第2章 第50話 おかえり
「お?こんな所に可愛い女子はっけ〜ん」
第2体育館の前で小一時間程話した時、やたらチャラい人数人が私たちを取り囲んだ。
「誰ですか?」
「そんなのはどうでもいいじゃ〜ん。ねぇねぇ、俺達と一緒に遊ぼうぜ?いい場所教えるからよぉ」
あ〜……これ、いわゆるあれだ。ナンパとか言うやつだ。初めてされたけど、しょうもないな〜。想像の数倍はしょうもない奴のしょうもない行為だわ。
「遠慮します。忙しいので」
「いいじゃんいいじゃん。楽しいぜ〜?」
男達は徐々に距離を詰めてきた。ざっと見たけど、全員一般人だ。まぁ、なんでこんな所にいるのかって疑問があるけど、それよりもここを突破しよう。うん。
「よし、行こうぜ。今日はこれまで以上に楽し──」
「……触れないでください」
「はぁ?」
「触れないでくださいって言いました。そんな汚れた手で」
リーダー格のような男が私に手を伸ばしてきた。どうしよう……強がってはいるけど、まだ魔力が上手く扱えない……体が鉛のように重くなっちゃってるし、シェリーもかなり動揺してる。どうしよう。今この状況を打開するには……
「おいおい、そんな口聞いてもいいのかぁ?こっちは15人いるんだぞ?女二人無力化することなんてぞうさもねぇ。いくつもの修羅場越えてんだよ」
「そうでしょうね。ただ1つ、あなた達は勘違いをしてます」
「勘違いだぁ?この期に及んで強がりか?」
「違いますよ」
私は、後ろからひとつの気配が近づいてきていることに気づいていた。けど、男達は気づいてないらしい。ほんと、愚か。
「あなた達は彼を怒らせました。それだけです」
「あぁん?何を言って──」
その時だった。男達が情けない悲鳴をあげながら徐々に倒れ始めたのは。全員気を失っているだけのようだけど、結構重症……
「はぁ!?一体何が……」
その言葉を言い終わる前に男達が全員倒れ、代わりに一人の男が立っていた。
「早かったね」
「まぁな。間に合ってよかったぜ」
その男は、私たちの方を向くとさっきまでとは一変して無邪気な笑顔を見せた。
「おかえり、龍護」
「おう。ただいま。莉音、シェリー」
そして彼は、私達に手を差し伸べるのだった。




