第2章 第54話 私は独りじゃない
例えば、世界がひとつじゃなかったとして、君は自分がいる世界が本物だと断言出来るのかい?出来ないね。証拠がないんだから。
これが答えだった。たった1つだけの世界の理だった。終末戦争が起こるまでは───
・・・
今の私は、私であって私ではない。桜崎 莉音という私ではあるが、本当の私であるとは言えない。妖精としての私も、同様だ。じゃあ、私にとって「本当の私」とは何なのだろう。
「あれ?どうしたの莉音。ぼーっとしちゃって」
「え?あ、ううん。なんでもないよ」
「そう?それならいいけど。これからが本番だって言ったのは莉音だよ。しっかりしないと」
「あはは。ごめんね」
この疑問は、ずっと心に突き刺さって抜けない。理由は分からないけど、抜けないのだ。けど、本気で戦ってる時は違う。そんなものは一切なく、紛れも無い自分自身がそこにあると断言出来る。
だから、この疑問は戦いの中で解決することにした。それが私の現時点での答えだし、最善策だと考えてる。
「準備はいい?行くよ!」
私は、本当にこれが正解なのだろうか?という疑問の中にいる。私一人……とはいかなくとも、心と苺ちゃんは置いていってもいいのではないだろうか。これだけの人数で動く場合、デメリットの方が大きいのではないだろうか。もし仮にこの中から犠牲者が出てしまったらどうしようか。
「クロノア団、執行部連合隊の勝利を世界に刻もう!」
私がいくら止まって考えようとしても、時間は常に前に進む。だから失敗する。けど、今は何故か失敗する気はしなかった。それは慢心ではなく、信頼。私はそう信じて、疑問を振りほどこうと前に進む。
周りが何を言おうが関係ない。私は私が信じるものを信じる。例えそれが間違っていたとしても。だって、世界に本当の正解なんてないのだから。
「皆、私から言うことは一つだけだよ!」
けど、今これだけは……この言葉だけは唯一の正解だと思う。いや、正解不正解はどうだっていいんだ。この言葉で誰かが救えたのなら、それは私にとっての正解なんだから。
「全員、生きて帰って来よう!」
全員の声が小さく木霊する。今度こそ、みんなで戦おう。もう、私は独りじゃないんだから。




