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lal(ラル)  作者: シーマ
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lal(ラル)第4話:信じる恐怖

第4話:信じる恐怖


今まで気づかなかったのが不自然なくらい巨大な戦艦が浮いていた。


「本気で攻めてくる気か!?」


カイを筆頭に皆は驚くが勇雅だけは冷静を保っていた。


皆が唖然としている中戦艦の主砲がこちらを向いて来た。


「来るぞ!」


その言葉と同時にビームが一発、二発と放たれてきた。

勇雅達、9人はシフトギアや持ち前の運動神経で避け散開する。


「まずは様子見だ!」


採真が指示を出し皆は「了解」と返事をした。


戦艦はしばらくの射撃を行った後、子機のドローンらしき物を展開してきた。


「射撃ができる者は迎撃してくれ!」


採真が再び指示を出す。

カイと蓮、採真はシフトギアを使い、子静はSGシリーズのライフルを使い迎撃する。


そして子機の攻撃を交わしつつ全て破壊し終えたところ今度はリゲインの集団を投下して来た。


「第1部隊!第4部隊!行くぞ!」


採真の言葉と同時に皆は攻め始める。


採真のシフトギアは「アムールウェポン」と言う名前で、全身をロボットの様に変化させることが出来る。


装甲に変化させた皮膚は見た目とは裏腹に耐久性が無く簡単にダメージを受けてしまうが腰と足にバーニアやスラスターが付いている為3次元の動きにより戦闘を可能としている。


また肩と腕に武器が付いており、右腕はブレード付きのビームライフル。肩にミサイルポッドを搭載しており、遠距離と近距離両方の戦闘を可能としている。


果たしてこれはシフトギアと呼べるのか..


それはそれとしてシフトギアを発動した採真は空を飛びリゲインを撃ち抜きつつ戦艦に対しても攻撃をする。


一方地上では勇雅達が次々とリゲインを薙ぎ払っていたが一向にリゲインの攻撃が止む気がしない。


リーダーリゲインが現れる中それぞれが敵と対峙してる時岬が不意打ちを食らってしまい倒れてしまう。


「岬!」


蓮は叫び岬の所へと向かう。

やはり戦いは数なのかと痛感する勇雅であったが蓮が策を提案してきた。


「ここは俺のフェイズライフルでまとめて消し飛ばす。皆...リゲインを一直線にまとめてくれないか」


その提案に皆は頷く。

フェイズライフルの出力は基本的に10%程で強い敵には20%とあまり高い出力は出さないが今回はリーダーも含めかなりの数を一掃しなければならないため蓮は片膝を地に付けシフトギアにいつもの倍のパワーを溜める。


「出力...45%...!」


そして各々がリゲインを一直線にまとめ蓮に報告する。


「了解だ!..消えろ..リゲイン共!」


その瞬間小さなフェイズライフルの銃口からぶっといビームが光並の速さでリゲインを貫く。


ジュゥゥドォォォン


大きな轟音と共に戦艦から投下したばかりのリゲインらも含めちり紙の様に燃えて死んでいった。


「はぁ...はぁ...」


蓮が放ったビームの威力は凄まじく地面までもが削れていた。しかしその代償はでかく肩を負傷し呼吸を整えつつ左手で抑えていた。


「なんて威力してやがる...」


空から見ていた採真は独り言を言う。


すると突然戦艦から1人のリゲインが降りてきた。


「 ボスのおでましか!?」


降りてきたリゲインは他のリゲインとは違いシュッとした体格をしており手を後ろで組んでた。いかにも知性のある見た目をしていた。


「私の名は...アトラス。人類を根絶やしにするために...やって来た。」


ゆっくりと流暢に自名をアトラスと名乗ったリゲインはあたりを見渡した後再び口を開く。


「そう焦ることはない、人類よ。今回はあくまで様子見だ。....人類が何処まで戦えるかを。」


圧倒的強者のセリフに皆は怖気付く。その場に漂う緊張感の中、アトラスは足をゆっくり動かしこちらに向かってくる。


「さあ、攻撃するがいい。君たちの力が、どれほどのものか…見せてもらおう。」


「それ以上近付くんじゃあねぇ!」


警告しても歩を辞めないアトラスにカイはシフトギア、ファイアブレイザーから巨大な火の玉を放つ。


ドゴォン!


