41 獅子奮迅(豪姫)
41 獅子奮迅(豪姫)
豪は一万の兵力を率いて、家康の首を取ることに活路を見出そうとしていた。
それに追随する真田も奮戦。お互いの呼吸は阿吽の如く不思議と合い、
連携して次々と幕府軍を打ち破っていく。豪も槍の又左の異名を取る前田利家の娘である。
武家の娘として一通りの武芸は習っていた。正に獅子奮迅の働きであった。
数に頼る敵兵を、巧みな槍捌きで突き崩し、屍の山を瞬く間に築いていく。
そんな豪の前に最強の敵が立ちはだかる。譜代の徳川家臣、本多忠政と本多忠朝兄弟である。
余程、腕に覚えがあるのか、名槍を手に二人同時に豪へと襲い来る。
豪は、そんな強敵を物ともせず、クスッと余裕の笑みを浮かべ、真正面から相手取る。
豪は余裕の色を浮かべて馬を走らせ、電光石火の如く接近し、忠政の心臓を一突きにし、忠政は絶命。
真田が狼狽える忠朝を打ち破り、両者の連携は完璧であり、呼吸もぴったりであった。
「隙だらけです。そんな槍捌きでは私は倒せませんよ。私は豪……槍の又左の娘ですから」
武家の娘の嗜みとして、一流の達人に手ほどきを受けた巧みな技巧により、
一瞬にして本多兄弟を難なく討ち滅ぼし、徳川家康本陣まで後少しだった。
その凄まじき槍捌きは『槍の又左』の異名を取る父、前田利家の再来を思わせる程である。
馬を走らせ、猛然と徳川本陣へと迫る。それまでの戦いで一万の兵力の殆どが失われた。
数々の犠牲を出しながらも本陣へと迫りつつあり、勝利は目前であった。
「真田殿、徳川本陣まで後少しです。露払いは任せました」
「御意! 何処までもお供仕る!」
二人の巧みな連携は健在。幕府軍は、一度は総崩れになる事態に発展する。
異変に気付いた家康は本陣を畳んで逃走を図るが、駿馬を操る豪と真田は突撃を敢行。
本陣を畳んで後方に逃げようとする徳川家康を遂に二人は捉える。
「家康殿、その命を貰い受けましたよ」
「豪……そして真田の小僧!」
豪は慌てふためき、背を見せて逃げる家康に容赦なく槍を突き刺そうとする。
しかし、家康の側近により、横やりを入れられて豪は深手を受け、馬上から転落して地に伏す。
虚を突かれた真田は鉄砲隊により、絶え間ない銃撃を受け、蜂の巣にされて絶命した。
豪は深手を負いつつも致命傷には至らなかったが、捕縛されて全てに決着がついた。
獅子奮迅の挙句、壮絶なる最期を遂げた真田と、女子の身ながら、
苛烈に攻め立て家康本陣を何度も脅かした豪姫。公式的記録で後にこの時の獅子奮迅の有様は、
『真田日の本一の強者なり』『豪姫様は軍神なり』と後世にまで長く語り継がれた。




