第2章 第34話 第2体育館の呪い
戦いは唐突に終わり、また同じように唐突に始まる。そこにはルールなどは存在せず、ただ戦いという概念が存在しているだけ。だからこそ、こうやって仲間と一緒にいられる時間が永遠であって欲しいと願う。
「また1つ、峠を超えたね」
「そうだな。まさかいきなりとは思わなかったけど」
「でも、ほとんど莉音が倒したようなものじゃない。それに、白夜連盟の人達はどうするの?」
「彼らは彼らでやって行ける。それが白夜連盟だよ。だから安心して大丈夫」
そう。白夜連盟のチームワークはこんなものでは揺るがない。それどころか、こういう感じで挫折を受けた方が強くなる。そんな人たち。だから私は、彼らを尊敬してるし、憧れてるの。
「それに、私達には私達の問題があるよ。まだこの戦争は終わってないよ。まだ半分にすら行ってないはず……不意打ちだけは警戒しなきゃ」
まるでダイヤモンドダストのように煌めいている世界が、徐々に終わりを告げていく。その場所が元々の色を取り戻していく。
少しずつ鮮明になっていく世界は、美しいようでどこか切なかった。普通の光景が懐かしく感じてしまうほどに、私達はあの世界にいたのだろうか?
「不意打ち……はなさそうだね。多分ここ、第2体育館」
「第2?なんで分かるんだ?」
「まぁ、それは色々あるんだけど……それより、まずいかもしれない」
嫌な予感がする。私、この体育館に来たことは無いけど、直感でわかった。ここは第2体育館なんだと。既に“使われなくなった”第2体育館なんだと。
「ん?何がまずいんだ?ここに何かあるのか?」
「何かあるというか……まぁあれだよ。ここ、呪われてるって噂だから」
「呪われてる?どういうことなのか詳しく聞かせてくれないかしら?」
詳しく…か。ここに来て長くないからそこまで詳しいことは知らないけど、少しだけ聞いたことがある。
「この体育館が呪われてるって噂されてる理由。それはね……」
私はそこまで言って初めて、今ここで説明を始めようとしたことが間違いであることを察した。なぜならこの体育館は……
「っ!2人とも!今すぐ出口に走って!」
「はぁ?!どうしたんだよ急に」
「始まっちゃった!早く出ないと飲み込まれる!!」
そう、この体育館は───
「ここは生きてるんだよ!生きた“ダンジョン”なの!!」