爆発音と煙が上がり当たったかに思えたがなんとアトラスは無傷だった。

恐らくバリアを展開しそれで防いだのだろう。


「その程度な訳なかろう...」


空中を飛んでいた採真はアトラスに奇襲を仕掛ける為背後に周りブレードを起動し高速で近付く。


が、駄目っ


採真に気付いていたアトラスは先程と同じ様にバリアで防いでしまった。


「ニュータイプかっ!?」


そして展開してるバリアを膨張爆発させ採真を吹き飛ばす。

その光景を見て勇雅は「次は俺だ」と言い放ちブレードを構え近付く。


「まあ...今日はここまでにしておこう...また来るよ...」


そうアトラスが言い残し逃げるように戦艦に戻り空の彼方へと飛んで行った。


「ちくしょう!何なんだアイツぁ!」


圧倒的戦力差に皆は唖然としていたがひとまず本部に戻る事にした。




「アトラスだと!?」


採真達から全てを聞いた神崎はアトラスについて何か知っている様子だった。


「何か知ってるのですか?」


岬の質問に神崎は1枚の資料を取り出し皆に見せる。


「アトラス。ヤツはリゲインの王だ。」


「しかしこの資料は出処が不明な為今まではデマだと思っていたが、君達が実際に見たと言うのだから本当なのだろうな...」


岬は少し震えた声で神崎に質問する。


「私達にアトラスは倒せるのでしょうか?」


それに神崎はしかめっ面をし口を開く。


「分からない...アトラスの力は不明だ。それにヤツはリゲインの王だ、どんな技術や能力を持っていても不思議じゃあない。」


「アトラスは様子見だと言ってたのだろう?なら直ぐには攻めては来ないだろう。」


その言葉に皆の強ばっていた表情は少しばかり緩んだ。


「そうだ、話を変えるがリナにもSGシリーズを配ろうと思う。」


あらぬ朗報にリナはやっと自分も皆と戦えると笑顔を見せる。


「リナにはグレネードとライフルをやろう。」


リナは意気揚々に武器を受け取りカイに自慢する。


「それと蓮、この後ラボに来てくれないか?新型のSGシリーズの開発に協力して欲しいんだ。」


蓮は帰ってケーキを作りたかったのだが渋々了承した。




その夜、勇雅はアトラスをどう倒すか考えていたが疲れの為あっという間に眠りについてしまった。



..き!


.っ..に


..ろ.に


..って..た.ゃ...!


「はっ!」


早朝、勇雅はまた悪夢を見てしまい目が覚める。

今度は死にそうな女性に男性が必死に何かを問いかける夢だった。


「悪夢は何度見ても慣れねぇな...」


ため息を吐きつつ朝食の準備をする。



その夜



今日はリゲインの襲撃が無く平和な1日だっため勇雅はゴロゴロしてると、スマホに一通のメールが来る。


"俺の料理の試食をして欲しいんだ、今から来れるか?"


