信じられなくなった人の一つの結末
最初は、敵意を感じる人の言う言葉を信じられなくなった。
次に、お世辞に聞こえてしまう人の言葉が信じられなくなった。
さらに、自分に対する褒め言葉がお世辞のように聞こえて信じられなくなった。
遂には、自分に対する肯定的な言葉のすべてが信じられなくなった。
何も信じられなくなって、誰とも会わなくなった。
人恋しくて友達や恋人が欲しくなるけれど、実際に会って話すと誰であっても信じられなくて。
「さみしい」ばかりが積み上がり、ついには部屋の真ん中で体育座りをしたまま動かなくなった。
ある晴れた日、通報を受けてやってきた警官が部屋を覗くと、そこには伽藍堂になった人型がぽつりと置かれていた。
お読みいただき、ありがとうございました。
皆様のご健康と幸せを願って。