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2 動乱の予兆(徳川家康)

二話目の投稿です。

 2 動乱の予兆(徳川家康)



 徳川家関東八国二百五十五万石――。

 自室にて、徳川家康は憚ることなく腹を抱えて笑い転げていた。

 遂に憎き秀吉が世を去った。家康は秀吉に臣従しながらも天下を虎視眈々と狙っていた

 雌伏の時は苦渋に満ちた毎日だった。あの下賤者に表向きには律義者の仮面を付けて機嫌を取っていた。

 しかし、その忍従の日々は終わった。これからは堂々と天下取りの策謀を巡らすことが出来る。

 豊臣家の後継者である秀頼は幼い。上手く育つかも分からぬ幼子を残して秀吉は無念の死を遂げた。

 そう思うと笑いが込み上げてくる。秀吉はさぞ無念であっただろう。


「秀吉は死んだ……長きに及んだ忍従の日々は終わりを告げた。これからは儂の時代だ。

 豊臣家を滅ぼし、徳川の世を作り出すのだ。毒が思いの外、早く効いたものだ」


 家康は苦労を重ねた壮年特有の皺が刻まれた顔を邪悪に綻ばせて側近であり、

 老年の僧侶である知恵袋の南光坊天海大僧正に言った。そう。秀吉が死んだのは偶然ではない。

 家康は天下を簒奪する布石として、秀吉に悟られぬよう毒を盛り、

 卑劣にも毒殺に手を染めたのだ。その結果、家康の耐え難き雌伏の日々は終わりを告げたのだ。

 面従腹背をしながらも家康は用意周到に予め布石を打っていたのだ。


「はい。私の手の者を秀吉に接近させて毒を盛りました。

 天下の名医と称して、実は毒殺専門の暗殺者を送り込むのに苦労しましたぞ。

 秀吉……奴の死は私の悲願でありました。その為に家康殿に味方して正解でした」


 天海は家康同様に邪悪な笑みを浮かべて、事のあらましを語った。

 表向きは高位の僧侶であるが、その前身は美濃国守護土岐氏の一族であり、

 信長に仕え、後に反旗を翻し、本能寺の変を起こした明智光秀であった。

 家康は秀吉に恨みを持つ天海を保護し、その卓越した知略を買い、自身の知恵袋とした。

 天海は家康の期待通り、秀吉の毒殺に成功した。彼に任せて正解だったと、家康は大満足であった。

 これで徳川の世がやってくる。辛かった忍従の日々が終わりを告げるのだ。

 そう思うと笑いが止まらなかった。そして今後の方策を天海に語った。


「天海よ。豊臣家を滅ぼすには大きなカラクリが必要だ。

 それには反徳川の勢力の炙り出しをせねばなるまい。その旗印として、

 太閤殿下の側近であった石田三成……奴を太らせ、派手に煽り、

 儂に刃向う諸大名を巻き込み挙兵させる。反徳川勢力を率いる三成を潰し、天下を取る。

 その為には儂に対抗できるまで奴を育てねばなるまい」


 家康はその深謀遠慮の一部を天海に話した。天海は家康の策謀に驚きを示したようで。


「何と……殿はそこまで読んでおられるのですか。

 恐ろしき智謀に恐れ入りました。私でもそこまで読めません」


 天海は素直に自分の智謀よりも家康が上回っていることを認めた。

 驚き驚嘆の声を上げる天海を見て、家康は喜色満面の笑みを浮かべ、

 決意を新たにし、豊臣家を滅ぼし、天下を手中に収める為に動き出した。

家康の謀略極まれり

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