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17 最前線(宇喜多秀家)

 17 最前線(宇喜多秀家)



 関ケ原中央。西軍副将宇喜多秀家本陣――。

 豊臣政権五大老であり、西軍副将宇喜多秀家一万七千は遊軍の小西行長四千と連携し、

 東軍先鋒福島正則軍五千を始め、黒田長政軍、細川忠興軍、井伊直政軍を一手に引き受けていた。

 宇喜多軍は西軍最大兵力と六千丁の鉄砲を有しつつも、苦戦を強いられていた。

 敵先鋒福島正則軍と後詰の井伊直政軍と他の諸将が精強であるからだった。


「己……! 家康に尻尾を振る屑ども! 太閤殿下の恩義を忘れたか!」


 長身で美麗な若武者、宇喜多秀家は本陣にて顔を朱に染め、悲壮なる怒りを露わにした。

 普段、温厚で優しい人柄で知られるが、一端、怒りを露わにすると止まらない。

 亡き太閤殿下の恩義を一番受けているからこそ、

 その怒りは抑えがたい衝動だった。恩義に報いない者は人ではない。

 秀家は危険な思考を迸らせる程、勝利への渇望を覚える。必ず勝つ。太閤殿下の為に。

 今度は一瞬だけ、元の穏やかな秀家に戻り、信頼を寄せる豪傑である明石全登に言った。


「明石全登、今日まで良く私に仕えてくれた。私はこの戦で死ぬのは明白。

 ならば少しでも逆賊共の数を減らし、守景と三成殿が家康の首を取れるように捨て石になるのみ。

 残り一万四千の軍勢で私自らが打って出るぞ!」


「御意! お供仕る」


 明石全登は秀家の無茶にも快く応じ、身命を賭して死線を共にすると言った。

 秀家は自ら出陣する決意を固め、残りの軍勢を率いて打って出た。


 ――豪、すまぬ。お主には再び会えぬかもしれない。


 出撃の下知を下した秀家の脳裏に自分の正室、豪が浮かんでは消えた。

 悲壮なる決意を胸に宇喜多軍は一気呵成に打って出る姿勢を見せた。

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