表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Different world life  作者: 「」
序章 異世界への片道切符そして、不明
3/12

 涙しか流すことができない俺は一晩中、涙を流していた。表情は一切変わらずに。

 気が付けば、世界の色が、黒から灰色になっていた。俺は、体を起こしてベンチに座った。朝になったのだ。

 そして、空を見つめていた。雲一つない良い天気だった。

 後ろから視線を感じ、振り向くと、中学生時代のマドンナが俺に近づいて来た。


「どうしたのかな?相馬君」


 笑顔で俺に話しかけた。俺は、


「どうやったらそんな表情ができるの?」

「えっ……」


 マドンナは黙った。しばらくして、


「毎日が楽しいから、かな。だから自然にこの表情になっていた」

「毎日が楽しいから、か。俺は人生が狂って表情を失っただよね」


 ここで、笑顔を出来ればよかったのだが、口の形を歪めることしかできなかった。目は虚無感を感じさせることしか出来なかった。


「……」


 マドンナは、黙り、そして、どこかへ消えていった。

 昔の俺を期待していたのかな。どこかへ消えていくマドンナ背中には、何かが無かった。

 どうすればいいのだろうか。目が悪いのかな目を両方潰せばいいのか。でも、痛いだろうな。

 モノクロしか映らない目。現実から逃げれるから嫌いにはならなかった。

 そう考えているうちも時間は進んでいく。中学生が俺を見ては、こそこそと何かを話していた。

 耳をすませば聞こえてきた。「あれは人生の負け組だ」と。

 そう思いたければ勝手に思っておけばいい。人間とは、見下すことで自分の優位性を感じる屑なんだから。

 俺は、人間じゃない。じゃなかったら、モノクロしか見えなくはならないはずだ。

 だから、俺は、人間じゃない。『化け物』なんだ。

 だだ、ぼーっとしているだけで、時間は早く過ぎていく。気が付けば、灰色から黒に変わっていた。

 俺はベンチに寝転んだ。

 すると、声が聞こえた。


「お兄さんは世界が何色に見えるの?」


 幼い女の子の声だった。

 暗闇で何も見えない。月明りも星の明るさも頼りにならなかった。


「お兄さんは世界が何色に見えるの?」


 再び聞こえてきた。俺は、


「モノクロ」


 そう答えた。すると、


「だったら、ぴったりだね」


 幼い女の子の声は嬉しそうだった。


「これ、お兄さんに五円であげる」


 お金を要求するのかよ。

 何を貰えるのか分からないが、俺はポケットから五円を取り出した。

 すると、人形のような細い手が見えた。俺は、そこに五円を乗せた。すると、紙切れを持った手が現れた。


「これはね。異世界への片道切符なんだ」


 片道切符。もう帰れないってことだろうな。別にいい。俺の居場所はこの世界にないのだから。

 俺は、紙切れを受け取った。


「じゃあね、お兄さん」


 幼い女の子は、姿を消したのだろう。風、ピューっと吹いた。

 異世界への片道切符。ただの紙切れにしか見えなかった。

 俺は、紙切れをポケットに入れてベンチに寝転んだ。

 そして、次の日が訪れなかったのだった。

 次こそは異世界に転移しているのだろう。作者の俺でも知らない。気まぐれ変わっていくプロット。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