにレイナは警戒しつつもう一度切りつけようと近付く。


カウァードが右腕を引き、勢いをつけ拳を伸ばしてきた。レイナはすぐさま上半身を斜め前に屈み動きボクサーのアッパーの様にビームナイフで体を切り上げた。


その時。カウァードは重力装置を発動し強力な反発を引き起こしてレイナを吹き飛ばした。


体が宙を舞うが全身を捻り見事に着地する。


がッ


その時既にカウァードは目の前まで来ており渾身の右フックを腹下あたりに受けてしまった。


「ァウッ…!」


体は遠くまで吹っ飛びバタリと仰向けに倒れてしまう。


「だ…れか………」


「たす……け…て……」


「ゆうが………ひと…りは…い…やだ…」


レイナは腕使って体を引きずり逃げようとする。


だがとどめを刺そうと重力装置を使いカウァード自身を中心に強力な重力を発生させた。


周りの小石や瓦礫が素早く集まってくる。レイナも同じくカウァードに引き寄せされる。抵抗しようと近くの手すりを掴むが力が上手く出ず離してしまった。


「あぁ…あああ…!」


その時レイナには見えた。


空高くにいる………鳥のような…飛行機のような…


違う…あれは人だ!


「………勇雅…?」


その言葉にカウァードは振り上げた拳を止め後ろを振り向く。


だが誰も居ない。


右を見ても左を見ても誰も居ない。


だが音はする。なにか…物凄いスピードで…落ちてくるような…音が…


まっ!まさか!…そう言いたげな顔で空を見上げた時には遅かった。


その時既に勇雅の剣先は顔の先っちょまでに来ていた。


顔にブレードがブスリと刺さりそのまま縦に割れ、勇雅は下へと降りてゆく。


重力装置による引力で普段よりも重さが掛かりあんなにも硬かった装甲をいとも簡単に貫通する。


「お前のおかげだぜぇ!カウァード!」


ギュジュズズズ


装甲と肉が割れる音が混ざった汚い音を立てながらカウァードは真っ二つに割れていく。


カウァードを2等分に割り、着地した所で勇雅は高らかに勝利宣言をして指をコチラに指してくる。


「勝ったッ!第6話完ッ!」


その時防災スピーカーからあのうざったい声が聞こだす。


”すごーい!まさか重力を利用してアイツを倒しちゃんなんてねぇ!見事だったよぉ!”


”でもぉ…”


”なんでキミはここに来れたのかなぁ?”


”そこの女とカウァードの一体一になるようにウチの力で妨害したのにさぁ…”


”ウチの力はとても強いから普通の人間じゃあ突破出来ないんだよぉ…”


”なのにキミはここぞと言う場面で登場したよねぇ…………”


”一体キミは何者なのっ…?”


ここで勇雅に『お前は何者』なのか問いかけてみた。


「俺か…?」


「そうだな………」


「まぁ…『バグ』かな?」


”ハッハッハッ…確かにその通りだよ…”


”キミは他の人間とはちょっと違う……なにか……特別な力を持ってるって言うのかな?……そんな感じがするんだよね……”


………


二人の間に沈黙が流れる。


”あっそういえば他の人間はまだウチの力から抜け出せてないよっ!早くしないと、どーなるかは知らないよ〜”


勇雅はハッと我に返りシフトギアを納め早足でレイナ元へと行き手を差し伸べた。


「ありがとう。勇雅。助かったよ…」


レイナは微笑み、手を強く握り起き上がる。そして二人は来れなかった3人とどこかで倒れているはずの蘇芳を助けに走り出した。


「まずはリナを最優先に助け出しましょう。なぎさが心配です。一応ここに来る時に応急処置はしましたがそんなに持つとは思いません。恐らく持っても20分程度…」


勇雅は切羽詰まった表情でレイナに伝える。


「リナを見つけ、助けて、なぎさの元に行くまでの事を考慮すると………15分...15分以内にリナを助け出すぞ…!」


「了解です…!」


制限時間は15分ッ!リナの救出作戦が始まったッ!