勇雅はタダ飯が食えると思い蓮のアパートに向かう。


「お邪魔しマース。」


蓮の住む部屋は岬と同居してる割には狭かった。もしかして一緒のベットで寝てるのかもしれない。と勇雅は憶測をしながらリビングに向かう。


「どジャアァぁぁぁ〜~〜 ン」


出された料理は色々トッピングされた綺麗なふわとろオムハヤシであまりの美しさに勇雅は驚く。

そしてスプーンですくい1口食べる。


「!?、三ツ星レストラン級じゃあねぇか!」


勇雅の賞賛に蓮は


「だろおぉぉぉぉ」


と舞い上がる。


「あっもしかして彼女の誕生日にこれを振る舞うんか?」


勇雅の推測に蓮は


「クッ....」


黙り込んでしまった。


蓮はまだ料理はあると言い生ハムを使ったおつまみとビールを出してきた。


「生ハムッ!イイネッ!」


勇雅は豪快におつまみを食いちぎり、ビールを手に取る。


「キンキンに冷えてやがるっ....!ありがてぇ....!」


勇雅はこの前の飲み会で完全にビールにハマっていた。そしてビールを開け一気に流し込む。


「悪魔的で犯罪的だっ...!色々な事があり精神的にも身体的にも苦しい体にビール...!...染み込んできやがる!」



蓮も一緒にビールを飲みあっという間に2人とも酔っぱってきた。


「なあ...結局のところ岬の事どーなんだ?」


悪魔的なビールに酔ってしまった勇雅は蓮に質問する。


「...好きだな....岬に危機が迫ったら...死んでも守る...」


「一緒にヒーローになるって誓ったが...岬にはこんな事は辞めて平和に暮らして欲しいんだ...」


そのまま2人とも眠りについてしまった。


そして数十分後蓮は目覚める。


「...ん...もうこんな時間かそろそろ岬が帰ってくる、散らかったもん片さないと怒られるな。」


目をパチパチしながらも勇雅を起こし片付けを始める。


さらに数分後


玄関の扉を開けた勇雅は後ろを向き蓮に言葉を掛ける。


「岬の事を守って幸せにするヒーローになれよ!」


蓮は直ぐさまに


「ああ!」


と自信と覚悟に満ち溢れた返事をした。



次の日



"リゲイン出現!"

"リゲイン出現!"


お昼頃リゲインの襲撃が確認されたため勇雅は現場に向かう。




第4部隊のいる現場に着いた勇雅は辺りを見渡がリゲインが全く見当たらない。


「本当にここで合ってるのか?」


すると突如戦艦が現れた。


「あの戦艦は!?」


ゆっくりと空中に停止した戦艦から降りてきたのは、アトラスだった。


「やあ、今度は私の実験に...付き合って貰うよ...」


そう言うとアトラスは指パチンと鳴らす。


「ここから西と東の方角に新たに開発したリゲインを投下する...とても強力だから急がないと街が壊滅しちゃうよ...」


「ムカつく喋り方しやがる...!」


イラつきが溜まる勇雅であったが、岬は通信機を使い連絡を取っていた。

そして連絡を終えた岬は皆に指示を出す


「私と蓮、カイ、リナは東!」


「勇雅となぎさは西に行って向こうには第2部隊の人が行くとの事だ!」


皆は「了解」と返事をしそれぞれの場所へと向かう。


「君達はどれほど戦えるのかな?」





現場に到着した二人は早々にリゲインに襲われていた。どうやらアトラスが言っていた新型リゲインはまだ現れていなかった。


「ハアッ!」


勇雅はブレードを豪快に振り回しリゲインを薙ぎ払う。なぎさは水を操りリゲインを転ばしたり水を鋭くして刺してたりと工夫をして戦っていたが中々に数が減らない。


「最近リゲインの数が多いな...」


どうするかと考えてるところ後ろからリゲインの集団目掛け大きい筒の様なものが飛んできたと思った瞬間、


ドカァァン


辺りのリゲインが木っ端微塵に吹き飛んだ。二人は驚き振り向くとそこには謎の二人が立っていた。


こちらに気づいた二人の内右側に立っていた小さい子がシフトギアを収め喋り始めた。


「あなた方が勇雅さんとなぎささんですね!僕が第2部隊隊長千弦(ちづる)です!」


そう元気いっぱいに自己紹介したのは可愛らしい顔立ちに白髪と小麦色の肌が眩しい千弦(ちづる)だ。

彼は...彼!?...彼はまだ13歳と幼いにも関わらず第2部隊の隊長を務めている。恐らく実力や周りからの人望が厚いのだろう。


「あたしが第2部隊所属の蘇芳(すおう)だ!あっ!ちょっと呼びにくい名でごめんね」


そう自己紹介したのは色々とでかい蘇芳(すおう)だ。彼女はまるでお母さんのようで破天荒な千弦の保護者的ポジションでいつも見守っている。


自己紹介を終えたところで千弦と蘇芳はシフトギアを再び発動させる。


「一緒にリゲインを蹴散らしますよ!」


千弦のシフトギアは右腕を巨大なリボルバーグレネードランチャーに変える事が出来る「インパクト・フォール」。弾は普通の爆弾だけではなく火炎弾や閃光榴弾など色々と種類がある。装弾に関しては自信の意思によって行われるため他の弾に変えたい場合は心で意識することによって装弾される。


