26 明かされる秘密(守景)
26 明かされる秘密(守景)
慶長五年十月一日――。
石田三成は西軍諸将と共に捕縛されて処刑された。命乞いもしない潔い最期であったと言う。
守景は三成の死に憚らず涙を流した。兄、父と慕う三成の散り様に感銘を受けた。
同じく宇喜多秀家は八丈島へと流された。大切な人々が処罰されていく中、
守景だけは何故か御咎めなしだった。そして守景は丁重に扱われ、徳川の本拠地、江戸へと連れ出される。
江戸城大広間にて、上座に座る家康の御前へと通された。家康は守景を前にして、
感極まって涙を流した。守景はそれを困惑して見ていた。一体、家康は何故涙を流しているのだろう。
「守景……お主は儂の実の息子じゃ」
家康はとんでもない言葉を吐いた。それを聞いて守景は絶句した。
自分は秀吉の遠縁だと聞かされていた守景は家康の言葉が信じられなかった。
「私が、家康様の息子……?」
守景は呆然として、家康をまじまじと見る。思えば、何処か自分には家康の面影がある。
だが、自分には秀吉の遠縁だと言う自負があった。それが根底から覆されたのだから、
驚き戸惑う。守景は複雑な思いが心中で渦巻く。これは本当の話しなのか、と。
「そうじゃ。お主に真実を教えてやろう。お主がまだ本当に幼き頃、
その類まれなる利発さは十二分に伺えていた。それは儂の息子達の中でも群を抜いて。
しかし、太閤殿下は利発なお主を見て、儂に泣きついて、
お主を掠め取るように奪い去っていった。その時の儂の悲しみは相当なものだった」
守景は絶句した。自分が恨み重なる徳川家の者だと知って愕然とする。
「守景、お主は儂の後継者となれる逸材だ。
決めた。嫡男であった秀忠を廃嫡してお主を徳川の後継者にする。
そして儂は近い内、征夷大将軍に任命される。お主が後継者となった場合、
お主が次期将軍だ。その為に教育を施さなければなるまい」
家康は更に驚くべき発言を繰り返す。守景は自分が次期将軍になると聞かされて呆然とする。
遂に明かされる自身の出生の秘密に守景は戸惑っていた。
そして徳川家康は予告通り、朝廷より征夷大将軍に任命され、幕府を開いた。
守景が懸念していた徳川の世が訪れるも、守景の心中は複雑であった。
読んでくださりありがとうございます。