「あ…言い忘れてましたが、アクラネの力は洗脳でッ_」


バチっ!


レイナに力の説明をしてるその時、空気が一瞬弾けるような音がした。直後、黒雷の閃光が目前をかすめ瓦礫を砕いた。


「っく…!奇襲か!」


レイナは咄嗟に横へ跳び、勇雅も同じく身を翻す。そして崩れた建物の影から現れた。


「む…!蘇芳か!?」


その正体は、血まみれの身体を引きずるように立つ蘇芳だった。しかし、ただの負傷者ではない。彼女の目は異様に赤く光り、その手からは赤黒い電流が弾けている。


「蘇芳さん……あなたまさか…!」


「……はい。アクラネに洗脳されている!」


蘇芳の顔は苦痛に歪んでいたが、その口元は笑っていた。


「……マズイな。」


勇雅はレイナに視線を送る。リナを救うための時間は限られている。しかし、暴走する蘇芳をこのまま放置すれば、より厄介なことになる。


「勇雅!助ける方法は分かるか!?」


レイナは切羽詰まった表情で勇雅に聞く。


「アクラネの洗脳の力はうなじに寄生虫を植え付ける事により可能としています。」


「ですので蘇芳を抑えつけ寄生虫を抜き取るんです!」


二人はシフトギアを発動し戦闘態勢を取る。


………


1番最初に動き出したのは蘇芳だった。

彼女はこの空間に閉じ込めるかのように黒雷を周囲全体に流し二人の動きを封じ込めた。


「くっ…下手に動けばやられてしまうっ…!」


「だけど…動かなくてもやられてしまいますよ…!」


二人に緊張した空気が流れる。無理に動けば黒雷を受けその隙に切られてしまう。だが逆に止まっていても蘇芳が迫ってくるだけ。どうする事も出来ない。


勇雅は歯を食いしばりながら、素早く状況を分析した。 黒雷が辺りに張り巡らされている以上、うかつに動けば感電してしまう。 しかし、時間がない。リナを救うためにも、蘇芳を止めなければならない。


「くそっ…!」


レイナが焦燥の表情を浮かべる中、蘇芳の笑みが深くなる。


「……どうしたの?怖くて動けない?」


彼女の声には、明らかに彼女自身の意思ではない何かが混じっていた。苦しげな表情の奥で、微かな狂気が滲む。


勇雅は脳内で戦略を巡らせる。 黒雷の範囲外に出るのは難しい。ならば、この場で寄生虫を無理やり取り除くしかない。 しかし、そのためには蘇芳を一瞬でも無防備にする必要があった。


そんな事を考えてる内に時間は着々と過ぎていく。


「どうしたら良いんだ!勇雅!?」


「今考えています!」


レイナはハッとする。年上であり別部隊ではあるが隊長を務めているこの私が最近お酒を飲める年になった青年に頼りすぎてると。


レイナの表情は曇る。


(なんで…なんで…!昔っから私は1人で戦ってきた。だから!こーゆー場面では私が率先して行動しなければならないのに!なのに…どうして…)


自分が決断を下さなければならない立場であるにもかかわらず、焦るばかりで答えを出せない。蘇芳の黒雷が次第に強まる中、時間は無情に過ぎていく。


「ふふっ、今さら何を悩んでいるの?」


不意に蘇芳の嘲るような声が響いた。


「あなたは隊長でしょう? 部下に判断を委ねるなんてらしくないわよ。」


赤黒く光る瞳が、まるで心を見透かすようにレイナを射抜く。


「あなたはもう…隊長として機能していない。」


「……ッ!」


レイナの眉がピクリと動いた。


(違う……私は、そんなつもりじゃ……!)


