第2章 第39話 少年の昔話
『それにしても主ら、ここにいるということはワシに喰われたということじゃな?』
あの後、龍護がヘドバンでもしてるのかってくらいに頭を上下し、それを面白がったダンジョンの少年が悪ノリして説教じみたことをし始め、それを本気に受け取った龍護が土下座までしてみせるという割とカオスな状況になった時、ふと我に帰ってダンジョンの少年が言った。
「そうですけど……どうすれば良いんですか?」
『知らん』
え〜……知らんってそんな無責任な。
「でも、ここって実質あなたなんですよね?」
『そうじゃな』
「じゃあここからどうすれば抜け出せるのかとか……」
『知らんったら知らん』
「え?でも……」
『でもとか言うな!知らんったら知らんのだ!入ってきた者の出し方なんぞ知らん!』
まぁ、言われてみれば食べたものの吐き出し方知らないかも…いや、それとこれとはさすがに違うでしょ!?あれ?龍護は何も言わないし、もしかして私の感覚がおかしいの!?わからないよ〜!!
「そ、そうなんですね……それで、あなたはここにいつから?」
『ワシか?ワシならずっとじゃ』
“ずっと”。そのひと単語だけでこのダンジョンの少年が発した言葉の重みが変わった。まるで一種の魔法であるかのように、「時間」という重みが空間を支配した。
『仕方ない。どのみち暇じゃろう。少し昔話をしよう。ワシがどうしてここにいて、どうしてダンジョンがこんな所にあるのか』
そして語り部の少年は地面に腰を下ろした。そしてそれがこれから始まる長い長い昔話の始まりだった。
『そうじゃな。どこから話そうか……まずは、あそこからの方がいいかの───』




