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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第1章 白夜学園編その①
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第1章 第8話 拭われた後悔

  私は、どうしてあの時魔剣を使ってしまったのだろう。そうすることで周りと私が完全に別次元の人間だと知らしめるため?違う。戦いに飽きて早く終わらせるため?違う。自分のことを貶されてイライラしていたから?断じて違う。

  私は、その答えを持たない。知らない。ただ何となく、使いたくなったから使っただけ。


「私は、どうしようもない馬鹿野郎だ……」


  今でも鮮明に思い出す。例え寸止めだったとはいえ、恐怖に染まっていた将の目を。

  それを見た瞬間、また同じ過ちを犯したことに気づいた。そして、その時の将の目が戦争中に殺り合った少女と重なった。


「そういえば、あの子は生きてるのだろうか。名前くらい聞いとけばよかったかな」


  あの時も私は魔剣を寸止めした。切った方が良かったのではないか。なんて後悔の念が湧き出てきたのは終戦後1年がたった頃だった。


「それにしても、どうして今日も呼ばれたのかな?まぁ、教室での質問地獄から逃れられて嬉しいけど……」


  昨日のコロシアムでの試合が終わってから、ずっと後悔してる。前からそうだ。魔剣を使った時は、相手を殺すか自分が後悔するかしか無い。


「何言われるのかな……怖いな………」


  どうしようもない後悔を背負ったまま、私は生徒会室に入った。その後のことは、もう語るまい。気がついたら、「よろしくお願いします」が自然と口から出ていた。後悔なんて、恐怖なんてしなくても良かったんだ。


「あなた達となら、これから楽しそうだから」


  紛れもない本音は、誰でもない私に一番最初に届いた。今の私に、後悔は無縁なんだなって、思わせてくれた初めての人たち。この人たちを拒む理由なんてどこに存在しようものか。



 ・・・



『祝!光の王女執行部に!』


  次の日、そんな見出しの新聞が配られていた。いや、それよりも情報早くない!?いくらなんでも早くない!?模擬戦の時もそうだってけど、この学園の情報網どうなってるの!?

  新聞は10ページ程もあり、中には白夜学園恋愛事情や、模擬戦結果が記載されており、しっかりと新聞だった。


「これ、誰が作ってるの?」

「ん?あ〜新聞?それは新聞部っていう変態の集まりみたいなところが作ってるよ〜」

「あ、心起きてたの?おはよう」

「うん。り〜ちゃんもおはよ〜」


  全寮制の白夜学園では、必ず2人で一部屋割り当てられる。のだが、私の分の寮の手配が遅れたため、昨日までは応接室に布団を敷いて雑魚寝していた。でも、今日からは寮での生活。誰と同じ部屋かな?なんてワクワクしてたのが昨日の夕方。まさか心と同じ部屋とは……


「はぁ………」

「ため息なんかついちゃってどうしたの?『光の王女』が気に入らなかったの?」

「いや、まぁ違わなくはないけど今のため息は違うよ。とはいえ、新聞部か……」


  玲奈に聞いたらどこにあるかわかるかな?放課後にでも行ってみるか。ちょっと気になるし。


「あ〜。新聞部ならいつも校舎のB棟にある部室で活動してるよ〜。今日の放課後は何も無いから、行ってみるといいとおも……ふわぁぁぁ」

「え!?今読心術かなにか使ったの!?」

「ん?あ〜、そんなのも使えないことは無いけど今のは普通に顔に書いてあったよ〜。行きたいって」


  あ〜、私ってなんて単純なんだろう。まぁいいや。とりあえず今日の放課後、B棟の部室行こっと。藪をつついて蛇を出す結果だけはやだな……






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