第2章 第48話 後遺症という代償
私は今、どこにいるのだろう?この感覚……水の中?でも呼吸はできるし、水中特有の浮遊感も感じない。でも、水の中にいるように感じられるのはどうしてだろう?
不思議な感覚だった。自分を見失ってしまいそうで怖いのに、今いる場所がとても心地よくて、ずっと居たいと願ってしまう。
「……ん…………おん!」
けど、それももうここまでみたい。真っ暗な場所にほのかな光が差し、私の体は徐々に浮上していった。
『ねぇ……本当に正しかったの?』
その後悔だけを連れ出して……
・・・
「莉音!ねぇ目を覚ましてよ!莉音!!」
シェリーの声が聞こえる。私は脱出できたんだ……でも、龍護は?
「……シェ…リー?」
「莉音!よかった…このまま目覚めなかったらどうしようって思ったの……」
「龍護…は?」
「さぁ?まだ戻ってきてないわよ」
私は背筋を悪寒が走った。今すぐにでも戻って龍護を助けたい!そう思っても、体が言うことを聞かないし、そもそも動かない。
「……後遺症、出てるんでしょう?」
「え?」
「莉音、ダンジョンの中で妖精魔法使ったでしょ?それも飛びっきり高度なやつ」
どうして分かるの?あの時は龍護と私だけしかいなかったはず。なんでシェリーは、ここまで正確に言い当てられるんだろう?
「なんで?って顔してる。さすがにわかるわよ。『終末日記』は多少の魔力が残滓となって使用者の身を覆ってるの。今の莉音は、そんな感じ」
そうだったんだ…勉強不足だな〜。私もまだまだ精進が足らないってことかな。それにしても、後遺症ってどういうこと?
「今は少し麻痺してるけど、もうちょっとしたら全身を激痛が走るよ。『終末日記』の代償は後遺症と呼ばれるくらいには強力なんだから」
「そう……だったんだ。あまり多用はでき……ぐっ…かはっ!?」
「ほら始まった」
突然全身を襲った痛みに、耐えきれなくなって思わず声が出てしまった。感覚的に言うと、全身をヤスリにかけられてるような感覚。それは徐々に体の中心に向かっていた。
声が出ない痛みってこのことなんだ。私はそう思いつつ、痛みが終わるのを待った。
「気をつけてよね。最後の衝撃は他の痛みと比にならないわよ」
「……?…………!?ぐがぁ!?が………が……はぁ……はぁ……」
痛みの波がちょうど心臓の位置。つまり体の中心に達した時、本当に比にならない痛みに襲われた。それはもう、比喩することすら躊躇われる……
もう、使うの辞めようかな…………




