第2章 第7話 対面
「結界魔法第12門 真意壁!」
苺ちゃんの叫び声に近い詠唱から始まる。降ってきた虫はカマキリを思わせる鎌を振りかぶり、私達に攻撃しようとする。が、見えない障壁に阻まれ弾き飛ばされていく。
「ありがとう苺ちゃん。助かったよ」
「お礼は、いらない。これくらい普通。こいつら、絶対何かある」
何故か怯えている心を他所に私と苺ちゃんはこの先の対応を考える。
「キシャアア!!」
「あれ?もしかしてこいつら……」
何度弾けれようと鎌を振り上げて迫ってくる巨大なカマキリ達を見て、私はひとつの答えに辿り着いた。
「ちょっと試してみるか」
「ん?どうしたの?莉音」
「苺ちゃんは何があっても結界を維持しててね。あと、少しだけ結界に穴作れる?」
「出来るけど……何を、するの?」
「まぁ、見てて」
私はそう言うと、半径1センチほどの穴から雷魔法を放った。
「よし、塞いで」
「ねぇ、何をしたの?」
苺ちゃんが不思議そうに聞いていた。
「う〜ん、あとちょっとだと思うんだけど……」
「いったぁ!?え?なんで雷?」
「ほらね?」
謎の声とともに目の前のカマキリ達が消えていった。それに多分、これがさっきの違和感の答え。
「……莉音、本当に何をしたの?」
「ん?めんどくさかったから直接本人を攻撃した」
「……ばか?」
「ばかとは失礼な!れっきとした対策法だよ。あと心、虫はいなくなったよ」
「え?ほんとに?ってほんとだ!!やったぁ!」
怯えていた分さっきの数倍増しで元気になった心と、未だに理解しきれていない苺ちゃんに、軽く説明することにした。
「えっと、簡潔に説明すると、さっきのは召喚魔法の1種だよ。コピースライムを既にコピーした状態にしてあったのはそういうこと。本来ならコピーできる状態の方が厄介になるのに」
「な、なるほど?それで、どうしてわかったの?」
「それは……」
「それは前に1回見たから!だろ!いったいんだよ!!」
私の言葉を遮って被害者なのか加害者なのかよくわからない状況の人が叫ぶ声が聞こえた。
「やっと出てきたね。それに、久しぶりだね。何年ぶりかな?」
「くそ!やたら早い対応だなって思ったらお前かよ!」
私と仕掛けてきた男は睨み合いながら、共に相手の名前を声にした。
「青薔薇の莉音!」
「大蟷螂の龍護」




