第2章 第53話 死闘を
私は、3人に何があったのかを説明した。生徒会室を出てすぐの出来事。そこには白夜連盟がいた事。そしてそれが罠で、ダンジョンに2人が食べられたこと。そして、そこでの2人の覚醒と死闘。
「『終末日記』……?初めて聞いた」
「まぁ、ほとんどの人が初めて聞くと思うよ。だって魔剣であって魔剣じゃないから」
「え?どういうこと?」
私の言葉に全員が頭にはてなマークを浮かべた。まぁ、仕方ないといえば仕方ないけどね。だって、ほとんど知られてない情報なんだから。
「光があれば闇もある。つまり、そういうこと」
「余計わからん」
いや、龍護……君はせめてわかってくれ。君も踏み込んだことがあるでしょ?反対側に。
「簡単に言うと、一般的な魔剣が光。そして『終末日記』みたいな一般的に知られてない魔剣を闇。同じ魔剣だけど本来の魔剣とは違うから、私を含め闇の魔剣を知ってる者達はそれをこう呼んでるの」
私はそこで一拍置いた。実際は簡単に表せられないから、この名前を出す前にどれくらいまで理解出来ているかを確認したかったから。曖昧なまま呼び方だけ覚えてしまうと、絶対に失敗するから。
「魔神剣。これは正式名称じゃないけど、私としては1番馴染みのある呼び方なの」
「魔神……剣?」
「なるほど。つまり、魔神の剣だから消耗魔力が大きいと。そのせいでダンジョンでしか使えなかったと」
「だいたいそんな感じ。さっすがカール!理解力あるぅ〜」
「だろぉ?」
カールの説明でみんなが納得して首を縦に振っていた。なんだろ、なんか腑に落ちないな〜。このままじゃカールが説明した方がわかりやすかったじゃん。というか、納得する場所そこなの!?合ってるけど。会ってるけどぉ!!
「うぅ……なんかすっごい敗北感」
「お前は前からそうだけど、回り道し過ぎなんだよ。もう少し近道してもいいんだぜ」
「もう。やっぱカールは凄いや」
「へへっ。褒めてもなんも出ねぇよ」
こんな時間が永遠に続けばいいのに。そんな風に思ってるけど、今はそんな呑気な事言ってられない。それに、いつまでこの場所がもつのかもわからない。
「よし……そろそろ行こうか」
「行くって?」
「戦場。もうそろそろ始まるよ」
私は、みんなに向けて最後の、そして私としては最高のエールを贈った。
「さぁ!これからの死闘を乗り越えて、後で皆で、美味しいお茶を飲もう!」
「「おー!!!」」
さぁ始めよう。死闘を。