しかし考え込む間もなく黒雷が爆ぜた。


「くっ!」


勇雅が素早くレイナの腕を引き、二人は横へ飛ぶ。雷が走った場所には瞬く間に焦げた亀裂が広がった。


「ごめん………ごめん勇雅!私…が…上手くやれてれば!なぎさも蘇芳もこんな目にあわずに済んだのに!」


レイナの懺悔のような謝罪に勇雅は口を閉じる。


「私は…あなたより……年上だから!あなたよりずうっと戦ってきたから!私があなたのような人を……」


「導かなければいけない!」


勇雅は黙ってレイナの言葉を聞く。


「だからぁ…いつも私は頼れる存在であろうと振舞っていたの!けど...あなたといると、どうしてもそれが崩れちゃう…」


「……本当に…あなたはバグみたいだよ…」


「………はあ………ごめんねぇ…こんな情けない姿見せちゃって………」


「私が囮になるから、その隙にッ_」


「レイナ。」


勇雅が言葉を遮った。


「頼っても良いんですよ…」


勇雅はそうつぶやき1歩前へと踏み出す。


「俺の夢は灯火…皆を導く灯火…!」


右腕を上げシフトギア、オメガブレードを光らせる。


「1度そう…決めたのだから…俺の存在がバグであってもその信念を曲げるつもりは無い。」


そしてブレードを蘇芳に向ける


「つまり...俺自身の行動理由はこの『世界を救う』って事になるな………」


少々理解の出来ない事を言った勇雅は蘇芳に向かって走り出す。


それに応えるように蘇芳は両手の刀を勇雅に向け黒雷を放つ。


左、右、左、とジグザグに避けながらも走る事を辞めない。


そして勇雅は蘇芳との距離、およそ7m程まで近付いた時ブレードのある右腕を引いた。


下から切り上げるであろうと予測した蘇芳は右足を後ろに引きカウンターの構えをとる。


残り6m…


勇雅の右腕は後ろに引いたまま動かない。


残り5m…


勇雅の歩幅が大きくなる。まるでスキップをしてるかのように。


残り4m…


ここまで来ても勇雅の右腕は動かない…!


そして3m…!


ここで勇雅はジャンプをした。右腕も動いた。だが攻撃の動きではない。


確かに振り上げた…


右腕を振り上げた…


だが左腕も振り上げていた…!


そして着地をして…両腕を後ろに引いて思っいきりしゃがみこんだ。


これは…!


空高く跳ぶ構え…!


そして…


跳んだ!


リナから借りた靴「頂跳」を履いていることもあってかかなり高い。


蘇芳は空を見上げる。だが…


眩しい。


勇雅は太陽を背にしているせいで眩しくて直視が出来ない。勇雅を視界に捉える事が出来ない…!