「ドカーーン!」


楽しそうに動き回りリゲインをおびき寄せてまとめて爆破してる千弦であったが蘇芳は冷静にリゲインを薙ぎ払っていた。


蘇芳のシフトギアは「エレクト・クレスト」。両手を薄黄色に輝く雷属性の刃に変えることができ、細長いが威力は抜群で力み次第で電気の強さを変えれる。


蘇芳は雷の刃で軽々しく切り裂いたりまとめて感電させたりと軽々戦闘をしていた。


それに見かね勇雅となぎさも戦闘を再開する。


そしてあらかたリゲインを片付けたところ、突如稲妻のように上からリゲインが飛び降りてきた。そいつはおよそ人の1.5倍ほどあり体は紫色で機械チックだった。


リゲインは下げてた顔を上げ目力を強め口を開ける。


「俺はグラヴィエルだ...!貴様らを殺しにきた...!」


喋ったと勇雅は驚くのも束の間突如身体がグラヴィエルの方向に引っ張らて行く。


勇雅は崩れた姿勢を戻しふと顔を上げると目の前には既にでかい拳がありそのまま顔面をくらい吹っ飛ばされてしまった。


「ウグッ!」


行き良いよく吹っ飛ばされた勇雅は壁に叩き付けられ負傷をおってしまう。


他の仲間も次々と引き寄せられては吹き飛ばされていた。


「何だあいつの力は...」


能力の正体を考える暇はなくグラヴィエルは再び勇雅を引き寄せてきた。


「同じ攻撃は通用しねぇよ!」


勇雅はブレードでヤツの拳を受け止めそのまま下から切り上げる。


すると今度は逆にグラヴィエルから吹き飛ばされしまった。


「引力だ、恐らくヤツは引力を操ってる!」


勇雅の推測は当たりで、グラヴィエルは自身に引力を発生させ周りの物を引き寄せたり、引力を反転する事により吹き飛ばす事が可能だ。


「当たりだ...だがこの俺を倒す事は出来ない!!」


グラヴィエルは皆に挑発を掛け再び引力を発生させ全員を次々引き寄せる。


なぎさは水で防ごうとするが間に合わず吹っ飛ばされてしまう。千弦は閃光榴弾を放ちヤツを目をくらまし通常弾をぶち込む。


蘇芳は爆風によりよろけた所を見逃さず刃で足を切りつける。


「ちょぉこまかと!」


グラヴィエルは拳を強く握り蘇芳と千弦を殴り飛ばす。


「うわっ!」


千弦の小さい身体は簡単に吹き飛ばされてしまったがなぎさが水のクッションを作り落下の衝撃を緩和した。


そして勇雅は気合いを入れダッシュで向かいブレードをグラヴィエルの胸に切りつけるが大したダメージになっていない。


「硬い!?」


グラヴィエルもまた硬い装甲をしており、そう簡単に攻撃は通らず反撃の拳を勇雅は受けてしまった。


勇雅は諦めずブレードを何度も振り続けるがやはり効かない。


「無駄なのが分からないか!」


少し激情してしまったグラヴィエルは引力の反発と拳を同時にくらい勇雅は壁に叩きつけられ倒れてしまった。


「一つ...残るは三つ!」


グラヴィエルに見られた蘇芳は引力により引き寄せられ殴られそうになり何度か抵抗するが拳をくらい倒れてしまう。


「二つ...」


次に見られた千弦は閃光榴弾を放つが弾かられ、そのまま拳をくらい倒れてしまう。


