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戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
第2章 白夜学園その②
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第2章 第51話 顔を上げなよ

「もう!遅いじゃない。何してたのよ」

「悪ぃ悪ぃ。出口探してたのに見つかんなくてよ。それでやっとの思いで出てきたらよくわかんねぇ奴らに絡まれてたしよ」


  シェリーと龍護がそうやって笑い合ってる。でも、私にそんな余裕はなかった。正直、龍護が生きていたって言うだけでも泣きたくなるくらい嬉しいことなのに、助けて貰っちゃったら……


「それにしてもすまねぇな莉音。あんときゃあぁするしかなかったんだよ。心配かけちまった。本当にすまねぇ」

「え?」


  私は、何を言われたのか分からなかった。ましてやその言葉が私に向けての謝罪だなんて。


「俺はこの通り無傷だからさ。まぁ、ちょっと疲れてるけど…でも俺が無事なことに変わりはねぇ。そんだけで充分だろ。もっと自分を大切にしろよ、莉音」

「まさか、龍護にまでそんなことを言われる日が来るなんてね……」


  私は、自分を犠牲にすることで他人が幸せになるならそれでいいと思ってた。だからそれをやってきたし、これからもやっていくつもり。だったんだけどな〜……


「おいおい、それどういう意味だよ!遠回しに馬鹿にしてないか!?」

「ううん。褒め言葉…だよ」


  もうダメだよ。この戦いが全部終わるまで取っておくつもりだったのに…なんで止まってくれないのかな……このままじゃ龍護の顔、まともに見れないよ。


「うつむいてたって何も変わらないぞ。それに、それは隠すもんじゃねぇ。顔を上げなよ。その方がいいに決まってる」


  龍護は、座り込んでいる私の前にしゃがんでそう言った。もう、龍護には敵わないや。


「もう……そんなの、ずるいよ」


  私は震える声で言った。今顔を上げたら、私は今までと同じように龍護と接することが出来るのかな……多分、無理だ。でも、頑張るしかないのかな。


「うん。その方が莉音らしいよ」


  顔を上げると、そこには初めてあった時のままの笑顔があった。最初は図々しい奴だなって思ったんだっけ。でも、それは昔の話。今は、まるで太陽のように輝いて見えてる。


「もう……龍護のばか」


  ささやかな抵抗とともに溢れ出た涙は止まることを知らないようだ。私は、涙でくちゃくちゃになったままで精一杯の笑顔を作った。多分、これまでで1番汚い笑顔。でも、1番の思いの詰まった笑顔。



 ねぇ龍護……これって、恋…………なの?







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