第2章 第10話 暴走沈静の儀
すみません。何らかのミスで完結済みになってしまっていました。
続きます。本当に申し訳ございません。
「もう、無茶はダメだよ」
私は離すと同時に龍護にそう言った。聞こえているのだろうか?多分、聞こえてないと思う。
暴走しかけていた龍護の体を覆っていた外骨格は跡形もなく剥がれ落ち、眼も完全に元通りになっていた。
「嘘……信じられない……暴走を、止めた?」
ビックリしてるのかな?まぁ、初めて見た人はそうかもね。けどごめんね。あとちょっと待って……
「ねぇ、莉音。もう終わったの?」
「あ、だめ。心……まだ、莉音に近づいちゃ」
「え?なんで?龍護とやらの暴走は止まったし、本人は気を失ってるし。それになんで莉音に近づいちゃいけないの?」
お願い。本当にまだ待って。これだけはまだ、見られたくない。見られたら、もう2人とは……
「まだ、終わりじゃ…ない。暴走を止めるなんて、不可能。でも起きた。実際に莉音はした。理由は、わからない。でも、ひとつだけ言える」
「どうしたの?なんでそんなに震えてるの?」
「まだわからないの!莉音が今暴走しかけてるってこと!魔力の流れだけでわかる!それに!考えうる限り暴走を止める方法は一つだけ!」
辛うじて聞こえてるよ……苺ちゃんにはわかっちゃったか…でもね、これくらいなら抑えられるよ。ちょっと時間はかかるけどね。
「暴走伝導による魔力昇華!それも爆発寸前だったものに対しての!」
「え?それって……」
「そうだよ!今、莉音の魔力はいつもの半分を切ってる!これは異常!心でもわかるでしょ!?」
ごめんね。苺ちゃんにはまた心配かけちゃったよね。でもね、今回は大丈夫。それに、これは暴走じゃないよ。
「……龍に示されし波紋よ」
「え?」
「今吹き荒びしは風か……悲鳴か……」
突然呪文唱え始めると怖いよね。わかるよ。でも仕方ないのさ。ここまでして暴走沈静の儀だからね。
「神は救いに在らず……ただ見守るのみぞ」
「ねぇ、苺……莉音どうしたの?」
「これは、呪文?」
「今降誕せん……光の粒なりて」
私の中に少しずつ魔力が還ってくるのを感じる。成功かな。
「ごめんね、心配かけちゃった?」
「え?大丈夫……なの?」
「大丈夫だよ。龍護も何分かしたら目が覚めると思う。にしても、苺ちゃんよくわかったね。あと心を止めてくれてありがとね。呪文唱え終わるまでに来られたら何もかも台無しだったから」
「そんなことは、どうでもいい…それより、一つ質問。何をしたの?」
何をした、か……説明するの難しいんだよね。まぁ、ざっくりならできるかな。
「暴走沈静の儀。呪術の一種だね。まぁ、やることはシンプルで、接吻してから呪文を唱えるだけ。けど、それなりのリスクはあるから、慣れない人にはオススメできないかな」
「呪術?そんなのが、あるの?」
「え!?つっこむのそこ!?」
「あるよ。元は1つの宗教なんだけどね」
「そして莉音もそのまま続けるの!?」
あれ?心どうしたんだろう?慌てすぎじゃない?
「どうしたの?おかしくなった?」
「おかしくない!それよりも!!莉音!今接吻って言った!?」
「まぁ、言ったね」
「えっと……じゃあさっき、キ…キキキキスを!?」
「あ、ごめん。そこ掘り下げられるとは思ってなかったよ」
というか、接吻ひとつで騒ぎすぎでしょ。これだから最近の高校生は……
「まぁいいや。二人とも〜。ちょっと休むかい?」
「え!?それだけなの!?」
「さ〜んせ〜。ちょっと疲れた」
そうして、再び生徒会室にて休息を取る事にした。もちろん、龍護も連れて。
なんでって?
もちろん!相手の情報を聞き出すため。




