第2章 第6話 罠
「さて、勢いよく飛び出しては来たものの、これはさすがに予想外だね」
「うん。甘く、見てた。この学園、中等部だけ出なく初等部もあった」
目の前に広がる光景に、正直、自分がおかしくなったんじゃないかって思ってしまった。
生徒会室の前、わずかな空間に軽く数十人の人間がいた。いや、人間と言ってもいいのだろうか?血走った目で私たちを睨みつけているそれらは、まさしく獣だった。
「いや、苺ちゃんそこじゃないよ……とにかく、今この状況を切り抜けよう。多分、作戦は役に立たない」
「むぅ……名案だと思ったのに」
「よぉし!やるぞぉ!!」
私たちがそんな会話をしている間に、およそ人間が発したものとは思えない呻き声を上げながら突進してきた。体格的に中等部、初等部ばかりだろう。血気盛んなことだな〜。
「「ヴォォオォォォ!」」
「そういうのいいから。2人とも、こいつらは殺していいよ。本人じゃない」
「え?それってどういう……」
「話は後!来るよ!」
私はなんの躊躇もなく飛びかかってきた相手を切り伏せた。すると、それまで人の形を留めていたのがまるで嘘のようにドロドロになった。
「え?これって……」
「スライム。こいつらは全部コピースライムだよ。本人達は別の場所にいる多分、地下牢だと思うけど」
戦いながら少しずつ情報を共有していく。地下牢にいる場合はラッキーだ。けど……嫌な予感がする。
「やあぁ!!」
「と〜う」
2人も対スライム戦闘を知っているようで、ちゃんと一体一体倒せている。私も剣1本で切り伏せているだけだけど、開始数分で残り数体になった。
「よーし!あとこいつらだけ!」
「ねぇ心……ずっと嫌な予感がしてたんだけどさ……」
「ん?どったの?」
私は、ずっと感じていた嫌な予感……というか違和感を心にだけ話した。
「私たち、ハメられたかもしれない……」
「え?!それってどういう…」
「あ!!莉音!心!上!!」
心が言葉を言い終える前に苺ちゃんが叫んだ。やっぱりだ。ここにたくさんのコピースライムを用意した本当の目的は、罠を意識させないため。
「来るよ!ここからが本番。さぁ、2人とも気合い入れるよ!」
上から降り注ぐ大量の虫を迎え撃つため、私達は再び剣を握り直した。




