再会と出発
新年度最初の授業、誰もが待ち望んでいないこの日
今日からまた憂鬱な日常が始まるのか。
ベッドから体を起こし目を擦る。
制服を着たりご飯を食べたりと、過ごしていくうちに出発の時間が近ずいて来た。
学校という名の兵士育成所に着きクラスに入る
吐息を一つ零し自席に座り頬ずえをつく、今日のスケジュールは全部が私にとっては鬼畜であるということ。
何より鬼畜なのが本日体術テストが行われるということだ。私はどちらかと言うと“魔術・魔法”の方が得意分野なのだが …
もうひとつ溜息を零す
この世界は戦争が一年に数回行われる、と同時に兵士になる国民が増える。という、何とも不思議な出来事が多々起こっている。
チャイムが鳴り響く、ガラリと教室内の空気が変わった。そんな空気感の中私も身構える …… が、ドアを開け入ってきたのは私の幼馴染 …… であった。なんで彼奴がここに … ?という前に
「死んだはずじゃ …… 」
と先に声が出てしまっていた。
まずい、咄嗟に口を抑え下を向くが彼奴の視線は私を突き刺している。
「 …… えーっと、、ボクのこと嫌いな人 〜 !」
とても明るく猫を深深と被った声で全体に問いかける、がしかし誰一人として手を挙げなかった。
それもそうだ。此奴が着てる服…この国の軍服、、それも総統服だ。
嫌っているなんてこんなところで言ってしまっては首が飛んでいくかもしれないではないか
何がどうなってそうなった …… 、?
「 うーん、居ないかぁ、そっかぁ …… 」
「 でもなぁ 〜 、一人選ばないとダメなんだよね 」
「 だって最後のクラスだよ!? 」
ボソボソと呟いている私の幼馴染。生憎私は最前列から2番目の教卓前という最悪な席を引き当てている為、バッチリ独り言が聞こえてしまう。
そりゃあ総統陛下のことを嫌いです!!と言って手を挙げるバカがどこにいる。
「 んーーっ! もーいいや! 」
お、吹っ切れたか。私以外の誰かを選んでくれ、そう願って幼馴染の顔を見るとバッチリ目が合ってしまった、
しまったっ、、そう思った時にはもう遅い
「 目が合ったそこの君!一緒にいくよ! 」
目を出来る限り自然と逸らす。
「 ちょっとぉ目を逸らさない!! 」
「 …… 私、? 」
「 うん!! 」
キラッキラな笑顔で私に言われても …… というか、私の事とっくの昔に忘れてるんじゃないの、?
今まで音沙汰もなかったくせに ?
そんな疑問が頭の中でぐるぐると駆け巡る。
「 思い出したんだ、“ オト ”のこと。」
私の名前を呼ばれ勢いよく下に向けていた顔を上げる。
「 やっと見てくれた 」
「 え゛、なんで、? 」
「 さ、いくよっ! 」
私の手を握り、全力ダッシュで教室を飛び出しいつの間にか学校からも飛び出していた。
女子からのあっつぅい嫉妬の視線がぐさりと心の奥深くに刺さったが、、
… ほんとにコイツは …… 策士だな。
最初から私を探すために色々な学校を転々としたであろうに。
10分間走り続けただろうか、私はすっかり息を切らし、両膝に手を付き、肩で息をしていた。
「 うーん、ここはどこだー? 」
棒読みで、感情が1ミリたりともこもっていない声が聞こえ顔を上げる。そこは、
「 迷子 」
「 あはは …… 」
乾いた笑いを私に向けて、何がしたいんだこいつは。
「 どーするんですか“ フーマ ”さんよ 」
「 取り敢えず近くの村にでも行ってみるか 」
後頭部に手を当てあはは、やっちゃった 〜 、てへっ
的なノリで笑っているが、正直そんなに面白くは無い。
「 …… あれあれ 〜 ?あれあれあれあれ 〜 ???」
酷く耳障りな声が聞こえる、耳を塞ぎたくなる。
ふとフーマの方を見るとゴミを見るような目で声の主の方を見ていた。そして、「後ろに隠れてて」というフーマの言葉により私はフーマの背中に隠れた。
「 こんなところに可愛い子猫ちゃんがっ♡ 」
「 …… 」
「 …。 」
数秒間突然現れた不審者をフーマの後ろに隠れながらじっと見つめる。
「 やだ 〜 あっつい視線 〜 ♡ 」
こいつ何言っても聞かないな。メンタルダイヤモンドでしょ、、毎回毎回語尾に♡(はーと)をつけて甘ったるい発情期の動物のような声で喋りかけてくるクソみたいな男。それよりも、フーマの顔がみるみる曇っていくでは無いか。私はゾクリと背筋が凍り、直感で感じた。
“ これはまずい ”と。
「 …… ねぇ、、 」
今まで聞いたことの無いような、低くドスの効いた声で不審者に声をかけるフーマ。その声を聞いてフーマの後ろに隠れている私も肩をピクリとさせてしまうほどに怖い、それよりも恐怖を多く感じている。
「 って、フーマちゃんまでいたのぉ 〜 ♡ 」
「 この俺ったら気づけなくてごめんね 〜 ♡ 」
今そんな喋り方をしてはダメだ。雷が落ちるぞ、、
私は目を瞑り、フーマが怒る時の衝撃に備える準備を開始した。
そういえば、フーマが怒るところなんて今まで見た事がなかった、そんなフーマを怒らせてしまうほどこの不審者はダメな男なのだろう。
「 ……“ ケイト ”くんさぁ、何回言ったらわかってくれるのかなァ??あ゛ぁ?? 」
ライオンの様な鋭い目を向け、“ ケイト ”という不審者に喋りかけていた。呼び捨てということはフーマの知り合いなのだろう。変な人と知り合っているのだな、
「 ッア゛…ア、ス、スミマセ … 」
蚊の鳴くような声で言葉を発するケイト、、?くん? …どちらにしろ私にしては不審者という事実は変わりないな。数分間フーマと不審者のやり取り … というかフーマの説教を横で聞かされていた。
「 一から人生やり直したらどうなの?、これで200回は超えたよ?頭大丈夫なの? 」
「 モ、モウシマセン 」
「 信用ならないなぁ、 」
大きなため息をつき、頭を抱えるフーマ
そしてその前に正座をさせられている不審者
これも修羅場と言えば修羅場なのかもしれない、と同時にフーマを怒らせるととてつもなく恐ろしく何をするか分からない脅威を持っているということが私の脳裏に深く焼き付いたのであった。
初投稿です〜
よかったら感想などなど、、いただけたらすごい励みになります…!
実はですね、、この作品元々身内ネタで書いていたものなんですが、聖書したいなぁ、どうせなら投稿でもしてみようかなぁ、と言った経緯で投稿するに至ったという…
親友さんに「リメイク版見たいなぁ〜」とせがまれていたのでこそっと投稿してみようと思った次第です^^
物凄く亀さん投稿ですので、忘れない程度に見ていってくだされば幸いです