第2章 第2話 行ってくる
人間という生物は愚かだ。たった一人では何も出来ないのに、たった一人でも仲間ができるとその仲間に便乗するかのように行動を起こす人が増えていく。
「さぁて、あなた達はどうするのでしょうかね?ククク」
多分、最初はこの人だけだったのだろうな……でも、ここまで広まってしまったなら、仕方の無いことだろう。もう、取り戻しのつかないことになってしまってしまった……対応が遅れた…
「……もう、覚悟を決めなきゃ。みんな、どうしたい?」
「え?どう……って?」
「私と一緒に戦うか、平和になるまで逃げるか」
私は立ち上がって言った。敢えて、突き放すような声で言った。多分、今すぐに覚悟が決められないなら、逃げた方がいい。犠牲になるのは私だけでいいんだから。
「だから、莉音……試したの?自分が玲奈に殺されたという“形”を作って」
私は答えない。あえて何も答えない。
「私、さっき聞いた。どうして、自分ばかり犠牲にするのか。理由、今わかった」
苺ちゃんは、私の隣に並んだ。何も言わずに。それだけで、覚悟は伝わってきた。
前々から思っていたけど、この子、本当に凄いな。自分で考えて行動して……私とは違うな。
「ふふ……この心様に向かって愚問ね。私はどこまでもついて行くよ。覚悟なんて、とうの昔にしたよ」
心も私の隣に並んだ。それだけで本当に心強い。心は本当の意味で信頼できる。理由はわからないけど、これだけは言えるよ。
寄り添ってくれてありがとう。これだけは、いつか伝えたい。
「今は俺は戦えない。理由は単純だ。玲奈の面倒を見なきゃ行けないからな。ただ勘違いすんな。覚悟が無いわけじゃない。こいつをほっとけないだけだ」
うん。わかってるから大丈夫だよ。将、ありがとう。
「わかってるよ。玲奈を頼んだよ」
「誰に言ってるんだ。俺と戦ったお前ならわかるだろ」
お互いに笑いあった。本当にこんな関係になれたのは、一旦戦ったからかな。
「さぁ、玲奈……あとは君の意志に任せるよ」
私は半ば放心状態の玲奈に向かってそう言う。
「じゃあ、行ってくる」




