第2章 第27話 冥断鎌
「良かったのか?いきなりあんな大技使って」
荒野を歩いていると、不意に龍護がそんなことを聞いてきた。乖離呪文はそこまで大技じゃないんだけどな〜。
「乖離呪文のこと?そんなに魔力使わないよ?」
「いや、そうじゃなくてさ。それって莉音の1種の必殺技じゃなかった?」
確かに、乖離呪文は“どんな言葉を連ねても”発動させられる点で言えば確かに大技と言える。けど、それは別の捉え方としては、安定していないということ。だからこそ、動きながらの詠唱には向かない。
「そうだけど。でもさ、今から戦う相手に使えると思う?白夜連盟はなかなか手強いよ」
「まぁな。あ、やっとわかったわ。お前相変わらず性格悪いのな」
「いやいや。さすがにシェリーには負けるって」
「ちょっとぉ?聞き捨てならないんだけど?誰が腹黒くそババァだってぇ??」
「いやそこまでは言ってない」
なんだかんだでワイワイ話しながら進んでいると、今にも散りそうな葉っぱを1枚付けた木を見つけた。私は、何故かその木が私を呼んでいるような気がして、少し気になった。
「あれ?どうしたの莉音。ぼーっとしちゃって」
「え?あ、ごめんね。なんでもないよ」
そんなやり取りを挟みつつやたら静かな場所を歩く。どこまで行っても景色が変わらず、どれだけ歩いたのかわからなくなってきた。
「なぁ、俺たち結構歩いてるよな?」
「そうねぇ〜。でも、敵が攻めてくる気配がしないのよねぇ」
あれ?おかしい。さっきもこんな感じの場所を通った。多分、その前も……でも、こんな場所なら同じ場所ぐらいあるか
「そうだね。体力を削りに来て……る……?」
「ん?どうしたの?」
「ごめん……私達、歩いてなかったかもしれない」
「はぁ!?それってどういう意味だよ!」
「わかんない!でも、そういうことなの!」
私は叫ぶようにそう言った。“ずっと”横にある1枚だけの葉を付けた木が、その証拠だった。
「じゃあ……いったい?」
「多分、幻覚の類。でも、どうして?いつ?」
「その答えが知りてぇか?」
半ばパニックになりながら必死に考えをめぐらせていると、どこからともなくそんな声が聞こえてきた。
「その答えはこの、お・れ・さ・ま・だ!!」
「え?……くっ!」
敵?!どこから?いや、今はどうでもいい。それより、想像以上に面倒なことになった。せめて……せめて右腕が使えたら!
「あり?完全に不意を着いたと思ったんだが……流石は青薔薇と言ったところか」
「……よりにもよって次は君ですか……」
「そうだぜ!運が悪いな〜嬢さんら。夢の仇、きっちり取らせてもらおうじゃねぇか」
鎌を前に突き出しながら、どこかチンピラ感ある口調でそう言ってきた。多分、白夜同盟の中ではトップクラスにめんどくさいやつ。もちろん性格が。重要なことだからもう1回言おう。めんどくさいの。性格が!
「はぁ……夢幻想造剣第12の剣……風迅」
「俺達も援護するぜ!」
「ふふっ。『不可侵の剣舞』シェリー・レビット、推して参りますわ」
さて、どんなふうに絶望を味あわせてあげようかな。そうだな……こういう輩は完膚無きまでに潰すのがちょうどいいかな。
「さぁ!行くぜ!世界を断て冥断鎌よ!!」




