表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/48

32 降伏(守景)

 32 降伏(守景)



 江戸城を家康より貰い受け、守景の本拠地となった。既に正式に後継者の座を譲られるのも時間の問題。

 守景は豪への思いを払拭しながら、自分は天下人なのだと言う意識を刷り込ませた。

 そんな時に事態は急変する。兄であり、廃嫡された秀忠が豪を伴って江戸へと進撃しているのだと言う。

 風雲急を告げる事態に一早く対応を迫られた守景は三万の軍勢を即座に集めて、対策を練った。

 秀忠の軍の快進撃は凄まじく、神速の用兵で持って江戸城に繋がる数々の支城を攻略。

 もうすぐ江戸城まで到達するだろうと言う物見からの報告であった。


「おのれ……! 天下人の私に刃向うとは、豪め……」


 守景は評定の間で譜代の重鎮たちの前で怒りを露わにした。

 豪は何故、自分を敵に回すのだろうか。姉と慕っていた豪への不信感を覚え、頭を抱える。


「守景様……落ち着きを。敵方は六万と言え、所詮は寄せ集め」


 守景のお目付け役である井伊の赤備えで有名な徳川四天王井伊直政が主人を宥める。


「寄せ集めでも、それを率いているのは父を超える器量を持つ豪だ。

 豪は男であったならば、最年少で天下を取っていた。それ程の才覚の持ち主だ。

 幼馴染である私は良く知っている。豪……奴の聡明さを」


 守景は頭の中で豪と戦をする想像を巡らせている。豪は自分を上回る才覚を持つ。

 家康に勝利したのも偶然ではない。彼女は思考が柔軟で、何をやらせても一流であった。

 幼き頃……色んな遊びを豪としたが、絶対に豪には勝つことは一度も出来なかった。

 そんな豪に自分は勝つことが出来るだろうか……いや、否だ。豪を敵に回した時点で詰みだ。


「報告! 徳川秀忠軍六万は江戸を包囲するように布陣。江戸を強襲する作戦を取る模様」


 物見が評定の間へと現れ、秀忠軍が江戸を包囲するように布陣したことを告げた。

 守景は考える。どうすれば天才の中の天才である豪に勝つことが出来るか。

 流石は豪だと言える。秀吉の中国大返しの再現の如く電撃的な速度での進軍。

『兵は神速を貴ぶ』の諺のように電光石火の如く苛烈に江戸城へと繋がる支城の陥落。

 どれも巧みで妥協のない戦略。柔軟な思考に加え、圧倒的な軍略。

 それを崩すのは容易ではない。指揮を取る秀忠とて、凡百の類ではないのだ。


 ――詰みだ……。


 守景は自身の詰みを理解。降伏した。肝心の家康は豪に敗れた事で弱り、床に伏せっている。

 家康に判断を仰ぐことは出来ない。もしや、豪は家康を機能させない為に布石を打っていたのでは。

 恐ろしい才覚だ。成長した今でも豪には勝てない。守景は降伏し豪に謝ることを決めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