その時、音が聞こえた。


ザンッ


なにか飛んでくるような音が。


その音の正体は直ぐにわかった。


それは勇雅の飛ぶ斬撃。


だが視認した時には既に遅い。何とか刀で防ごうととするが上手く受け流す事が出来ず大きくよろけてしまう。


その隙を勇雅は見逃さず蘇芳の後ろに着地をしてうなじにいる寄生虫を掴む。


「レイナ!抑えつけてくれ!」


勇雅はレイナに叫び伝える。


「あっ…ああ…分かった!」


レイナは暴れる蘇芳を抑えつける。


「ふんっ!」


勇雅は寄生虫を鷲掴みにしブチッと抜き取る。そして上に投げブレードで斬り消滅させた。


「むぅ…あたしは何を…勇雅…?レイナ…?」


「良かった…無事のようですね…」


「そういえば…グラヴィエルはどうなった!?」


「安心してください。勇雅が倒してくれました。」


「それよりもリナを見かけませんでしたか?」


レイナは蘇芳に質問する。


「リナ?………はっ!思い出した。」





数分前。


カウァードに重傷を負わされた蘇芳はゆらゆらと体を揺らしながら歩いてた。


「くそ…あたしとした事が油断していた……リナに……治療してもらうか……」


カウァードは一旦なぎさやレイナに任せることにし回復する為リナの元へと向かい出す。


しばらく歩いていると煙が薄れていき視界が晴れていく。太陽の日差しが眩しい場所まで進んだ蘇芳は驚く。


「おい!リナ!目を覚ませ!」


なんとリナが岬と千弦、カイの3人を攻撃していたのだ。


「どうしたの!?」


思わず蘇芳は皆に向かって叫ぶ。


「蘇芳さん…!…なんとか…生き延びたんですね………」


岬が蘇芳の体を見て心配そうな表情をする。


「あたしの事はいい!それよりもリナだ!リナはどーなってるの!?」


「………分かりません……煙が舞い私達もそちらに向かおうとした時……いきなりリナに攻撃されました…」


「リナが…?」


蘇芳は顔をリナの方へ向ける。目を細めジッと見つめた時何かに気づいた。


「リナのうなじに何かあるッ!」


岬も同じようにジッと見る。


「本当だ………まさか!あれの仕業!?」


「千弦ちゃん!カイ!、リナのうなじにある寄生虫!それが彼女を支配してる!あたしが直接取り除くから援護を頼むよ!」


蘇芳は二人にそう叫び両手を広げシフトギアを発動させた。リナの後方に回る為素早く走り出す。その間千弦とカイは直接リナを傷付けないように立ち回る。


カイは動きを封じる為リナの周囲に炎を撒き散らす。千弦はシフトギアであるグレネードランチャーの弾を閃光榴弾へと装填し放つ。


「今だ!」


背後に回りこんだ蘇芳は隙を見つけ左手のシフトギアを解除し寄生虫に掴みかかる。


だが


リナは後ろを振り向き際にグレネードを投げ飛ばしてきた。


「避けられッ_」


顔の目の前まで飛んできたグレネードを避けられないと悟った蘇芳は目を閉じた。


………コンッ


だが爆発とは違う音がし、ふと目を開けるとリナの投げたグレネードは無い。その代わりにあるのは別のグレネードだった。これは?と思い横を見るとシフトギアを構えた千弦が居た。


