31 内乱(徳川秀忠)
31 内乱(徳川秀忠)
思慮深く落ち着いた佇まいを見せる人物が、徳川家の行く末に陰りが見えてきたことを感じていた。
徳川秀忠……二代将軍となる筈だった男である。秀忠は父、家康の横暴な振る舞いを正す為に立ち上がった。
――父上……貴方は驕りの心が芽生えたことで君主の器ではない。
秀忠は家康の行動を正すために挙兵の準備に取り掛かった。その為に布石を構築。
六万余りにも及ぶ軍団を造り上げ、家康と守景打倒の兵を挙げた。
参謀に追放処分となった本多正純を起用。主力に本多忠政、本多忠朝兄弟。
そして、とある女性に秀忠は目を付けた。他でもない家康を破った才覚を天下に知らしめた豪である。
秀忠はある寺で豪姫と会談を設けた。豪も、それを了承し、両者の会談は秘密裏に行われた。
「豪殿……守景は哀れな奴だ。確かにその比類ない才覚は天下人の器であるが、
それ故に欲深い父に利用され、本当に大切なものを見失う。悲しきことだ」
秀忠は悲しみの色を表情に浮かべる豪に努めて優しい声音で言った。
本来、優しく温厚な気質の秀忠は豪の悲しみを理解し、労わるような言葉を投げかけ続けた。
豪は感極まって涙を流して秀忠に縋るような目線を突き刺す。
「秀忠様、守景を元の優しい守景に戻したいのです。
あの子は本当に優しい子……守景を止めるためにも、私は秀忠様にお縋りします」
「良いだろう……お互いの利害は一致したな。共に立ち上がろう」
そうして、二人は共に立ち上がる事を決意……秀忠は豪と共に六万の兵力を動員し、
家康打倒の為に挙兵し、徳川の本拠地、江戸を強襲する作戦を構築した。
布石を巧みに構築する才は流石に天下人、家康の息子であった。




