表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦場に咲く赤き青薔薇  作者: 九十九疾風
最終章 第2次終末戦争編
333/334

最終章 最終話 永遠の旅へと

 世界を覆っていた闇が晴れていき、ちょうど真上に来ていた太陽が莉音を照らした。

 戦いが終わった。あまりにも平和な太陽が、その証明だった。


「……終わった?私……勝っ……あっ」


 莉音は、自分の体を支えることが出来なくなって地面に倒れた。そのまま少しずつ、髪の毛の色も、目の色も、全てが元々の莉音の色に戻った。

 どうにかして自分の体を回し、莉音は仰向けになった。眩しい太陽が、莉音の真っ白な髪の毛を照らした。


「……もう、おしまいかな」


 太陽に照らされて、ただ「その時」を待っている莉音の元に、1匹の蝶がどこからか飛んできた。その蝶は莉音が学園で出逢って話していた蝶だった。この場所は学園から遙か遠い場所に位置しているため、ぎりぎり間に合ったのいうような感じだった。


「……あれ?君は…………そっか。来てくれたんだ」


 莉音は自分の顔の横に蝶が止まれるように左手を持って行き、そこに止まった蝶に力ない笑顔で話しかけた。蝶は何かを伝えようと必死に話しかけたが、莉音には生物の言葉を理解する能力が消えてしまっていた。


「……ごめんね、もう……君の言葉、わかんないや」


 莉音の言葉を聞いた蝶は、悲しそうな表情を浮かべた。莉音は蝶が話していることを理解できないが、蝶は莉音の話を理解できていることだった。だから莉音は、本当に微かに残っていた魔力を蝶に渡し、それを玲奈のところまで届けてもらうことを頼んだ。死に際の、本当に最期のわがままだった。

 蝶は名残惜しそうに飛び去り、蝶が見えなくなるまで莉音はそれを眺めていた。


「……あれ?」


 莉音の視界が揺れ始め、意識そのものが深い場所に落ちていくかのようにして真っ暗な幕が下りた。

 その感覚は、まるで永い眠りに入るようだった。





・・・





 次の瞬間、真っ白な空間で莉音は目を覚ました。

 周りには心や苺、龍護にカール、シェリーまでいた。地面で眠っている莉音をのぞき込むように。


「……あれ?皆なんで?」

「まぁ、ここがもう1つの旅が始まる場所だからな。ただ、思いの外早かったな。あと……久しぶり、莉音」

「そうだな。これは言っとかなきゃな。久しぶり、莉音」

「えぇ。久しぶりね」

「3人とも……!久しぶり!皆!」

「私たちもいるよ~。あんまり久しぶりって感じしないけど」

「うん……莉音、勝てた?」


 苺が莉音の手を引き、立ち上がらせてから戦争の結果を聞いた。莉音は、全力の笑顔でピースサインをした。そこにいた全員がそれだけで全てを理解し、莉音をわしゃわしゃしながらたくさんの言葉をかけた。

 一通り褒めちぎった後、莉音の背中を押すようにして集団の先頭に立たせた。


「え?あれ?どうしたの急に?」

「さぁ莉音、俺たちもここに止まり続けるわけにはいかないんだ。もちろん、莉音もな」

「そうよ。それに、私たちのリーダーは莉音なんだから。また、私たちを導いてね」

「うん!莉音も、ここからもう一回旅を始めよ!私たちと一緒に、どこまでも平和で幸せな旅を!」


 莉音の背中を押していた龍護、シェリー、心が、これからの莉音の旅の始まりをお膳立てした。新しい旅。莉音はその永遠の旅への希望にまた笑い、いつもの莉音のように大きく、力強く一歩を踏み出した。


「よし!それじゃあ、皆行くよ!」



「「「「「うん!!!」」」」」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