第2章 第42話 わからない気持ち
世界が元に戻った。そして、再び静寂が訪れた。
「ねぇ龍護……」
「ん?なんだ?」
「君は、何を感じた?」
「何を……か。少なくとも、今すぐにでもこの戦いを終わらせねぇとなって思っただけだ」
「ふふ…龍護らしいね」
余計な考えを言わず、結果だけを答えるところ。相変わらずだね。
「それで、莉音は何を感じたんだ?わざわざ聞いてくるってことは、莉音も思うことがあるんじゃないのか?」
「相変わらずのんでそういうとこだけは鋭いのかな……まぁ、大したことじゃないよ。それに、ほとんど龍護と同じ」
「ふ〜ん。それならそれでいいんじゃね?それより、どうやってここから出るか、だ。壊すわけにもいかねぇし……」
「多分、出口はあるよ。探せば絶対見つかる」
彼はこのダンジョンの心そのものだった。生きていたのは、彼の感情。このダンジョンはそれを形にしていただけ。
「……なんでそんなことわかんだよ」
「わかんない。でも聴こえるの。出口はこの先にあるよって声が」
「それは幻聴とかじゃないんだな?」
「それは確かだよ。けど…人の声じゃないのも確か」
「はぁ?大丈夫なのかよそれ」
わかんない。けど、今はもうそれを頼るしかない。一番ダメなことは、自分の予測に怖気付いて先に進まないこと。
「しゃーないか。その賭け乗ってやるよ」
「あはは……ごめんね。もしかしたら戦うことになるかも」
「そん時はそん時だ。ここで犬死にするよりはマシだ」
私達は、声のする方に歩を進めた。何も無くて静かな道を歩いていると、永遠に続いているように感じるのは気のせいじゃ無いだろう。
でも、永遠に続いて欲しいと感じてしまうこの気持ちは、一体何なのだろう。
「おやぉ?こんな所に客人とは……珍しいこともあるのですね」
その答えが出ないうちに、最も恐れていた事態に陥ってしまっていた。