「三つ!残るは一つ!」


そしてなぎさを睨み、近づく。


「まだ...俺は死んでないぞ...!」


何とか起き上がった勇雅はグラヴィエルに向けてブレードの斬撃を放つ。


するとこちらを向きドスドス歩いてきた。


「なぎさ!こいつに水を思いっきりぶっかけてやれ!」


「は...はいッ!」


なぎさは戸惑いつつアクアヴェイルを使い水を大量にぶっかける。


「貴様ら...!!」


さらに激情したグラヴィエルは勇雅を殴り飛ばそうと走ってきた。


「チェックメイトだ。」


すると背後から蘇芳が飛び出しグラヴィエルに向かって強力な電気を放つ。


「なにッ!?」


水を浴びたグラヴィエルはあっという間に体全身に電気が行き渡り感電してしまう。


「お前、生物のくせして体機械だもんな良く電気が通りそうだ。」


「人間...風情が...!」


もがき苦しみ暴れ回ったのちグラヴィエルは力尽き倒れた。


「よっしゃ、俺達の勝ちだな!」


戦いを終えた4人はシフトギアを解除し岬達の所へと向かおうとした時。


ズドン!


突然勇雅が何かに打たれ倒れてしまう。


後ろを振り向くとそこには倒したはずのグラヴィエルが機械の装甲が剥がれた姿で立っていた。


「生きていたか...グラヴィエル!」


3人はシフトギアを発動し警戒してるとグラヴィエルが瞬く間に接近してきた。


「はやっ!?」


装甲が剥がれたグラヴィエルは力は弱くなる代わりに機動力が増し高速で動くことが出来る。


そして高速で近づかれた蘇芳は抵抗する間もなく殴り倒されてしまう。


その間に高台に離れた千弦はインパクト・フォールでグラヴィエルに攻撃を仕掛ける。


が、無駄


グラヴィエルは落ちてる石ころを拾い引力の力を加え千弦に向かって投げ飛ばす。


「ウグッ」


石を頭に受けた千弦は血を出し倒れてしまう。


「最後はお前だ」


次々と倒されていく仲間を見てなぎさは何も出来ない自分に対しての怒りとグラヴィエルに対してのの恐怖で感情が滅茶苦茶になっていた。


「陸斗ぉ.....助けてぇ...」



なぎさには彼氏がいる。




高校生の頃、臆病でビビりな私は毎日虐められていた。

そして今日も私はこの女、柊に虐められる。


「あーイライラするわぁなぎさぁ殴らせろ」


ヒッ


何もしていない。私は何も悪いことも、怒らせるような事もしていない!本当に...理不尽だよ...


そして本当に、本当に気になった私は柊に聞いてしまった。


「なんで...殴るんですか?」


勇気を振り絞り、恐る恐る聞くと女は言った。


「ムカつくからだよ」


ムカつく?それでだけで人を殴って言い訳ないじゃない!


「いつもいつもオドオドしたり周りの目ぇばっか気にしてさぁ!もっと自分から行動しなよ!」


分かってる!!分かってるんだよ!けど..いざやろうとするといつも失敗するんだ。


友達が欲しいから知らない人に勇気を振り絞って話し掛けても!


授業中勇気を振り絞って手を上げても!


前の人が落としたハンカチを勇気を振り絞って拾っても!


