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21 王手(徳川家康)

 21 王手(徳川家康)



 桃配山徳川家康本陣――。

 家康は西軍諸将が全軍、撤退して笹尾山近辺に築かれた砦に続々と入っていくのを見て、

 思わず顔を綻ばせた。これも家康の思惑通りだった。

 何を隠そう。砦を、築いたのは他でもない家康だった。あの砦には仕掛けが施さている。

 西軍を追い詰める為だけに金を掛けて事前に砦を築いたのだ


「あの砦に籠城する事を思いついた者は恐らく守景であろう。

 儂が、城攻めが苦手なのを看破して籠城策を三成に進言したか。

 中々、見所のある青年だが、そもそも籠城戦というのは兵糧が肝であり、

 兵糧がどれぐらいあるのかが、勝敗の分かれ目……野戦からの籠城戦への切り替えは愚策」


 家康は見事に籠城策を三成に進言したのが、豊臣家宰相である守景であることを容易に見抜いた。


「家康様……あの砦に何か仕掛けを?」


 側近、本多正信が驚愕しながら、恐る恐る家康に尋ねる。

 正信は仕掛けられた謀略の数々を目の前にして家康の智謀の恐ろしさを理解し始めた面持ちだった。

 家康は怯える正信に邪悪な笑みで持って応える。


「当然。あの砦はわざと攻略しやすいように手を抜いて築いた。

 見掛けだけは立派に見せて本当はハリボテの一夜城だ。

 秀吉の得意な一夜城よりヒントを得て考えた。取って置きの砦だ」


 自慢げに家康は正信に言った。そう。家康は城攻めの天才秀吉の一夜城をヒントに考えたのだ。

 家康は自身の唯一の弱点を理解し、それを補うために城攻めについて研究に研究を重ねた。

 最早、城攻めは家康に取って、弱点ではなかった。飽くなき天下取りへの渇望が家康を成長させたのだ。


「殿の智謀には脱帽しました。軍略で殿に勝てる者はこの世には存在しません」


 正信は驚愕して家康を恐れるような眼差しを向けていた。それを家康は満足した顔をする。


「さあて、詰もうか」


 家康は本陣を前衛に移動させて東軍諸将に西軍が籠城をした砦を包囲する。

関ヶ原の戦いも佳境に入り、家康の智謀が極まります。

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