「ナイスよ!千弦くん!」


リナのグレネードをどかす為、千弦は自身のシフトギアで的確に狙いグレネードを撃ち落としたのだ。


「スオウ!頼んだよ!」


千弦が元気に微笑む。


「了解!」


うなじを掴まれまいとライフルを構えたリナに対して蘇芳は右手のエレクトクレストから電撃を放った。


「ごめんっ!リナ!」


ビリビリと痺れ身動きの取れないリナの背後に回りうなじに手を伸ばす。


「リナから離れろ!」


そして寄生虫を掴み抜き取る。


「やった!これでッ_」


その刹那。


抜き取られた寄生虫は蘇芳の腕を這い体をよじ登っていく。二の腕から肩。そして、


うなじへと。


寄生虫はブスリとうなじに針を刺し身を固める。


「蘇芳!」


「あぁ…ぁがぁ……」


蘇芳は小刻みに震えながら苦しむ。


「まずい!早く寄生虫を抜き取らないと!」


近づくカイに右手の刀をかざし、電撃を放つ。その電撃の色は黄色では無い。赤黒くおびただしい色をしていた。その名は、


「黒雷…!」


千弦が驚いた表情で呟いた。


「なにか知っているの?」


岬が眉をひそめ質問する。


「はい…」


千弦は口を引き結び一瞬ためらった後、静かに言葉を紡ぐ。


「あれは、紅電獄(こうでんごく)と言われる呪いです…」


「呪い?」


岬が目を細める。


千弦は蘇芳を見つめながら淡々と説明を続けた。


「黒雷は、雷を操るシフトギアを持つ者の中でもごく稀に発現する異常な力です。雷の力を極限まで引き出す代償に持ち主の理性を蝕み…やがて…」


千弦は言葉を切った。だがその先に待つものが何なのか岬にも容易に想像がついた。


蘇芳の体が痙攣し目が虚ろになる。寄生虫の影響なのか、黒雷の呪いによるものなのか、それとも両方なのか。


蘇芳がゆっくりと顔を上げた。口元が引きつり、不自然な笑みを浮かべる。


「これは……まずいよぉ……!」


千弦が焦ったように言う。


その瞬間、蘇芳の体から黒雷が荒れ狂うように放たれた。


「……っ!」


岬たちは咄嗟に飛び退いたが、周囲の地面が焼け焦げ、空気がビリビリと震える。


「寄生虫のせいで制御が効かなくなってる…!」


岬が歯を食いしばる。


「このまま暴走すれば、蘇芳は黒雷に喰われちゃう…!」


千弦の声が緊迫する。


だが、次の瞬間。


「……なら、止めるしかないね」


岬は強く拳を握りしめた。


蘇芳の暴走を止めるため、岬たちは動き出した。








そして時は戻り現在。先程までの出来事を蘇芳は勇雅とレイナの二人に説明していた。


「それでその後はどうなったんだ?」


勇雅が聞く。だが蘇芳は顔を暗くし口を開く。


「覚えてない……けどあたしが洗脳されたまま二人にあったと言うのならリナ達は………」


蘇芳は身体に力が入らないのかフラフラとしている。


「そうか………なら急いで確認しないとな…その場所まで連れて行ってくれ。」


「ええ…」


蘇芳は頷き歩き出す。




loading…移動中だよ。




「………」


リナ達がいる場所に到着した3人だが口は閉じたままだった。


リナは寄生虫を抜き取った時既に気絶しておりカイと千弦、岬は血まみれで倒れていた。だけど呼吸はしており命の無事は確認された。


「うぅ…あたしが……あの時……ヘマさえしなければ…!」


蘇芳は千弦の目の前で膝から崩れ落ちた。


レイナは黙って蘇芳を見つめる。その間勇雅は無線を使い連絡を取る。


「管制官…こちら04の勇雅…救護班を要請したい。どうぞ…」


勇雅が無線を使ってからそうもしない内に返事が返ってきた。


”勇雅。こちら管制官。詳しい状況説明を頼む。”


「説明了解。一人気絶。四人重傷。一人は瀕死の状態。第1に優先してくれ。以上。」


”了解。直ちに向かわせる。”


「はぁ…」


レイナがため息をついた時あの愉快で不快が声が聞こえ出す。


”みんな〜よく頑張ったねぇ〜”


「アクラネ!?さっさと出てこい!」


勇雅は怒りのこもった声を荒らげる。


”まぁまぁ落ち着いてよぉ。別に戦う気はないよッ。ただの様子見。実験て事ッ!”


”でもねぇ実験体にそれだけ苦戦するようじゃあアトラス様には勝てないよォ”


”言いたいことはそれだけッじゃあねぇ~”


「アクラネェ!」


「落ち着け!勇雅!」


レイナは何とか勇雅をなだめる。


「まだヤツの力は未知数だ迂闊に行くな。」


「ですけど…」


その時救護班が到着した。


「お待たせいたしました!救護チームの酒井班です。」


「………ぉぅ……まずは向こうの方にいる、なぎさってヤツから頼む………」


「了解いたしました。」








数時間後。なぎさ、リナ、カイ、岬、千弦、蘇芳の6人は病室で眠っている。そして残った勇雅とレイナは報告の為、神崎の所へと向かうのであった。




続く――

ここまで読んでくださりありがとうございます。序盤と終盤にある無線で連絡とるやつ。あれやってみたかったんですよ。カッコイイからね。でも詳しい無線のルールとか分からないんですよ。毎回毎回相手に返す時に「どうぞ」を言わないといけないのかわからんし言葉を略さないといけないとか、何も分からなかったんで多分独自の会話形式になってる気がする。今から例えでやってみますね。


「○○。こちら△△。lalの投稿を月一でしてもらいたい。どうぞ。」


「△△。こちら○○です。そちらの要望を受けることは出来ません。」


「理由求む。」


「理由了解。第1理由は国語力。圧倒的語彙力不足により文が支離滅裂になっている事が多々あります。


第2理由知識。圧倒的勉強不足により物の性質や状況などがおかしくなっており読者に疑問を与えてしまいます。


それらの理由により書くスピードが著しく遅くなり現在の不定期更新となっております。本当に申し訳ないです………このlalを毎話毎話読んでくれるあなた…あなたですよ。この文まで読んでくれてるあなたです。このlal全体の物語の終盤でわっと驚く(多分。恐らく。)展開を用意してるので今後もご愛読の方よろしくお願いします。

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