全部失敗する。


努力しても結果が伴わない。私に足りないものは何? 自分に問い続けても答えは出ない。


だからいつも、話し掛けも行動もせず静かに笑って過ごしていたほうが楽だった。


でも


「あんたのそういうとこ、見てるだけで腹立つんだよ」


柊の罵声が頭に響く。私が何かしたわけじゃない。ただ、存在が柊を苛立たせるらしい。


「どうせまた誰か助けてくれるの待ってんでしょ? 臆病者が!」


その言葉に、胸がぎゅっと締め付けられる。確かに私は、誰かが手を差し伸べてくれるのをいつも期待していた。


そして、その誰かが現れた。


「おい、やめろよ」


低い声が柊の怒声を遮った。振り返るとそこには、クラスでもあまり目立たないけれど、どこか堂々とした雰囲気を持つ陸斗が立っていた。


「は? なによ、あんた関係ないでしょ」


「関係あるよ。見てて気分悪いから」


陸斗の一言に、柊は一瞬たじろぐ。それでも負けじと、私に向けていた苛立ちを彼に向け直そうとするが


「もうやめとけよ。次やったら先生に言うからな」


彼の真っ直ぐな視線に圧倒され、柊は舌打ちをしてその場を去った。


残された私と陸斗。彼は何も言わず、私の方に歩み寄ると、静かにこう言った。


「大丈夫か?」


ただそれだけ。けれど、その言葉に救われた気がした。


次の日


彼は午後からやって来た。

陸斗は顔に痣がいくつも出来ており、腕や足にもシップを貼っていた。


その時私は嫌な事が脳裏をよぎった。

陸斗は柊の彼氏に殴られたのではないのかと。


すると私に気付いた陸斗がこちらにやってきた。


「なぎさ、大丈夫?あの女に何もされてない?」


陸斗は何故私の心配をしてくれるのか分からない。


私は別に顔は良くないし勉強も出来なければ面白い話をできる訳ではない...


そう、何にも魅力が無い私は生きていても意味が...


あ...またネガティブになってしまった。


私の良くない所だ私は何かにあるといつもこうやって落ち込んじゃう。治そうと思っても気づいたら落ち込んでる。



それから彼はいつも1人の自分に寄り添ってくれた。


お弁当を食べる時も休み時間の時もいつも一緒に居てくれた。


そのおかげか私は段々と口数や笑顔が増えてきた。


だがある日事件が起こった。


私と陸斗がいつも通り学校から帰ってる途中、陸斗は車に轢かれた。私を守る為に。


幸い命に別状はなく足の骨折だけで済んだ。


そして病院のベットで私は何故そこまでしてくれるのかを聞いた。


「理由?そんなん、なぎさの事が好きだからに決まってんじゃん。」


えっ!?...それって...告白じゃん...!


嬉しい...!今思い返すと好きなんて初めて言われた...!


「私も...陸斗の事が...」 ガラっ!


突然私の言葉を遮るように行き良いよく扉が開く音がした。


そこには深刻な顔をした医師が立っていた。その医師はゆっくりと口を開く。


「陸斗さん...貴方にとても重い病気が見つかりました...今すぐに治療しなければ...最悪の場合.........死んでしまいます。」


私は言葉が出なかった。

陸斗は私を助けてから周りから距離を取られるようになった上いじめを受けても私を車から助ける為犠牲になった。


それだけでも辛いのに死に関わる病気だなんて...

私と居るばかりに不幸になるんだ!


こんな優しい人を不幸にするなんて...私は...私は!私なんか...死んじゃえ!!!


「なぎさ...自分を信じて」


え...


陸斗はこんな時でも私を気にかけてくれる。


なのに私は自分が楽になりたいばかりに陸斗の事、なんも考えてあげられなかった。


いつも私は自己中でほんとっ...むっ...危ない、またネガティブになるとこだった。


「なぎさは忘れてるかもしれないけど僕は昔死にそうな所をなぎさに助けて貰ったんだよ。」


「両親が借金を残して出ってたから食う物も飲む物もなくこのまま餓死するのかと思ってた時なぎさ、君が助けてくれたんだ。」


「君からおにぎりを貰い右腕の機械で水を操って飲ませてくれた。あれは今でも鮮明に覚えてる。」


今思い出した。何故忘れていたのか分からないが、右腕の不気味な物のせいで虐められてたけど初めてそれを褒めてくれた事。


「他にも最近勉強を教えてくれたし怪我や風邪を引いた時も看病してくれた。」


「なぎさは自分が思っている以上に良い人なんだよ。」


「だから、自信を持って。かりに困難が立ちはだかったとしても僕がいる。だからその時は一緒に乗り越えよう。困った時は誰かに頼ってもいいんだよ。」


その時右腕が変化した。これは、虐められる原因となった機械...でも今は違う。この機械は人を助ける為にある。


私は決めた。陸斗の為に"1人"でlalに入りお金を稼いで手術代を払うと!


