第2章 第30話 白夜連盟の団長
「行こう...」
「いいのか?あいつらをあのままにしておいて」
私が歩き始めると、龍護が不安そうな目でそう聞いてきた。シェリーは何も言わないにしても不安そうな感じはひしひしと伝わってきた。
「大丈夫だよ。白夜連盟に敵意自体はほとんどないよ。だから、今から少しけりを付けに行こうと思ってる」
「だから、生かしておいたの?」
「え?」
「夢って子。最初に戦ったあの子、倒れてただけで死んでもいないどころかダメージすら与えて無かったよね。その理由もそれ?」
私は正直びっくりした。気づかれていないかと思ってたのになぁ...
「なぁにぽかんとしちゃってるのよ。あんなに派手にやっちゃってて気づけてないのは龍護ぐらいでしょ。それに、君が人をあんなに簡単に殺そうとはしないでしょ」
「おいこらてめぇ!俺がいくら馬鹿だからってその言いようはねぇだろ!気づけなかったけどよ!」
「気づけなかったらそこまでキレることないでしょ?早く自覚しなさいよ」
二人が懐かしい言い合いをしているのを聞きながら、私は一つ大きな鎌でひっかかれたような感覚に襲われていた。それがシェリーの言葉なのかはわからないけど。
「おい莉音!しっかりしろ!」
「え?」
私は、大きな大きな間違いを犯していたことに気づいた。さっきまであり得ないことが起こっていたのに...そのことが盲点だったのだから。
「くそ!シェリー、莉音を頼む!!」
「えぇ。私も油断してました。あの鎌も生きてるということは、自立して行動もできるというわけ...で?」
「どうし...た?って、あれ?」
でも、私は死ねない。死ぬわけにはいかない。だからこそ、私は万が一の時に備えてた。まぁ、こんなに早くに使うことになるとは思わなかったけど。
「あはは...ごめんね、乖離呪文ってこういう時のための魔法なの」
「ほんと、心臓に悪い」
「そうだったのね~。あ、そっか。乖離って...」
「つまりはそういうこと。さぁ、本当の戦いが始まるよ」
目の前に浮遊している鎌をじっと見据えながら、私は二人に真実を告げるとともにこの第二戦の最終戦の開戦を告げるのだった。
「さあ、二人共行くよ!今からが本当の戦いだよ!あと、さっきの借りは返させてもらうよ。白夜連盟最後の関門にして団長である『冥断鎌』グィルヴィア・カルアントニス!」
私の声に対しての反応は本当に三者三様だった。驚愕、興奮...あと、目の前の感情を持たないはずの鎌がこれからの戦いに武者震いのように軽く震えたかのように見えたのは、私の気のせいだといいな...




