46 梟雄の息子(黒田長政)
46 梟雄の息子(黒田長政)
あの黒田官兵衛の息子である筑前五十二万石の黒田長政は黒田家本陣にて、
複雑な思いで炎上する大坂城を見つめていた。やはり、最後に勝利したのは家康であった。
父、黒田官兵衛は巨大な怪物とも言うべき男に勝利しようとする愚かさを噛み締めていた。
長政は豊臣と徳川の争いの決着を見て、官兵衛では役不足であったと分析した。
「父上……貴方は愚かだった。己の器量を読み間違え、暴走し自滅した」
不思議と、父を自害に追いやった家康を恨んではいなかった。
在るべき様になっただけだ……長政はそう捉えていた。そして守景に対する想いも口にした。
「守景殿、貴方に言った言葉をお忘れだろうか。太閤殿下の恩義だけでは人は付いては来ない。
そう、私は守景殿に言った。守景殿が何と返答したかも私は覚えている。
恩義を蔑ろにするのは人としてあるまじき行為……その言葉、胸に刻みましたよ」
長政は朝鮮の役から帰還した時の最高のもてなしを覚えていた。
あの宴は忘れもしない格別であった。長政は守景に対する恩義をいつかは返したいと思っていた。
「守景殿……貴方は秀頼様を予め手配した逃走経路に逃がす算段を立てているようだ。
それを我ら黒田勢が喜んで援護しよう。これで貴方への恩義は返しましたよ」
長政は手勢を二手に分け、秀頼の逃走経路を援護するべく奔走した。




