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23 家康の智謀極まる(徳川家康)

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 23 家康の智謀極まる(徳川家康)



 笹尾山近辺徳川家康本陣――。

 家康は全軍を持って西軍が立てこもる砦を完全包囲した。

 しかし、家康はすぐには総攻撃を仕掛けなかった。ある懸念があるからだ。

 それは他でもない関ヶ原に参戦した九万の兵力を要する第三勢力の存在。

 黒田官兵衛の軍勢の動向である。だが、家康は全く動じていなかった。

 官兵衛に対しても布石を既に打っているからだ。

 家康は慌てず騒がず、正信と天海と優雅にお茶を飲んでいる。


「殿、黒田官兵衛の軍にも布石を打っておられると?」


 お決まりの問いかけで正信が恐る恐る聞く。家康は茶を口に運び応える。


「勿論。官兵衛は自分の軍勢に最強の鎧を装備させている。

 しかし、それが仇となり奴の天下への夢は終わりを告げるのだ。

 最強の鎧……それは幻の幻想にすぎない。どんなものにも弱点はあるものだ」


「最強の鎧とはどのような?」


 正信が質問攻めをする。自分の知らぬことは全て把握したいと言う性格を端的に表している。

 それ故に家康は語りがいがあって面白いのだが。もう一人の参謀、

 天海は主の智謀の神髄を既に散々理解し、もう驚きはしないと平静を保っている。


「官兵衛は昔より、南蛮の国に伝わる藤甲鎧について研究をしていた。

 少し、歴史の話をしよう。古代中国の三国時代、南蛮の地にある国が存在した。

 藤甲鎧が、その地に伝わる秘伝の最強の鎧であった。藤の蔓に油を染み込ませ、

 乾かすと言う工程で造り上げる。水にも浮くし、槍も矢も通さない。

 正しく最強の鎧……だが、致命的な弱点があった。火に弱いと言う弱点。

 それを突かれて国は滅んだ。戦に置いて、火に弱いのは致命的である」


 家康は饒舌に正信と天海に語り掛ける。正信はもしや、という顔をして家康は頷く。


「ふむ。儂は官兵衛が信頼する栗山利安と内通し、味方に引き入れた。

 官兵衛は利安を信頼しているが、利安は既に儂の手の者よ。

 栗山利安の手引きで谷底に官兵衛の軍を誘き寄せる。そこには多量の地雷を仕掛けて置いた。

 官兵衛の軍がそこを通った瞬間、地雷が起爆し奴らは全滅する」


 家康は得意満面で仕掛けて置いた布石を説明する。

 正信と天海は主の底知れぬ智謀に絶句した様子で固まっていた。それを見て家康は満足する。

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