決めた...決めたけど陸斗を救うと決めたのに...


なのに今は...




「陸斗ぉ.....助けてぇ...」


私はまた、彼に助けを求めてしまっている。変わりたい。強くなりたい。でもどうしても、私は一人じゃ立ち上がれない。


目の前にはグラヴィエルがいる。圧倒的な力を持つ敵。千弦も倒れ、仲間も全滅寸前。このままじゃ私も、みんなも終わってしまう。


その時、勇雅が何か話し掛けて来た。


「なぎさ、お前の過去になにがあったのかは知らないが、」


「お前は1人じゃない!周りを頼れ!信じろ!」


......そうだよ!あの時陸斗は周りに頼っても良いと言ったんだ!なのに...私は人の事を信用出来ないから変な解釈をしたんだ。


そりゃそうだよねそんな考え方してたらいつまでも強くなれないわけだ。


信じる...かあの時の私は陸斗の事すら信じてなかったんだな、

でも今は違う勇雅の言葉のおかけで本当の意味に気づけた。それになんだか希望とやる気がムンムンわいてきた!


「信じてみるよ!私と周りを!」


...


その瞬間なぎさのシフトギア、アクアヴェイルから放たれた水はグラヴィエルの引力を操るコアを一瞬にして貫いた。


「なっ...なんだと!」


とても強力な一撃を放ったなぎさは尻餅をつき皆に託す。


「千弦ちゃん、蘇芳さん、勇雅、あとは頼んだよ!」


「ああ!」


勇雅は大きく頷き力を振り絞り立ち上がる。それにつられ蘇芳、千弦も立ち上がる。


「行くぞ!」


勇雅と蘇芳はグラヴィエルを挟むように周り攻撃を仕掛ける。


「はぁ!」


二人は飛びかかりブレードと刃を切りつける。


「ダメージは入ってる!このまま押し通すぞ!」


が、グラヴィエルの圧倒的なスピードにはまだ対応出来ず攻撃を食らってしまう。


すると高台にいる千弦が何か合図を送ってきた。それに二人は頷いた。


蘇芳は2つの刃から電撃を放ちグラヴィエルを感電させる。すると後ろから勇雅がブレードの斬撃を放ち傷を与える。


「貴様ら!!」


怒ったグラヴィエルは腕を振り回し二人を引き離す。


「今だ!」


勇雅は千弦に向かって叫ぶ。


「リョーカイです!いくよ!僕の必殺技!」


ガシャン!


千弦はシフトギアを変形させた。


「全弾同時発射...万弾鳴奏!!(ばんだんめいそう)」


ッドォンッ!


同時に発射された弹はグラヴィエルに直ぐさま届き音色を奏でる様に爆発する。



「グワァッッ!!」


そしてグラヴィエルは弾け飛び死亡した。



「やった!勝ちましたよ!」


千弦は喜びながらこちらに向かってきた。


そして3人でなぎさの所へ行く。


「ありがとう。なぎさお前は引力のコアを壊してくれたおかげで何とか倒せたよ。」


勇雅の感謝の言葉になぎさは照れを隠せない。


「良いだろう。信じるって。」


それになぎさは笑顔を見せ頷く。


「うん!」


「良し!それじゃあ岬達の所へ行くぞ!」





一方岬は、



アトラスが創り出した新型のリゲインと対峙していた。


「私はオブリビオン。」


「私に感情と言う物を理解出来ません。」


「今回の人との戦いで何か分かるといいですが...」


「ムカつく野郎ね、皆...行くぞ!」



続く--


ここまで読んで下さりありがとうございます。2話のリナの回想シーン辺りマジで意味不明だったので今回の回想シーンはなるべくわかりやすくしたつもりです。なるべく。

それと月一で投稿するつもりだったのに遅れてしまった。今後も有ると思うのでよろしくお願いします。ちなみに1話から伏線これでもかってくらいバラ撒いてるので探して考えて見てみてください。

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