第2章 第5話 反撃ののろし
この子は一体、どんな修羅場を超えてきたのだろう。それが気になった。
「それで、どうするの?正直、私はまだ休みたい」
「結界維持しながらだったらその方が辛いんじゃ……」
「平気。この結界、特別性。1回張れば、破られるまで、無限に存在する」
とんでもないな……流石は学園2位の座席に座っているだけはある。実際まだ剣は見てないけど、流れる魔力でわかる。
苺ちゃんは、私と似てる……戦争前の私と。まるで姉妹であるかのように。
「それに、この学園には私の結界を破れる者は、いない。つまり、隠れ家に最適」
「さっすが苺!ご褒美になでなでしたげる!」
「子供扱い、やめてって言ってる。でも、心撫でるの上手いから、許す」
許すの!?まぁ確かに撫でるの上手いけど……いや、やっぱ私は遠慮しとこう……前みたいなことされたら、私もう抵抗出来ないかも……
「おやおや〜?莉音もなでなでして欲しいの?も〜、素直じゃないな〜」
「いいです!結構です!遠慮します!」
「え〜?そんな必死になって〜。本当はして欲しいんでしょ?」
「いいって言ったらいいんです!いくら体が小さいからって子供扱いしないで!ぎゃー!その手をやめてぇ!」
なんだろう、休憩だよね?休憩だよね!?なのになんで私逃げなきゃいけないの!?余計疲れるって!待って、やばい…息が……
「心ストップ。莉音、苦しそう。趣旨、忘れちゃダメ。放り出すよ」
限界が近づいてきた時、心を苺ちゃんが止めてくれた。九死に一生を得たって、このことを言うのかな?いや、違うか。
「ごめん!ごめんって!だから放り出さないで!頼むから!!」
「わかったなら、いい。さ、ゆっくり休も」
そんなこんなで作戦会議、もとい休憩は軽くドタバタしながらも充分すぎるほどに行われた。
「……そろそろ限界かも」
「結界?あと何分くらいもつ?」
「もって5分。幸い周りに人はいないけど、消えるまで待つ?」
「うん。そうしよう。全員、準備はいい!」
力のない声が2つ返事した。体力的にも精神的にも問題ない。今すぐにでも始められるくらいだ。
「よし!じゃあ最後に一つだけ!」
結界がピシッと嫌な音を立てる。
消えるまであと少しとなった時、心が大きな声で言う。
「全員生き残ること!いい!」
「「ラジャー!!」」
結界が割れるように消えていく。その音に負けないような声で、二人ともが心に応えた。
「よし!行くよ!!反撃ののろしじゃぁぁ!!!!」
 




